1 事業概要
県内経済を下支えし、雇用の受け皿である小規模事業者の経営改善や自立化を支援するため、商工会(商工会連合会)が行う経営改善普及事業に要する経費を助成(平成18年度に交付金化)。
2 調整要求の理由
最近の経済情勢を背景に厳しい経営環境に置かれている県内中小企業の経営改善や経営再生に向けた経営支援の一層の強化を図るため、商工会及び商工会連合会の定数削減計画を一部見直し、商工会連合会の産業支援センターに経営支援専門員を追加配置するもの。
〔経済情勢の動向〕
(1)中小企業金融円滑化法の再延長(H25.3までの再延長を今通常国会に法案提出)
金融庁では最終最後の再延長措置として、金融機関における条件変更等の支援対象を再生見込みのある中小企業者に限定するなど取扱いが厳格化される見通しであり、平成24年度以降、経営改善計画の策定や実行が急務の課題となってくる。
(2)歴史的円高及び国内産業の空洞化
歴史的円高の進行によって、製造業を中心として海外移転が加速化する傾向にあり、県内製造業においても取引減少など深刻な影響が懸念される。
(3)三洋CEの事業再編等
県内における基幹的大企業である三洋CEの事業再編が1月から実施され、直接取引のある製造業はもとより、小売・サービス業などへの間接的影響など、県内中小企業者への広範かつ深刻な影響が懸念される。
2 調整要求の内容
経営支援専門員等の設置に要する経費(人件費)について、3名分を増額。【12,740千円】
(1)交付対象職員の推移見込み
※平成19年度に決定した計画を一部変更
⇒平成25年度を目途に29名(H17比。当初は32名)削減
年 度 |
H17 |
・・・ |
H21 |
H22 |
H23 |
H24 |
H25 |
交付対象職員
(当初計画分) |
144 |
|
131 |
126 |
120 |
114 |
112 |
(緊急対応分)
※企業支援ネットワーク支援分 |
− |
|
− |
− |
− |
3 |
3 |
(合計)
※新たな定数 |
144 |
|
131 |
126 |
120 |
117 |
115 |
(2)人員増加の必要性
○人員増加により、とっとり企業支援ネットワークを活用して実施する連携支援(※)のコーディネート及び運用を担わせることで、より多くの中小企業の経営改善支援を行なうため。
○東・中・西部3カ所の産業支援センターに人員を配置することで、県内各地で機動的な支援が実施できるようにするもの。
※連携支援…県内中小企業支援機関及び金融機関が、企業の希望に応じて個別支援チームを結成し、高度な経営支援(経理指導や融資あっせん等の日常的な経営支援ではなく、企業の存続・発展に関わる支援)を行なうもの。
なお、支援対象は、小規模事業者の経営再生案件や、県版経営革新支援のうち経営革新支援プロジェクト(金融信用力不足案件)にかかるものなど。
※人員を商工会(産業支援センター)に配置する理由は、活動範囲が全県にまたがるとともに、中小企業支援機関のコーディネート経験が、県内全域での積極的・効果的な支援に生かせるため。
3 調整要求の背景
○商工会(商工会連合会)の人員については、市町村合併に伴う商工会合併や、経営支援機能の再構築(産業支援センター設立)を踏まえながら、段階的に削減を進めて来た。
○しかしながら、人員削減計画策定当時と昨今の経済情勢は大きく異なってきており、県内中小企業を取り巻く情勢は一段と厳しさを増している。
○そこで、これまで進めてきた商工会(商工会連合会)の人員削減計画を一部見直し、経営コンサル機能の強化を図る。
○なお、今年度の決算審査特別委員会委員長報告においても、『経営支援担当者一人当りの経営相談等が増加基調にある中で、企業の経営環境の厳しさに対応するために定数削減計画の見直しをすべき」との指摘があったところ。
4 事業費
【調整要求額】
一人当り人件費4,247千円×3名≒12,740千円
※一人当り人件費は、これまでの算出方法に基づくもの。
(単位:千円)
区 分 | 24年度
調整後要求
(23年度予算額) | 備 考 |
人件費 | 530,358
(543,098) | 交付対象職員 117名
(H23→H24 ▲3名) |
事業費 | 67,190
( 67,190) | |
計 | 597,548
(610,288) | |
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【調整前】
(単位:千円)
区 分 | 24年度課長査定(23年度予算額) | 備 考 |
人件費 | 517,618
(543,098) | 交付対象職員 114名
(H23→H24 ▲6名) |
事業費 | 67,190
( 67,190) | |
計 | 584,808
(610,288) | |
|
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
〈政策目標〉
○企業支援体制の充実
各種団体等による自主性を活かした効果的、効率的な事業展開を促し、各主体の自立を促進するため、自由度の高い交付金制度を創設するとともに、自立を目指す団体(事業者等)の取組に対して支援を行う。
〈取組〉
○経営改善普及事業の実施
小規模事業者等に対し、日常的な経営管理(金融、税務、労働、取引等)に関する巡回・窓口相談及び講習会開催等による支援を実施。
○新事業展開支援の実施
創業や経営革新の促進等小規模事業者の自立及び向上発展を推進するための支援を実施。
○均一で高度な経営支援サービスの提供
人材を集中配置して巡回に重点を置いた支援を展開するとともに、県内どこでも均一で高度な経営支援サービスを提供。(産業支援センター体制の構築)
〈現時点での達成状況〉
○小規模事業者等からの様々な経営相談に対応中。
〔H22経営相談件数〕 ※商工会議所・商工会計73,536件(※全事業者) 経営一般27,500件、税務9,001件、金融9,279件、労働7,648件、経営革新3,620件、創業1,299件、その他15,189件
○経営革新を図るためのビジネスプラン策定を積極的に支援。
〔経営革新計画承認件数〕 ※商工会議所・商工会計
H20:44件 → H21:62件 → H22:56件
これまでの取組に対する評価
〈自己分析〉
○H18の交付金化により補助金事務の省力化が図られ、交付対象職員が経営支援業務へ注力することが可能となった。また、H20に相談窓口機能の強化等も行われた。
○これらにより、相談対応件数や経営革新計画承認件数が増加傾向にあり、効率的な支援体制が構築されつつある。また、支援を通じて企業の仕組みづくり(経理処理の自社実施等)や経営指標改善に結びつくケースもあり、一定の効果を上げている。
○また、産業支援センター体制により、広域での経営戦略策定に経営支援専門員等が積極的に参画・支援できており、地域全体の底上げに繋がりつつある。
○しかしながら、「3 調整要求の背景」でも記載したとおり、県内中小企業を取り巻く情勢は一段と厳しさを増しており、経営コンサル業務をより一層強化する必要が生じている。