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平成23年度予算
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:畜産業費 目:中小家畜試験場費
事業名:

豚凍結精液の生産技術の改善試験

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農林水産部 農林総合研究所中小家畜試験場 養豚研究室  

電話番号:0859-66-4121  E-mail:chushokachiku@pref.tottori.jp

トータルコスト

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
23年度当初予算額(最終) 18,509千円 11,982千円 30,491千円 1.5人 1.6人 0.0人
23年度当初予算要求額 19,295千円 11,982千円 31,277千円 1.5人 1.6人 0.0人
22年度当初予算額 21,915千円 12,102千円 34,017千円 1.5人 1.6人 0.0人

事業費

要求額:19,295千円  (前年度予算額 21,915千円)  財源:財産収入 

一般事業査定:計上   計上額:18,509千円

事業内容

1 事業の概要

(1)肉豚の生産農場でも使える、活力が高い凍結精液の生産技術を確立する。

    (2)凍結精液の生産技術を確立するまでの間、農家に人工授精用の液状精液を供給するための種豚、および銘柄豚の生産のための基礎豚を維持(選抜)する。

2 背景・目的

(1)精液を雌豚に注入する人工授精は、コストと労力の削減に効果的であるため利用が進み(県内普及率70%)さらに利用しやすい凍結精液の実用化を望む声が上がっている。

(2)凍結精液は永久に保存でき、いつでも使えるので牛では一般的である。豚では融解した後の精子の活力が弱く、実用レベルに達していなかったが、これまでの当場での研究から、成績は年々向上している。

(3)農家の8割は試験場の種豚を使用している。また良質の肉をエンドユーザーに供給するため、高い能力の豚を維持し、その精液を供給する必要がある。

3.事業効果

(1)液状精液は10日しか保存できず、宅配便で配送するため急には使えない等の問題がある。凍結精液ではこの問題が解決され、人工授精の活用が進むことにより、農家の利益が増える。まとめ買いも可能となり、発注・受取り・代金の精算の労力も減る。

(2)他の県にない優良な種豚を維持し供給することで、農家の生産性と利益が確保される。造成が完了したデュロック種「大山赤ぶた」は、一般の肉豚(LWD種)の父豚として利用される他、黒豚と交配して鳥取県オリジナルブランド豚「大山ルビー」の母豚として活用されている。

4.事業の内容

(1)これまでの取組
○融解後の活力が高い凍結精液の製造技術を検討した。
○産子数を高める人工授精技術を検討中である。
  (子宮内深部注入)。
○2003年よりデュロック種の改良を続け、H22年度に完成し系統認定された。

(2)平成23年度の内容
○凍結精液の農家実証試験を実施。
○造成した系統豚(デュロック種)が優良な形質を維持できるよう、定期的に次世代の子豚の発育や肉質を調査する。

5 事業期間・総事業費



内 容

事業費(千円)

総事業費

豚凍結精液の生産技術改善試験

55,035

平成21年

・凍結温度プログラムの検討
・融解時の温度条件の検討
・子宮内部に確実に注入できるカテーテルの検討
  ※H19〜産技センターと共同研究;特許申請中

13,825

平成22年

・繁殖成績の検証(場内試験)
・カテーテルの性能調査
・種豚の維持(開始)

2,1915

平成23年

・農家実証試験
・種豚の維持(継続)

19,295

<参考>現在維持している種豚

〔デュロック種〕大山赤ぶた
 肉用豚(LWD;3種の雑種)の品質に最も影響する重要な豚である。H21に系統造成が完了した結果、特に脂肪の量(サシ)と旨みが増え、県産豚肉のレベルアップに貢献し、エンドユーザーと農家の高い評価を得ている。系統造成後も、繁殖能力が高く肉質の良い豚を維持(選抜)している。
 デュロック種は、銘柄豚「大山ルビー」の母豚としても生体を供給している。

〔バークシャー種〕黒豚
 銘柄豚「大山ルビー」の生産農家、および黒豚の生産農家に精液を販売している。バークシャー種は、繊維がキメ細かく脂肪に旨みもあり、高品質な肉として評価が確立している。

〔ランドレース種〕
 一般的な肉豚(LWD種)の母豚であるLW種またはWL種を作成するため、精液並びに生体で供給している。産子数と産肉能力が高い豚である。
 ランドレース種は20年前に造成した系統豚「トットリ・エル」を主体に、他の系統の血も混ぜながら維持している。

〔大ヨーク種〕
 母豚のLW種またはWL種の作成に必要である。定期的に外部から生体と精液を導入し維持している。繁殖と保育能力の高い豚である。

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

<政策目標>
 豚凍結精液の生産技術の改善

<これまでの取組と達成度>
(1)凍結精液の製造方法を改善した結果、融解後の精子活性が向上し、受胎成績が液状精液と同等となった。

      液状精液 凍結(従来) 凍結(改良)
受胎率   90%      54%    90%
産子数   10〜12頭    8頭    9頭 

(2)人工授精の実地講習などを積極的に行った結果、普及率は70%(全国42%)まで上がった。

年 度   H17  H19  H20  H22
普及率    37%   38%   51%   70%
精液販売本数 727  1334  1822  1850(見込)

(3)肉質を重視したデュロック種の改良を続け、全ての目標をクリアできた。H22年度には系統認定された。系統豚の純粋種「大山赤ぶた」は大阪市場で最優秀賞を得ており、関西の百貨店でも販売されている。 

      (2003年 → 完成時)
1日増体重   838g → 999g
筋肉内脂肪(サシ) 3.6% → 5.0%
オレイン酸(旨味)  38%(一般豚)→ 42.5%
ロース芯面積  37.6cm2 → 40.2cm2

(4)銘柄豚「大山ルビー」の精肉は6店で販売され、十数軒の飲食店で料理が提供されている。その美味しさから、各種メディアで取り上げられ、また皇室への献上や、食育の一環として学校給食に利用されるなど、鳥取県の畜産業のPRにも貢献している。
 大山ルビーは22年度より5件の農家と流通業者が「鳥取県ブランド豚振興会生産者部会」を立ち上げて、計画的に生産している。試験場はメンバーに対して、精液並びに母豚を供給している。

これまでの取組に対する評価


<自己分析>
(1)凍結精液の受胎率は改善でき、実用化に向けて着実に成果を上げられた。
(2)人工授精の普及率は全国でもトップレベルとなり、農家の利益の向上に貢献できた。
(3)デュロック種の系統豚の精液や母豚を使った肉豚(LWD種)の品質は向上しており、生産現場および市場の評価は高い。また体格も良く飼いやすい点も評価されている。
(4)オリジナル銘柄豚「大山ルビー」の作出は、「食のみやこ鳥取」の取組みと相まって、農家の生産意欲と市場の活性化に貢献している。

<改善点>
(1)凍結精液に対する農家の安心感を得るため、場内および農家でのデータ蓄積を進める必要がある。
(2)今後も優良な形質を維持できるよう、定期的に次世代の子豚の発育の成績や、肉質分析を行う。



工程表との関連

関連する政策内容

市場競争力を高める低コスト生産、経営管理技術の開発

関連する政策目標

豚凍結精液の生産技術の改善



財政課処理欄


 備品購入費(786千円)については、平成22年度11月補正に前倒しして実施します。

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 21,915 0 0 0 0 0 10,703 0 11,212
要求額 19,295 0 0 0 0 0 8,149 0 11,146

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
査定額 18,509 0 0 0 0 0 8,149 0 10,360
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0