・鳥取県バイ資源回復計画は、3センチ未満の小型貝の再放流、3/1〜9/30までの漁期制限、漁具数制限、保護区の設定からなる「資源管理」と、人工で育てた稚貝の放流と天然貝の産卵促進による「積極的な増殖措置」の2本柱からなる。
・積極的な増殖措置に対してサポートを実施中。
・稚貝の放流に関しては、平成22年度から事業実施しており、別途「栽培漁業地域支援対策事業」で支援中(県3/4補助)。
・天然貝の産卵促進に関しては、平成23年度に栽培漁業センターが産卵器による産卵促進技術を開発。
・そこで、この技術を普及し、バイの資源を効率的に増産させるために支援を行う。
・また、資源を増やすだけでは単価の下落を引き起こす可能性が大いにあるほか、漁獲が10年以上低調であった期間が存在するため、若い世代へのバイの食文化の継承が円滑に行われていないという課題もある。
・そこで、レシピの作成や試食販売等の食材PR、新たな流通ルートの開拓等といった販売強化を併せて事業を展開していき、安定的なバイ資源の構築と、鳥取県をバイの産地として確立できるよう支援を行う。
@産卵器設置支援
○産卵器は農業資材で土中に埋めて水はけを促進させる際などに用いられるプラスチック製暗きょパイプ(内径10センチ)を「暗所で、潮通しがよく、動かない」という産卵基質の条件に適するよう、長さ60センチ2本組に鉄筋等で加重し作成する。
○試験結果から産卵器1基あたり平均100万粒の産卵あり
★産卵器3,000円/基×50基=150千円(補助対象事業への上限)
A販路強化支援
○補助対象は、以下の経費
レシピ作成費、地元・関東・関西圏での試食に対する旅費、試食の際の食材費、消耗品費(ポスター、パンフレット等)、宣伝費
※関西圏は関西本部、関東圏はアンテナショップと連携
★補助対象事業の上限 300千円
B補助金の積算
上記@ × 補助率1/3 × 6地区= 300千円
上記A × 補助率1/2 × 6地区= 900千円
@+A = 1,200千円
・バイ資源の増産
・単価下落の防止
・鳥取県のバイのブランド化(鳥取バイ王国)
<鳥取県バイの説明>
バイは、水深30メートル以浅の海域で、かご網等で漁獲される巻貝である。鳥取県では、きんこばい、黒ばいといった名称で呼ばれ、美保湾が主漁場であり、県西部で馴染みの深い食材として、塩ゆでや混ぜ御飯等で食される。
鳥取県のバイ漁獲量は、過去には80トン以上あったが、昭和60年から環境ホルモン(有機スズ等)の影響で激減し、昭和62年から平成10年まで6トン以下の不漁が続いた。
また、この環境ホルモンの影響で種苗生産が不調となったため、平成7年には種苗放流を休止する事態にもなった。
平成元年には船底塗料への有機スズの使用が禁止され、徐々に漁場環境が改善され、近年は増加傾向にあり、平成22年には漁獲量47トン、水揚金額4千万円まで回復している。