1 目的
○コンクリートひび割れの抑制対策について、発注者として関わっていく。
○このため、コンクリート構造物に係る各段階(設計→積算→生コン製造→施工→維持管理)での役割分担を明確化し、鳥取県の地域性等を考慮したマニュアルを作成することで、受発注者が協働してひび割れ対策に取り組む。
2 背景
○コンクリートのひび割れが頻発
○インフラの長寿命化による維持管理コストの縮減が必要
○「コンクリート構造物のひび割れ抑制対策指針」(H2年度)から20年以上経過しているため新たな知見を加えた見直しが必要
○H20年度から(財)鳥取県建設技術センターで実施してきた「ひび割れ調査」によるデータの蓄積(データ数120)
3 問題点・課題
コンクリートのひび割れが発生した場合、次の問題点へつながる。
(1)工事工程遅延・工事コスト増大
- 工事中にひび割れが発生すると、調査・補修のために工事工程の遅延や工事コストの増大
(2)耐久性の低下・維持管理コスト増大
- ひび割れは、構造物の耐久性に悪影響を及ぼす場合が多く、点検・補修に要する維持管理コストが増
- 瑕疵担保期間(2年間)には顕在化しない潜在的なひび割れが発生することが懸念され、今後顕在化した場合、発注者の負担で補修する必要がある。
(3)構造物の信頼性低下
- トンネルや高架橋からのコンクリート片落下事故に代表されるように、ひび割れに起因した構造物不具合や性能低下による信頼性低下
- 特に、東日本大震災のような計画規模を上回る外力が発生した場合を想定すると、コンクリート構造物の一定レベルの性能を確保することは重要
⇒これまで、コンクリートのひび割れ対策は受注者の責任としてきたが、今後は受発注者が協働してその抑制に取組むことが喫緊の課題
3 事業内容
(1)検討委員会の開催
「ひび割れとその原因の事例集」、「ひび割れ対策マニュアル」の内容について検討するため、関係者による検討委員会を開催する。(2回)
(想定メンバー:鳥取大学工学部土木工学科教授、コンクリート診断士協会、設計コンサルタント、生コンクリート工業組合、土木施工管理技士会、(財)鳥取県建設技術センター、鳥取県県土整備部)
(2)ひび割れとその原因の事例集作成
既存のデータを活用した事例集を作成する。
※コンクリートに関する試験、ひび割れ診断を実施しており、そのノウハウのある(財)鳥取県建設技術センターに委託する。
4 全体計画
○実施期間 H24〜26
○事業内容
- 検討委員会の開催(H24〜26)
- 「ひび割れとその原因の事例集」(H24)
- ひび割れ抑制対策の試験施工・データ収集(H25〜26)
- 「ひび割れ対策マニュアル」の作成(H26)
【マニュアルの特長】
●役割分担の明確化
- コンクリートに係る設計・積算・製造・施工での役割(責任)分担の明確化
- 特に、川上側(設計・積算)でひび割れ抑制を考慮
●鳥取県の地域特性等考慮
- コンクリートに使用する材料(セメント、骨材、混和剤)特性
- 気象条件を考慮