1 終了の理由
一定の成果が得られたため
2 事業の概略説明
米粉パン、飼料等米の新規用途への活用が試行されているが、定着には生産コストの大幅な低減が必須である。 また、主食用米においても、より一層の生産コスト低減が喫緊の課題である。
このため、多収米(収量約800s/10a)の活用、高能率作業法、資材費低減技術等を検討し、生産コストを1/3に低減することを目標とした低コスト化技術を確立するとともに、開発技術の主食用品種への適応性を検討する。さらに、品種や栽培条件による米粉製粉への影響等、加工適性についても明らかにする。
3 得られた研究成果
(1)鳥取県にあった多収イネの選定
・飼料用稲(WCS)の品種として、「たちすずか」を選定し、直播 及び移植栽培の特性を把握した。
・飼料用米品種として、「北陸193号」を選定し、直播及び移植 栽培の特性を把握した。
(2)水稲低コスト化に向けた栽培技術の確立
・多収品種「北陸193号」を用い、目標収量を得つつ、慣行栽 培に対して低コスト(1/3程度)化技術を得た。
(3)水田の有効活用に向けた管理技術
・耕作放棄地の復田化に向けた技術として、農業用機械を利用 した畦畔からの漏水防止技術を得た。
4 事業の効果
(1)多収イネの栽培普及
・「たちすずか」は、県東部のコントラクター組織が、種子増殖及 び飼料用稲(WCS)の生産を平成23年から開始し、普及を進
めている。
・「北陸193号」は、県西部の飼料栽培組織が、種子増殖及び飼 料用米の生産を平成22年から開始し、普及が進んでいる。
(2)水稲低コスト化栽培の普及
・育苗を省略した湛水直播栽培がJA等を中心に普及し始めた。
5 残された問題点
(1)畦畔管理作業の省力化が未確立
・畦畔管理で多くの時間を要する草刈り作業について、被覆 植物を利用した省力化を検討したが、短期間で被覆し、草刈 り作業を軽減する手法が未確立となった。
(2)体系的な耕作放棄地復田化技術が未確立
・耕作放棄地の復田化に向けた個々の技術、
例えば、農機具等を利用した葦等の禾本科植物や低木樹の 伐採方法、それらに要するコスト計算 など
6 問題点に対する対応
新規課題「耕作放棄地解消に向けた復田化及び畦畔管理技術の開発」として、予算要求し、以下の内容で対応する。
・被覆植物を短期間で被覆する技術を確立し、畦畔管理の省 力化を図る。
・既存の農業機械を利用しながら、比較的簡易な手法で復田 化する技術を確立する。