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平成24年度予算
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:衛生費 項:公衆衛生費 目:衛生環境研究所費
事業名:

鳥取県内の地下水・湧水の水質とその形成・循環に関する研究

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生活環境部 衛生環境研究所 水環境対策チーム  

電話番号:0858-35-5417  E-mail:eiseikenkyu@pref.tottori.jp

トータルコスト

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
24年度当初予算額 1,779千円 4,828千円 6,607千円 0.6人 0.0人 0.0人
24年度当初予算要求額 1,779千円 4,828千円 6,572千円 0.6人 0.0人 0.0人
23年度6月補正後予算額 1,118千円 4,793千円 5,911千円 0.6人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:1,779千円  (前年度予算額 1,118千円)  財源:単県 

一般事業査定:計上   計上額:1,779千円

事業内容

1事業概要・目的

 豊富で良好な水質とされる鳥取県内の地下水・湧水について、水質を把握・評価するとともに、水循環と水質の形成過程に着目し、その年齢や涵養域、及び水質と周辺の自然環境(土壌・地質、植生)との関係等の知見を得て情報提供して県民の意識を高め、鳥取県内の地下水・湧水や周辺の自然環境の保全と、持続可能で賢明な利用に繋げる。

2内容(H24年度)

(1)水質と周辺の自然環境(土壌・地質、植生)との関係性への言及

     先に涵養域を推定した大山周辺の主な湧水を中心に、涵養域〜湧出域間及びその周辺の土壌・地質、植生に関する調査や実験等を実施し、水質との関連性や水質形成過程を把握する。
    1)植生(樹木の種類・分布等)の把握
    2)土壌の種類及び理化学性、地質(地層・主要鉱物種等)の把握
    3)森林内の樹幹流(降水が樹木に接触して流下した水)や林床土壌の浸透水の水質測定。
    4)土壌や地質を構成する主要鉱物からの地下水・湧水の主要溶存成分の溶解実験。

    (2)水質調査・評価
    県内中部〜東部地域の地下水・湧水の補足調査を実施。

3要求額内訳(H24年度)

要求内訳内容金額(千円)
備品購入費地下水の水質と植生、地質・土壌鉱物間の相互作用(溶解平衡・速度等)の解析に用いるソフトウェアの購入   552
普通旅費情報収集・協議   192
需用費調査や分析等に用いる消耗品、試薬等   600
役務費通信・運搬等   135
使用料・賃借料機械・機材の賃借   300
合計 1,779

4実施計画

年度実施内容予算額
(千円)
H22◆地下水・湧水の水質調査・評価、マッピング
◆代表的湧水の年代推定(概要)
…トリチウム分析(外部委託)
◆代表的湧水の涵養域推定(大山)
…水質分析、酸素・水素同位体分析(外部委託)
◆土壌・地質、植生と水質との関係把握(涵養域を推定した湧水について)
…既存資料収集等
 3,288
H23◆地下水・湧水水質調査(補足調査)
◆代表的湧水の年代推定(詳細)
…湧水中のフロン類、六フッ化硫黄濃度分析(外部委託、…H22年度2月補正予算の繰越で対応)
◆土壌・地質、植生と水質との関係把握(大山、涵養域を推定した湧水について)
…既存資料収集、涵養域〜湧出域間の地質、水文環境の把握
 1,118
H24◆地下水・湧水水質調査(補足調査)
◆土壌・地質、植生と水質との関係把握(大山、涵養域を推定した湧水について)
…涵養域の土壌、植生調査、土壌浸透水、渓流水・湧水、樹幹流の水質調査、土壌・鉱物からの溶解実験 
 1,779

5必要性・背景

鳥取県は緑豊かな自然に恵まれ、“名水”と呼ばれる良好な水環境が多く存在し、昔から人々に親しまれ大切に引き継がれている。その多くが地下水・湧水で、大山周辺地域に集中。

○大山南西麓地域に地下水利用を目的とした企業の進出が相次いだことを契機に、県内の地下水・湧水への関心が高まった。

○これを受け、H19〜21年度に「持続可能な地下水利用検討事業(水・大気環境課)」で、鳥取大学の関連分野の専門家とともに、大山南西麓と鳥取平野を対象に、地下水の量や収支等を把握するための共同研究を実施し、大山南西麓では、年間降水量の約10〜20%、約4,400万m3の水が深部地下水層へ供給されていると推定された。

しかし、限界揚水量を把握して地下水・湧水を保全・管理するためには十分でなく、また、今回の研究対象地域以外については知見が無い。

○共同研究の結果、H22〜H23年度に関係行政機関による検討会での制度検討、及び市町村及び地下水利用事業者を対象とした意見交換会が開催された。これらの結果を踏まえて、条例による規制が検討されている。

○条例化の検討では水量や収支等が検討材料。塩分濃度以外の水質やその形成過程、及び周辺の自然環境は考慮されない。

○地下水・湧水の良好な水質は周辺の自然環境によって形成されると考えられ、もっと目を向けられるべきであるが、水質形成や水循環、周辺の自然環境との関係について不明。

6成果の活用・効果

◆この研究で得られる知見を広く情報提供し、規制等の制度とは別のステージから、人の感覚に訴えながら、地下水・湧水の保全や賢明な利用を図るとともに、周辺(特に涵養域)の自然環境保全に繋げる。

○県内の地下水・湧水の水質や年代に関する知見
→ 「身近な地下水・湧水が良好な水質で、長い時間をかけて形成されたものであること等をデータで示して県民の意識を高め、県内の地下水・湧水の保全や賢明な利用に繋げる。

○地下水・湧水の涵養域や、周辺の自然環境が地下水・湧水を涵養して水質を育む過程についての科学的知見
→推定された涵養域周辺を保全することで地下水・湧水の保全に繋げる。
→ 地下水を育む自然環境(森林、土壌・地質等)も「資源」として捉える意識や関心を高め、自然環境保全に繋げる。

◆ 「持続可能な地下水利用検討事業」で検討されている条例等の規制に対しても、県民の理解が得られやすくなる。 

◆「降水が地表に到達して地中を浸透・流動する過程での、植生、土壌・地質との相互作用によって水質が形成される機構」や、「どこから何年かかって来ている水である」等といった科学的な知見によって、鳥取県内の地下水・湧水のストーリーができ、付加価値が高まる。

これまでの取組と成果

これまでの取組状況


1 県内の国・県の名水指定湧水、及び大山山麓〜米子を中心とする西部地域の代表的な地下水・湧水の水質調査・評価を実施し、以下のことが判った。
(1) T型(アルカリ土類炭酸塩型:陽イオンでカルシウム等、陰イオンで炭酸系イオンの割合が高い)の水質を示すものが多かった。

(2) 水の味を良くする成分(カルシウム、カリウム、ケイ酸)と悪くする成分(マグネシウム、硫酸)とのバランスを数値化した「おいしい水の指標」で評価したところ、ほとんどが「おいしい水」となった。

(3) (1)、(2)の水質形成の一因として、大山山麓に広く分布する過去の火山活動に伴う噴出物の主要構成岩石とされる「デイサイト」中の成分鉱物の「灰長石」の風化反応が影響していると考えられた。

2 県内9地点の国や県の名水指定の湧水等について、大まかな年代を推定したところ、これら湧水が1980年代以降に涵養された「30年より若い水」であると推定された。

3 大山山麓の国・県の名水指定湧水等について酸素・水素安定同位体分析を行い、涵養域(平均涵養標高・方向)を以下のとおり推定した。

(1) 奥大山の水、枡水高原の水、及び地蔵滝の泉の平均涵養標高は約1000〜1100m程度と推定され(奥大山の水は南側斜面、他は北側斜面)、主に大山山体上部で涵養されていると考えられた。

(2) 本宮の泉と天の真名井の涵養標高は約600mと低く、主に大山の山腹〜山麓部の比較的標高の低いエリアで涵養されていると考えられた。

4 酸素・水素安定同位体分析を通じて、大山の高い標高で涵養された水ほど、冬季の降水(雪)による涵養の寄与が大きいことが示唆された。

これまでの取組に対する評価


◆ここまでに判った知見(大山山麓〜米子にかけての地下水・湧水の水質の区分・評価や、大山山麓の代表的湧水の涵養域推定)について、以下の機会等で住民や関係者に対して情報提供した。
 
○大山山麓・水の研究会キックオフセミナー(H22.12.15、米子市)
○鳥取県公衆衛生学会(H23.7.15、米子市)
○中国地区公衆衛生学会(H23.8.25、広島市)
○中海テレビ「環境ライフ」(H23.9月放映)
○鳥取県衛生環境研究所報(第51号)掲載(HP公開)予定

 これら発表等を通じて、やや専門的な内容であるものの、「勉強になった」という声他、事後の問い合わせや資料請求もあり、高い関心を持ってもらえ、理解が深まったと考えられる。
 「科学的な知見を得て広く公表して関心を高めて保全や賢明利用に繋げる」という当方の姿勢が、好意的に捉えられている感触もある。

工程表との関連

関連する政策内容

環境の保全・再生と活用に資する調査研究

関連する政策目標

湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に資する研究成果


財政課処理欄

要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 1,118 0 0 0 0 0 0 0 1,118
要求額 1,779 0 0 0 0 0 0 0 1,779

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 1,779 0 0 0 0 0 0 0 1,779
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0