1 事業内容
○中部地区の胃がん死亡率は、他圏域に比べて高い。
○胃がん検診受診率は他圏域に比べて低く、特に胃内視鏡検診
の受診率は極端に低い。
⇒胃がん死亡率を減少させるため、管内1市4町及び中部医師
会、地域がん診療連携拠点病院(厚生病院)等と連携した胃が ん検診受診率の向上を目指す取組を実施する。(平成23年度 から3年間のモデル事業の最終年度)
【平成25年度(3年目)の取組のポイント】
(1)がん検診推進パートナー企業(職域)をベースに胃がん検診受 診率向上を図る。
特に、胃がん検診を行っていない事業所の従業員への市町検診 受診を促進する。
(2)がん体験者や家族の体験談の周知により、検診の動機付け、 受診行動につなげる。
(3)「私(主治医)が胃がん検診を勧めます」といったポスターをか
かりつけ医に配布・掲示し、医師からの受診勧奨を強化する。
【平成25年度の重点項目】
職域に焦点を当てた受診勧奨
【目標】
受診者全体の増
職域の受診者増(市町検診受診)
前年未受診者の受診者増
胃内視鏡検診受診者の増
【具体的目標】
胃がん検診受診率:対前年度3割アップ
H23年度:目標21.8%(H20年度16.8%を基準)
実績19.4% 約2割弱アップ 1,099人増
→H24年度:25.2%(H23年度実績の3割アップ)
→H25年度:32.7%(H24年度の3割アップ)
⇒H20年度受診率の2倍 |
<概要>
(1)胃がん検診の受診啓発
○医師の技術向上のための研修と精度管理
【厚生病院主催、中部医師会・県共催】
対象者 | 胃がん検診精密検査登録医療機関の医師 |
開催回数 | 2回/年 |
内容 | 症例検討会等 |
○中部医師会と連携した胃がん検診が身近で受けられる体制
づくり
ア)かかりつけ医研修の実施
【県主催、中部医師会・厚生病院協力】 |
対象者 | 内科医等地域のかかりつけ医 |
開催回数 | 1回/年 |
内容 | 中部のがん検診の実態と重症化例の紹介 |
イ)かかりつけ医が受診勧奨するためのポスターの配布及び待合室でのDVD放映(DVDの放映【新】)
【県主催、中部医師会協力】 |
内容 | かかりつけ医ががん検診を勧めていることが分かる内容のポスターの配布・掲示
23年度・24年度に作成したDVDを病院、診療所での待ち時間を活用して放映 |
配布先 | 管内医療機関 |
○胃がん検診の受診、胃内視鏡検診の有効性について県民への教育
【県主催】
ア)中部弁でのラジオスポットによる啓発【県主催】 |
時期 | 5月、9月 各1か月間 |
放送回数 | 1日3回 平日20日間程度/月 |
内容 | 胃がん体験者の体験談により受診への動機付けと受診行動の促進をするもの
1回30秒 中部弁での啓発
月〜金の曜日ごとに1種類 計5種類
(内容例)
・胃がん検診を受けておらず、進行がんで見つ
かった患者の体験談
・胃がん検診で早期にがんが見つかった患者の
体験談
・がん患者の家族の体験談 |
イ)啓発チラシ・ポスターの作成・配布
【県主催・中部医師会・市町協力】 |
内容 | 未受診者にターゲットをあて、受診行動につながるもの(体験談の記載) |
配布先 | 管内市町、医療機関,企業等 |
ウ)中部地区胃がん死亡ゼロのまち強化月間の実施
【県・市町共催】 |
時期 | 5月・9月 各1か月間 |
方法 | 各市町一斉実施。県はラジオスポットの放送
胃がん死亡ゼロ推進キャラバン(5月・【新】9月)
(1市4町を巡回しキャンペーンを実施) |
エ)出前講座(いいとも大作戦) |
方法 | 各市町から企業を推薦してもらい、出前講座を実施。企業には次の企業を紹介していただき出前講座実施企業を広げていく。
平成24年度作成の胃がん検診受診勧奨DVD(企業用)の活用 |
【市町実施】
ア)健康づくり推進員等へのがん検診推進研修会の実施
【厚生病院協力】 |
内容 | 各市町ごとに実施
中部管内の検診実施状況の現状と重症化例、胃内視鏡検診の有効性の啓発
平成24年度作成の胃がん検診受診勧奨DVD(市町用)の活用 |
○職域への受診勧奨の強化
ア)【新】企業向けチラシの作成・配布 【県主催】 |
内容 | 職場で胃がん検診を受診できない人に、市町検診が受けられることをPRするもの |
配布先 | 管内企業 |
イ)企業訪問・通知による受診勧奨【県・市町実施】 |
方法 | 企業訪問や文書通知により、企業のトップから従業員へ受診勧奨をしていただくよう依頼 |
ウ)【新】企業の優良事例の紹介【県・市町実施】 |
内容 | 企業のがん検診の優良取組を市町報に掲載し広報 |
(2)中部地区胃がん検診推進連絡会の開催
【県主催、市町・厚生病院・中部医師会協力】
住民代表や医療機関、検診実施機関、職域及び商工関係機 関等による連絡会を開催し、胃がん検診受診率を向上させ、死 亡率を減少させる方策について意見交換を行う。
◇開催時期:6月、1月
2 要求額
要求額:2,407千円(国補1/2)(H24年度 2,407千円)
3 事業期間
平成23年度から25年度(平成25年度は最終年度)
4 背景・目的
○中部地区の胃がん死亡率は、他圏域に比べて高い。
○中部地区の胃がん検診受診率は東部、西部に比較し低い。
中でも、中部地区は胃内視鏡検査の受診率がきわめて低
い。
→胃がん検診の受診率をアップさせ、がん死亡率を減少させる ことが必要
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
■医師の技術向上のための研修と精度管理
・厚生病院主催で症例検討と胃部X線写真撮影の制度管理につい
て研修会を開催
■中部医師会と連携した胃がん検診が身近で受けられる体制づくり
<平成23年度>
・中部地区の胃がん死亡率や受診率について、理解を勧めるための
かかりつけ研修を実施。
・管内内科医療機関を個別訪問し、中部の胃がん死亡の状況につ
いて理解していただきくとともに、胃がん検診の受診勧奨依頼を
行った。
<平成24年度>
・かかりつけ医の取組状況を確認し、再度の受診勧奨を依頼予定。
■胃がん検診の受診、胃内視鏡の有効性について県民への教育
○メディアによる胃がん検診受診啓発
<平成23年度>
・中部のゆるキャラが出演したTVスポットを5月・9月・12月にNCN とTCCで放送
<平成24年度>
・中部弁で受診を働きかける内容のラジオスポットを各月毎にテーマ を設定し、FM山陰で放送
5月:胃がん検診をうけましょう
9月:胃がん検診をまだ受けていない人は早く受けましょう
○住民、企業への啓発媒体DVDの作成
<平成23年度>
・人形劇による啓発DVDを作成し、市町の健康教育に活用
<平成24年度>
・厚生病院医師のインタビュー(市町用)と講演(企業用)を収録した
DVDを作成し、市町の健康教育、企業への出前講座に活用
○中部地区胃がん死亡ゼロのまち強化月間
・5月、9月を「中部地区胃がん死亡ゼロのまち強化月間」として、各 市町が市町報や広報車による啓発を一斉実施
<平成23年度>
・9月に「胃がん死亡ゼロ推進キャラバン」として1市4町を巡回しキャ
ンペーンを実施
<平成24年度>
・5月の検診が始まる時期に合わせて、「胃がん死亡ゼロ推進キャラ バン」を実施
○がん検診推進講演会の実施
・厚生病院医師の協力のもと、各市町毎に健康づくり推進員等への
がん検診推進講演会を開催
○福祉保健局HPによる啓発
・胃がん検診の受診を啓発するトピックページを作成し、TVスポットC MやラジオスポットCM、人形劇、チラシを掲載
○総合事務所全体による啓発の実施
・受診勧奨チラシを医療機関のほか、総合事務所の各局が出席する 会議で配布する等、他局の協力も得ながら、所を上げての啓発を
実施
■職域への受診勧奨の強化
・がん検診パートナー企業の認定拡大と、認定企業に対して受診
勧奨強化の依頼を随時実施
・事業所訪問や、通知・ポスターの配布を実施
・職域を焦点に当てた受診勧奨の記事を町報に掲載
・商工会便りに記事を掲載
■中部地区胃がん検診推進連絡会の開催
・住民代表や医療機関、検診実施機関、職域及び商工関係機関等 をメンバーとし、胃がん検診の実態や受診率向上への取り組みに
ついて意見交換を実施。
・特に、職域のがん検診の実態について把握する機会となり、職域 に焦点を当てた取組を検討できる連絡会となっている。
これまでの取組に対する評価
■平成23年度(1年目)
○中部地区の胃がん死亡率が高いこと、胃がん検診受診の必要性 及び胃内視鏡検査の有効性についての啓発を重点に実施
→中部地区の胃がん検診受診者数は、1,099人の増、受診率 は平成20年度の約2割増の19.4%となった。(平成23年度 目標受診率:21.8%)
→特に、胃内視鏡検診の受診率は約6割増加し、受診者数では、
1,604人増加と、飛躍的な伸びとなった。
■平成24年度(2年目)
○胃がん検診受診率を全体的に引き上げること、胃内視鏡検査の 有効性の啓発、及び職域への啓発を重点に実施。職域では、が ん検診推進パートナー企業の拡大を通じて事業を推進
→平成24年度の受診者、受診率ともに増加の見込み
→がん検診推進パートナー認定企業の拡大
平成23年度認定企業数 19件
平成24年度認定企業数 44件(10月末時点)
■受診率が向上している要因
市町・中部医師会・地域がん診療連携拠点病院(厚生病院)・県が 胃がん検診受診率の向上を中部全体の共通課題として認識し、一
体となって取組むことにより、取組が活発化し、受診率の向上につな
がった。
@中部地区の胃がんの現状についてかかりつけ医に理解して頂 き、かかりつけ医からの受診勧奨が促進された。
A地域がん診療連携拠点病院の医師による各地区への巡回講演 の実施により、中部の胃がんの実態が周知され、住民の意識改
革が図れた。
Bプロジェクト事業を契機として市町独自で新たな取り組みが次々 と開始された。
・防災無線を活用した検診PR(倉吉市)
・健康マイレージを実施(三朝町、琴浦町)
・集団健診希望者へ期日指定日の案内通知発送、期日指定対 象者に対し電話による受診勧奨(湯梨浜町)
・毎月、街頭キャンペーンを実施(湯梨浜町)
・検診受診率の低い部落を対象に健康教育を実施(琴浦町)
・商工会に対し、医療機関委託検診の紹介と取りまとめ(琴浦
町)
・町内事業所へ従業員の検診受診勧奨依頼を通知(北栄町)
・町独自でがん検診受診啓発チラシを作成し、全戸配布(北栄
町) 等