1.事業概要
県と鳥取市で構成する「湖山池会議」において、今後、湖山池の水質浄化に向け、東郷池程度の高塩分に管理していく方向が示された。これを受けて、周辺農業者と今後の水田営農について話し合った結果、湖山池の水を利用しない、地域ぐるみでの大規模な飼料作物の導入や、一部ため池の水を利用した水稲作などにより、湖山池周辺地域の農業振興を図っていく。
2.要求内容
(1)湖山池の水質浄化に対応した農業振興総合対策事業費
(単位:千円)
区分 | 事業内容 | 事業
主体 | 補助率 | 限度額 | 実施
期間 |
畑地転換補償費 | 湖山池の水を利用していた農業者等に対し、水田と畑地の財産評価の差額相当を補償 | 鳥取市 | 県
1/2
鳥取市
1/2 | 38,600 | H24 |
畑地化差額補てん費 | 地域ぐるみの飼料作導入に協力する農業者に対し、米生産との差額相当等を助成(国の戸別所得補償制度に係るものを除く) | 131,829 |
農業機械等処分費助成 | 畑地化により不用となる水稲用機械・施設等の処分経費を助成 | 10,459 |
大区画ほ場整備費 | 大型機械による飼料作栽培のための大区画ほ場の整備に要する経費 | 県 | (県10/10) | 81,623 |
水稲への塩分影響調査費 | 池につながる用水を利用した水稲作の塩分影響調査の実施(1地区) | 291 |
(2)湖山池の水質浄化に対応した農業振興総合対策事業に係る畑地化差額補償
○限度額
地域ぐるみの飼料作導入に協力した農業者が国の戸別所得補償制度を活用した際に交付されると想定される額に対し、国から実際に交付される額が下回った場合において、10アールにつき48千円から国からの交付額を減じた額の2分の1相当(残りの1/2は鳥取市が負担)
○年度 平成25年度〜43年度
○財源 一般財源
3.支援対象期間
20年間(現経営主が主体的に営農を継続すると見込まれる期間)
4.支援対象地域
湖山池の水を農業利用している地域(瀬、三津、福井、西桂見等)
5.債務負担行為要求額
(単位:千円)
年度 | 限度額 | 県
(1/2、10/10) | 鳥取市
(1/2) |
H24@ | 443,691 | 262,802 | 180,889 |
H25〜43A | (※1) | (※1) | |
合計 | 443,691 | 262,802 | 180,889 |
@20年間分の県負担相当額をH24に一括交付する。
A※1は国の戸別所得補償制度の交付金の差額相当を示す。
6.背景
○鳥取県知事と鳥取市長との意見交換会(H22.5.14)等の合意により、「湖山池の望ましい姿」を検討するために、平成23年6月に県と鳥取市は「湖山池会議」を発足。
○平成23年8月に第5回湖山池会議が開催され、鳥取市民アンケート、湖山池水質シミュレーション、農業者アンケート等の結果を総合的に検討した結果、現在の塩分濃度より高濃度での管理(東郷池程度の塩分)を行う方向が望ましいことを確認し、この際に必要となる農業対策を検討することとなった。
○現在、県と鳥取市は、地元に対し、湖山池の水を利用しない、地域ぐるみでの飼料作への転換を骨子とする畑地化への取組等と、それに伴う支援内容を提案し、協議を積み重ねた結果、一部調整中であるが、各地区とも概ね合意が得られた。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・湖山池周辺地域において、毎年、徐々に湖山池の塩分濃度を上げて、水稲作を継続してきた(塩分導入実証試験の実施)。
・平成23年8月、県との鳥取市が設置した「湖山池会議」において、「湖山池の望ましい姿」として、現在の塩分濃度より高濃度での管理(東郷池程度の塩分)を行う方向が望ましいことを確認し、この際に必要となる農業対策を検討することとなった。
・現在、県と鳥取市は、地元に対し、湖山池の水を利用しない、畑地化への取組等と、それに伴う支援内容を提案し、協議を積み重ねた結果、各地区とも概ね合意が得られた。
これまでの取組に対する評価
・平成22年産の水稲について、塩分導入による生育障害や収量低下の傾向は見られなかったと分析。
・湖山池周辺で、最も大規模な水田地域である瀬地区は、地域ぐるみの畑地化を決定したところ。
・今後、瀬地区では戸別の営農意向等を調査し、瀬地区の営農体制を確立していく必要がある。
・他地区では一部調整中であるが、早急に方向性を確認し、必要な支援を行う必要がある。