1 課長査定
「ゼロ」
財政状況が厳しい中、選択と集中により産地維持対策に取り組むことが必要であり、支援対象についてはやらいや農林水産業プロジェクトで取り組んでいる品種(当面は梨新品種のみ)を優先すべきと考えます。
2 調整要求内容
梨に限らず、柿やぶどうにおいても面積減少や後継者不足は早急に対処すべき課題であり、「やらいや果樹園」制度により本県特産の果樹を未来につなぐとともに、ぶどう、梨、柿のシリーズ化により食のみやこ鳥取県の果物を構築する。
柿やぶどうにおいても、県内の動きに沿ったプロジェクトを立ち上げ、支援したい。
次世代鳥取梨ブランド創出事業による「やらいや果樹園」と一体化した制度、事業運営も検討する。
【県内の動き】
・柿「輝太郎」…県オリジナル品種で、早生柿の中でも果重・糖度がトップクラスであることから全国ブランドを目指している。
・ぶどう「シャインマスカット」…全国的にも最も注目されている品種であるが、本県の高い栽培技術によって有利販売を目指している。
・梨「王秋」…日本一の産地として、ブランド化・生産振興を進めている。
3 事業内容
産地で守り次の生産者へ継承していく「やらいや果樹園」を整備し、果樹王国鳥取県を復権する。
梨新品種以外の優良品目・品種の取り組み
ア 対象とする果樹
果樹産地構造改革計画書に掲げてある産地の振興品目、品種を事業対象とする。
柿 :「輝太郎」
ぶどう:「シャインマスカット」、「瀬戸ジャイアンツ」
梨 :「あきづき」、「王秋」 等
果樹産地構造改革計画書とは、国事業の実施にあたって、産地協議会(各農協事務局)が作成するもの。
イ やらいやプロジェクト・流通定着化実践対策
柿「輝太郎」やぶどう「シャインマスカット」等の新規の優良品目・品種を振興・流通させていくための取り組みを支援する。
事業主体 | 全農とっとり、農協、生産組織 |
事業内容 | 振興策の検討、出荷規格・出荷方法の検討、マーケティング調査、試験販売等に係る経費の補助 |
補助率 | 県1/2 |
ウ 「やらいや果樹園」整備への支援
1)植栽
事業主体 | 農協、生産組織、産地計画の担い手 |
事業内容 | 果樹経営支援対策事業(国事業)で改植を実施する場合に県費の上乗せ支援
国事業の対象とならない新植等には単県支援 |
補助率 | 国1/2+県1/6 , 県1/3+市町村1/6 |
2)奨励金の交付
事業主体 | 市町村 |
事業内容 | 優良品目・品種の導入を促進するため、育成経費相当の奨励金を交付する市町村に対する補助 |
補助率 | 県1/2+市町村1/2 |
3)生産基盤整備
事業主体 | 農協、生産組織、農業者 |
事業内容 | やらいや果樹園の整備、管理に必要となるぶどうハウスの整備、防除用機械の導入等に係る経費を補助 |
補助率 | 県1/3+市町村1/6 |
4 やらいや果樹園とは
果樹産地の維持・発展、新規就農者等を確保するため、生産者が栽培を継続できなくなった時には、次の生産者へ継承する果樹園。
・生産者は、果樹園を継承(流動化)する取り決めを生産組織と交わした上で果樹園を整備し、果樹栽培
・生産組織は、産地で継承していく果樹園として登録
・登録にあたって市町村、農協、県他で構成する審査委員会に諮ることとし、登録後もこれら関係機関が就農者の確保、流動化の取り組みを支援
↓
果樹園を「個人」で管理するものから「産地として守っていくもの」へ
新規就農者等が就農当初から収入を上げられる仕組みづくり
5 事業費・要求額
(1)梨新品種以外の優良品目・品種の取り組み
1)植栽
・事業量:4.1ha
・事業費:10,045千円(県1/6,1/3)
・要求額:2,169千円
2)奨励金の交付
・事業量:4.1ha
・事業費:4,160千円(県1/2)
・要求額:2,080千円
3)生産基盤整備
・事業量:0.8ha、3台
・事業費:27,197千円(県1/3)
・要求額:9,065千円
(2)流通定着化実践対策
・事業費:2,000千円(県1/2)
・要求額:1,000千円
要求額合計(1)+(2):14,314千円
6 事業実施期間
平成24年度から27年度まで
※果樹経営支援対策事業(国事業)は平成26年度まで
7 背景
(1)事業の必要性
果樹面積が年々減る中、新品種が産地復興のカギとなっており、梨では県オリジナル新品種と二十世紀梨他の組み合わせ、柿では県オリジナルの早生柿「輝太郎」に「西条」、「富有」、「花御所」の組み合わせ、ぶどうでは、「デラウエア」、「巨峰」、「ピオーネ」に優良品種「シャインマスカット」等を組み合わせた旬の美味しい果物を供給する仕組みづくりを目指している。
果樹では、果実が実り収入が上がるようになるまでに年数が必要なことから新規参入が難しく、産地を守っていくためには、就農当初から収入がある果樹園を準備しておくことが重要。
(2)本県果樹のピーク時と現状面積
ア 梨
昭和58年:3,700ha→平成22年:1,030ha
イ 柿
昭和42年:939ha→平成22年:328ha
ウ ぶどう
昭和38年:250ha→平成83ha
(3)果樹復権の方向性
かつての果樹王国鳥取は、「量」がブランドであったが、消費者の嗜好も、いろいろな美味しい果物を少しずつ求めるように変化してきており、今後は、美味しさを追求した果樹のシリーズ化による「質」でブランド化を図り、果樹王国鳥取を復権する。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成23年6月補正で、梨新品種を産地で守り継承していく「やらいや果樹園」整備の支援を打ち出した。
国においては、優良品目・品種への改植を支援する「果樹経営支援対策事業」があり、平成23年度から改植に伴う収入減を補う果樹未収益期間支援事業が創設されたが、全面改植しか対象とならず、ハードルが高い。
各農協においては、国事業も実施出来るよう、果樹産地構造改革計画書を作成又は作成中。
園芸試験場が育成した柿「輝太郎」は、早生の甘柿の中でも品質が優れ、早期の産地化、流通対策が望まれている。
ぶどう産地では、優良品種「シャインマスカット」(国育成)への期待が高い。
これまでの取組に対する評価
梨新品種については、郡家、倉吉、東郷、大山等の主要産地で「やらいや果樹園」整備の取組に前向きである。