1 事業内容
パイプハウス等の園芸施設に関する、生産組織等による機能強化研修会の開催を支援し、園芸施設の機能強化の技術習得を促し、点検活動へと取組をつなげていく。
さらに機能強化の実施を支援することによって、園芸施設の長寿命化や遊休化施設の再活用等を図り、産地の維持・拡大と農業経営の改善につなげる。
【取組の流れ】
ア 農林局を中心とした検討会で点検シート等を作成
イ 園芸施設の機能強化研修会の開催
ウ 生産組織等を中心とした園芸施設の点検活動の実施
(点検シートの活用)
エ 園芸施設の機能強化の実施
○パイプハウスの地際の強化による長寿命化
(遊休化施設の再活用を含む)
2 事業費、要求額
(1)県事業
ア)点検シート等作成検討会の経費
事業費 37千円(検討会3回)
要求額 37千円(県10/10)
イ)県標準事務費(使用料)
要求額 27千円
(2)組織活動費(機能強化研修会、点検活動の実施)
事業費 188千円(47千円×4取組)
要求額 94千円(県1/2)
(3)園芸施設の機能強化(園芸施設の機能強化、高度化利用)
事業費15,116千円(3構造×4土壌条件×3棟)
要求額 7,758千円(県1/2)
要求額合計 7,916千円
3 補助率、事業実施期間、事業実施主体
(1)補助率
3/4(県1/2、市町村1/4)
(2)事業実施期間
平成25年度から27年度まで(3年間)
※点検シート等作成検討会は平成25年度のみ
(3)事業実施主体
生産組織、農業協同組合
4 採択要件
ア 対象施設は園芸用のパイプを主とした構築物であること
イ 対象施設は設置後7年を経過していること(ただし、補助事業によって設置された対象施設については、当該補助事業で定める耐用年数を経過していること)
ウ 原則として、機能強化を図ることにより、およそ3年以上の長寿命化が見込まれること
エ 対象経費は、施設本体の機能強化に要する経費とし、被覆資材は対象外とする
5 採択数
施設の機能強化は単年度につき、各条件(パイプハウスの構造、土壌条件)に基づき、1事例(3棟)ずつ実施することを基本とする。
6 背景、目的
(1)背景
○中部地区は県内で有数の園芸産地であり、古くから、スイカ、トマト、イチゴ、ブドウ、梨といった品目が広く栽培されている。また、生産安定、品質向上、作期・作型の拡大等のため、早くからパイプハウスや網掛け施設等の導入が進められてきた。現在の中部地区ではこのような園芸施設が必須のものとなっているが、年数を経過した施設も多いため、劣化が懸念されている。
○近年の資材高騰によって、園芸施設の導入には多額の費用を要するようになった。しかし、高額な割には施設の耐用年数は比較的短い(パイプハウスで7年)ため、償却期間が過ぎても経済余剰の確保が難しく、再取得が困難となってきている。
○また、園芸施設は金属を主とした構築物であることから、塩害や湿害によって劣化を生じやすい。さらに台風の大型化や積雪量の増加によって、自然災害に遭う危険性も高まっている。
○生産者の高齢化が進む中、園芸施設が使用出来なくなった場合は再取得せずに、当該作物の生産を止めるケースが見られるようになった。また、所有者が生産を中止しても施設は使用出来る場合があるが、強度に不安がある等により再活用が進まず、遊休化することがみられ始めている。
○園芸施設の維持は、産地にとって死活問題である。しかし、個々の生産者において、園芸施設の点検や機能強化技術の習得にあまり取り組まれていないため、園芸施設の劣化や減少が進み、産地が縮小・消滅することが危惧されている。
○園芸施設の劣化の程度は、その立地条件(土壌条件)やパイプの太さ(径)等に影響されやすいと考えられているが、条件の違いによる検証は行われていない。
○現状においては、すべての生産者が施設を更新・再取得することは難しい。そのため、既存施設を出来るだけ長期間使っていくこと(長寿命化)や、再活用を図っていくことが重要である。
○そこで産地自らが、園芸施設の機能強化の技術習得や点検活動に取り組むとともに、園芸施設の長寿命化や遊休化施設の再活用等を図るため実証的取り組みを進め、他の生産者の取り組みへと波及させていく必要がある。
(2)目的
園芸施設の機能強化や点検活動に、産地自らが取り組むことを支援することによって、園芸産地の維持・発展を図ることを目的とする。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○パイプハウス等の園芸施設の機能劣化は、施設の遊休化につながるが、劣化を防ぐ方策の取組は、あまり浸透していない。
○パイプハウスの機能強化のための研修会をJA、県が開催し、対策技術の啓発を実施した。
JA主催 平成23年12月
県主催 平成23年、平成24年
これまでの取組に対する評価
○園芸施設の保守点検や機能強化は、個々の生産者の判断であり、生産者ごとの対応の差が大きい。
○適切な保守・点検の知識や技術が広まっていないため、施設の遊休化を防ぐための取組を進めていく必要がある。