1.概要・背景
【 概 要 】
賀祥ダム発電所は、賀祥ダムからの維持放流水と取水口からの落差を有効的に利用した水力発電所であり、二酸化炭素をほとんど排出しない電力として地球温暖化防止並びに低炭素社会実現に向けても効果的な発電施設である。
また、発電した電力は全量売電し、地域で利用されるため、エネルギーの地産地消としても有効である。
平成22年度に基本設計を行い基本的事項の整理、検討を行い平成24年度の事業化に向け、平成23年度に実施設計ならびに河川法、電気事業法の事業化に向けた具体的協議を行うものである。
【 背 景 】
○1997年12月に京都議定書が採択され、二酸化炭素等の温 室効果削減に向けて、国は2020年までに1990年比約25%削減することを公約として掲げている。
○再生可能エネルギー導入拡大として、国の「新成長戦略」における低炭素社会に向け、「再生可能エネルギーの全量固定買取制度」による料金制度などの法案化に向け進められている。
法制度開始予定 平成24年〜
○「鳥取県公営企業の方向性検討委員会」においても、企業局が、「環境立県を推進する鳥取県にふさわしい新エネルギープロジェクトを行う」ことと、積極的に先導的取組みを行うよう提言されている。
2.導入により期待される効果
@ 水力発電による二酸化炭素削減効果
年間 659 トン削減 (一般家庭 約400戸分相当)
(1,187,000kWh×0.555kg-CO2/kWh)
A 地域における水資源活用へ啓発
既設ダムの維持放流水を使った発電所は、県内初の取り組みであり、地域の水資源をエネルギー資源として有効的に利用するもので、他の既設ダムや農業用水などでの導入にも繋がる。
3.発電所建設予定地の優位性
@ ダム建設時から既に発電用分岐管が整備されており、通常必要となる、取水場や導水路などが必要とならないため、低コストで経済性の高い発電所である。
A 大規模な開発が必要とならないため、周辺環境に与える影響も少ない中での建設が可能。
B ダムからの維持放流水であり、年間を通して安定的に水を使用する事が可能である。
4.発電所規模諸元・経済性
@ 発電所 基本事項
水系・河川名 | 日野川水系法勝寺川 |
発電予定地ダム名 | 賀祥ダム(西伯郡南部町) |
ダム管理者 | 鳥取県土整備部 |
発電方式 | ダム式 |
有効落差 | 最 大37.70m |
最大出力 | 200kW |
年間可能発電電力量 | 1,187,000kWh |
A 経済性評価
【 再生可能エネルギー全量固定買取制度※での収支黒字見込み年数】
収支黒字年 (買取単価−買取期間)、補助なし
17年(20円−20年)〜39年(15円−15年)
< 水力発電所の平均耐用年数 45年
(平成22年度予算要求時点 21年(13.6円−20年、補助率 20%)) ※ 資源エネルギー庁による全量固定買い取り制度(案)平成22年8月
事業費 | 総事業費 314百万円
実施設計費等 14.6百万円
ダム負担金 30百万円・・※1
工 事 費 252百万円
送電費 8.4百万円
基本設計費 9百万円 |
全量固定買取制度における売電単価、買取期間(予定) | 買取期間 15年〜20年
買取単価 15円〜20円/kWh |
累積収支黒字見込み
(全量固定買取後は、
7.50円で試算 ※2) | 1kWh当たり買取単価−期間
15円−15年〜20円−20年
資金回収期間
17年〜39年 |
※1ダム負担金については、最大0.3%を計上。今後0.16〜0.3%で河川管理者、共同事業者との交渉を予定。
※2 企業局内他の水力発電所総括原価
6.事業スケジュール・概要
平成23年度 要求金額
実施設計委託費等 14.6百万円
年 度 | 業務内容 |
平成22年度 | 基本設計委託
(委託期間 平成22年12月20日まで)
・事業化に向けた基本設計
@ 基本的事項の検討
水車:フランシス水車
発電機:同期発電機
A 主要構造物概略検討
B 建屋、電気設備工事概略検討
C 地盤調査 |
平成23年度 | 実施設計委託
@ 発電所の実施設計
A 工事発注仕様書作成
関係法令協議
・河川法
・電気事業法 |
平成24年度 | 工事着手・営業運転開始 |
※ スケジュールは、平成22年度当初予算要求による