1 目的
染色体工学技術を活用して、新しい製品、技術、サービスの開発及び事業化に取り組む県内中小企業が、事業活動に必要な資金の確保を支援する。
これにより、バイオ産業関連企業等の育成・発展と、新規の立地を促進し、本県におけるバイオ産業の創出を図る。
2 現状と課題
○鳥取県における21世紀の基盤産業として、鳥取大学の染色体工学技術等を活用したバイオ産業の創出に向け、最先端の技術・設備を利用して研究開発、事業化が行える基盤を整備。
・平成18年度〜
ヒト型遺伝子導入マウスの開発等の地域産業に貢献する技術・製品の共同研究(文部科学省助成事業)
・平成23年度
大学や企業等による研究成果の事業化を支援する施設(とっとりバイオフロンティア)の整備((独)科学技術振興機構助成事業)
○共同研究成果のうち先行するものについては、現在大学の基礎研究から企業の実用化に向けた応用研究の段階に移行。
○一方、バイオ関連企業は事業化までに多額の資金と長い時間を要するのが通例であり、その間の資金調達が最も重要な課題のひとつになっている。特に、大学発ベンチャーは大学の基礎研究の成果を基に事業が始められることも多く、概して長時間の実用化研究を要し、加えて新規性が高いために新たな市場展開が必要になったり、事業のリスク評価が難しかったりするために資金調達が困難になっている。
○新たに本県にバイオ産業を創出するためには、他の地域と比肩できる優れた事業環境の整備が必要。
3 とっとりバイオフロンティア入居状況
(1)新棟 ※H24.1.24現在
区分 | 入居状況 |
1階 | オープンラボ | 鳥取大学染色体工学研究センター |
3階 | 居室 | 301 | 味の素(株)アミノインデックス部 |
302 | (財)とっとりバイオサイエンス振興会 |
303 | アスビオファーマ(株)/染色体工学研究センター |
304 | (株)クロモセンター |
実験室 | 311 | |
312 | (株)クロモセンター |
313 | (株)エムコ |
314 | |
動物飼育室 | 321 | |
322 | (株)クロモセンター |
323 | (株)エムコ |
324 | |
(2)動物飼育施設(鳥取大学生命機能研究支援センター臨床実験施設5階) ※H24.1.24現在
・(株)クロモセンター
・鳥取大学(生命機能研究支援センター)
4 事業の内容
染色体工学技術を活用して、新しい製品、技術、サービスの開発及び事業化に取り組む中小企業であって、本県におけるバイオ産業の創出に資すると県が認定した者(以下「認定事業者」という。)に対し、以下の支援措置を講じる。
(例)医薬品・診断薬、研究用試料・試薬、薬効・薬理試験受託サービス など
染色体工学技術とは…染色体を改変又は導入する技術。この技術を用いて、例えばヒトと同じ薬物代謝を示すマウスなどが作成できる。
≪要求額≫
外部審査委員経費(報償費) 55千円@9,100円×6人/日
(1)企業自立サポート事業(制度融資)【新】
資金名 | バイオ産業支援資金 |
融資対象者 | 認定事業者 |
資金使途 | 運転・設備 |
償還期間
(据置期間) | 運転 10年以内(3年以内)
設備 15年以内(3年以内) |
融資限度額 | 1億円 |
融資利率 | 年1.43%(変動金利) |
保証料率 | 0.45〜1.08% |
≪要求額≫
利子補給金 1,755千円
@1億円(融資額)×1.17%(利子補給率)×3/4(暦年換算)×2件
(2)バイオ産業支援資金利子助成事業【新】
バイオ産業支援資金(以下「対象資金」という。)を利用する認定事業者に対して、対象資金の支払利息を助成する。
≪対象者≫
次のア及びイのいずれにも該当する中小企業者
ア 対象資金を借り入れており、未納の延滞金がないこと。
イ 対象資金の支給決定を受けていること。
≪利子補助率≫
0.7%
≪補助対象期間≫
5年間
※総合特区支援利子補給金(国)と同じ利子補助率、同じ期間。⇒第1回選定地域の 「関西イノベーション国際戦略総合特区(神戸医療産業都市)」
≪要求額≫
利子補助金 1,400千円
@1億円(融資額)×0.7%(利子補助率)×2件
(3)とっとりバイオフロンティア施設利用料軽減補助金【新】
認定事業者のとっとりバイオフロンティア施設利用料の1/2を助成する(最大36か月間)。
≪要求額≫
利用料軽減補助金 1,173千円
@97,710円(施設利用料)×12月×1/2(補助率)×2件
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○鳥取大学で開発した世界最先端の染色体工学技術は、初期段階の創薬支援や食品機能性の評価、さらには抗体医薬や遺伝子治療などの医療分野での活用も期待されるなど、幅広い応用分野を持った有望な技術。
○本県では、染色体工学技術を活用した事業化や、さらにはバイオ産業の創出・集積を目指し、(独)科学技術振興機構の拠点整備事業を活用して産学官共同研究拠点「とっとりバイオフロンティア」を整備。(平成23年4月〜)
施設には、産学官の関連機関が集い、知識・技術を結集させる拠点として、最先端の実験機器や貸し実験室等を整備。
○また、文部科学省地域イノベーションクラスタープログラム事業を活用して、鳥取大学を核とし、その研究開発成果をさらに発展させ事業化につなげる取り組みを、地域内外の研究機関や企業等が参画して、大きく次の3つのテーマに分けて実施中。(平成22年〜平成24年)
テーマ1:染色体工学技術に係る基盤研究開発
テーマ2:染色体工学を用いた医薬品開発支援ツールの開発
テーマ3:染色体工学を用いた食品機能性評価に係るシステム発と地域機能性食品の評価・商品化
○一方、上記に関連し、染色体工学技術を用いて開発されたヒト人工染色体マウス(※ヒトと同じ代謝機能を持つマウス)を使い、薬理・薬効、安全性試験等の受託試験サービスの提供等を行うことを目指す、鳥取大学発ベンチャー企業の事業化の取り組みを支援してきた。
これまでの取組に対する評価
○県内でのバイオ関連の新たな起業や、県外からのバイオ関連企業の立地を促すため、鳥取大学が有する最先端の研究開発シーズに加え、鳥取大学と地元企業による産学連携の基礎を構築し、さらにとっとりバイオフロンティアに最先端の実験機器を整備して、本県で最先端の技術・設備を利用して研究開発や事業化が行える基盤が整いつつある。
○一方、バイオ関連企業は新規性の高いシーズの導入と、研究開発のために多額の資金と長い期間を要し、加えて新規性が高いためにビジネスモデルの開発や市場開拓、そのために必要な補完的な資産の構築等のそれぞれにおいて往々にして新規の取り組みが必要であり、研究開発成果を事業化するまでの間に必要な資金の確保が最も大きな課題のひとつとなっている。
○バイオ関連企業の起業や立地を促進し、本県にバイオ産業を創出するためには、バイオ関連企業が必要な資金を確保でき、事業を行うのに最も適した環境を整えることが必要。