(1)牛の肥育は、輸入穀物に頼っているため、変動する穀物相場のため経営が安定しない。
現在、配合飼料(58円/kg程度)より、飼料米のほうが安く(30円/kg程度)、栄養価も同等である。米の利用で経営が改善する可能性もある。
(2)米の利用の拡大に伴い、県内の作付け面積は3年間で42倍に急増した。今後も増える見込みで、需要の増加に対応できると思われる。
H21年:10ha(52t)→ H23年:419ha(2,287t)
(3)和牛肥育では利用が進まず、1戸が自家栽培米を少量使うのみである。使用事例(肥育データ)の少なさが普及を妨げている。
【H22 県内の飼料米利用状況】(農場数)
乳用牛肥育 346t(3) 養豚 249t(3) 採卵鶏 174t(5)
和牛肥育 少量(1)
(1)和牛肥育農家の飼料米の利用を促進するため、不安感の払拭のための実証展示もかねて、試験を行う。
和牛の肥育には2年かかり、また肉質により販売価格が大きく上下するため、未知の飼料の導入には、和牛肥育農家は特に慎重である。
(2)飼料米を手に入れるには、栽培農家と契約しなければならない(食糧法)。農家が「試しに少量を使ってみる」ことが出来ないため、試験場が給与量を明確にしなければならない。
(3)25年ほど前の数県での試験データはあるが、当時と牛の種類(系統)が大きく変わったこと、肉質のデータが乏しい等のため、参考にできない。
(1)低コスト・安定供給の国産飼料を利用することで、経営の安定と、ひいては後継者の育成が実現する。
(2)肉質の向上が期待される。米ぬかの給与によりオレイン酸(うまみ)が増加した事例あり。
(3)飼料米は食用品種に比べ栽培が容易で、堆肥の大量投入や、機械化した大規模栽培に向くため、耕作放棄地の減少や資源循環型社会を実現する手段となる。
(4)ブランド化が期待される。
※鳥取畜産農協(乳用牛肥育)の「米そだち牛」は、生協会員を中心に支持され、また一連の資源循環の取り組みは全国表彰されている。