1 事業の目的・背景
平成25年度は「全国植樹祭」、「山陰海岸国立公園指定50周年事業」、「全国都市緑化とっとりフェア」、「エコツーリズム国際大会」といった自然や緑をキーワードとしたイベント・大会が全県下で実施される。
→本県の緑や自然の豊かさを国内外にアピールするには絶好のタイミング。
→そうした背景の中、本県の自然公園(大山・三徳山・氷ノ山)に眠る潜在的な魅力を引き出して世界に発信し、その素晴らしい自然の素材を十分に生かし切って国内外からの誘客を創出、交流と連携が活発に行われることにより、その自然を守り育ててきた地域の人々が豊かさを享受できる自然公園づくりを推進する。
(1)未来へ引き次ぐ大山環境「新時代」の創出
国立公園「大山環境宣言」の採択を契機とした環境先進地
「大山」の取り組みと魅力を発信
(2)天空の修験場「三徳山」の魅力を世界に発信
三徳山の国立公園編入を契機とした「傑出した自然」とそ
れを守り育てた「修験の歴史文化」が織りなす魅力を発信
(3)世界に打って出る「氷ノ山グリーンエコリゾート」整備
国定公園氷ノ山を核としたオールシーズン自然体感リゾー
トの拠点づくり
事業内容 | 要求額(千円) | 前年度予算額 |
(1)大山環境「新時代」の創出 | 2,146 | |
大山環境フォーラムの開催 | 526 | |
大山の自然を守り育む活動展巡回展示 | 980 | |
大山登山案内リーフレット発行 | 640 | |
(2)三徳山の魅力を世界に発信 | 5,000 | 2,860 |
国立公園修験道フォーラムの開催 | 2,500 | 500 |
三徳山ガイドブックの発行 | 1,000 | 2,360 |
三徳山魅力発信DVDの作成 | 1,500 | |
(3)「氷ノ山グリーンエコリゾート」整備 | 16,067 | 282 |
響の森リニューアル基本・実施設計 | 6,377 | |
氷ノ山登山道の整備 | 8,885 | |
氷ノ山グリーンエコリゾート推進協議会の開催 | 805 | 282 |
合 計 | 23,213 | 3,142 |
1 未来へ引き継ぐ大山環境「新時代」の創出
○国立公園大山は、大山の頂上を保護復元する取り組み等、全国にも例のない先進的な自然保護活動が長年行われてきた地域である。
○大山を守る取り組みは、県内の環境保全活動の象徴として全県に浸透してきたが、大山周辺地域では、今後、これらの活動経過を風化させることなく育み活かす取り組みへと展開し、さらに全国的な広がりやうねりに発展させるため、大山を舞台に「大山環境会議(仮称)」を組織し、来年6月の夏山開き祭での「大山環境宣言(仮称)」の採択を目指している。
○この「大山環境宣言」の採択を契機として環境先進地「国立公園大山」の取り組みと魅力を世界に発信し、大山の環境を未来に継承していく。
(1)大山環境フォーラムの開催 526千円(0千円)
○大山環境宣言(平成25年夏山開き祭)により高まる環境保全の気運を継続し、エコツーリズム国際大会(平成25年10月)での気運醸成に繋げるため、夏期に今後の大山を考えるフォーラムを開催する。
○フォーラムでは、国内外の国立公園における先進取組事例から考える今後の大山の姿について語り尽くす。
(2)「大山の自然を守り育む活動展」の巡回展示
980千円(0千円)
○これまで大山で脈々と行われてきた「一木一石運動」「大山一斉清掃」に加え、「頂上トイレ汚泥のキャリーダウン」「大山環境宣言」等の新たな取り組みなど、大山の自然環境を守り・育み・活かす活動をパネルにし、大山を訪れる県内外の観光客や登山者等に紹介することで、保全活動に支えられた大山の魅力を全国に発信する。
(3)大山登山道案内リーフレットの発行 640千円(0千円)
○大山環境宣言などの登山マナーや大山の歴史等を記載した登山者用携帯パンフレットを作成し、大山の環境に配慮した登山行動に導く。
2 天空の修験場「三徳山」の魅力を世界に発信
○平成25年度の大山隠岐国立公園への編入を契機に、日本一危険な国宝「投入堂」を擁する三徳山の全国的な知名度の向上が期待されている。
○三徳山の急崖地形に恵まれたその谷深い複雑な地形は修験道を産み、聖域として守り育てられたその自然は、鳥取県内でも最も植物相が豊富で貴産種も多く鳥取県の植物宝庫としてふさわしい。
○国立公園編入の資質ともなっている「特徴ある地形」や「深々と生い茂る原生林・植物の特殊性・希少性」、「天空の修験場として自然を守り育てた修験道文化」が織りなす「奇跡の風景」とも称される三徳山の魅力を国内外に発信し、誘客と保全意識を創出する。
(1)国立公園修験道フォーラムの開催 2,500千円(500千円)
○三徳山の特徴ある地形や植生の特殊性・希少性が生み出す傑出した自然の魅力と、それを聖域として連綿と守り育ててきた歴史と文化の魅力を重ねて「三徳山の悠久の普遍性」をさらに深化させ、その魅力を国内外に大きくアピールして誘客を創出する取り組みとして、国立公園修験道フォーラムを開催する。
○国立公園修験道フォーラムでは国立公園・修験道文化の継承など共通点を持つ地域を招いて、文化の継承と自然環境の保全を通じた情報発信を行う。
○フォーラム開催に併せて、県内外から参加者を募りワークショップを開催し、著名人とともに三徳山を体験する取り組みも実施する。
【修験道の霊場のある主な国立公園】吉野熊野国立公園(大峰山、吉野山など)、磐梯朝日国立公園(出羽三山)、霧島屋久国立公園(霧島山群) など
(2)三徳山ガイドブックの発行 1,000千円(2,360千円)
○三徳山の国立公園編入については、平成25年秋の中央環境審議会に諮問される予定であり、現在、国立公園編入後のPR媒体として『三徳山ガイドブック』の版下作成を進めている。(平成24年度末完成予定)
○平成25年度はその『三徳山ガイドブック』を発行し、全国へ三徳山の魅力を発信する。
(3)三徳山魅力発信DVDの作成 1,500千円(0千円)
○三徳山の国立公園編入を記念し、天空の修験場「三徳山」の魅力を効果的に発信するため、DVD(多言語対応)を作成し、国内外へ幅広く広報することで、「とっとりグリーンウェイブ」の推進及び世界遺産登録に向けた機運醸成を図る。
3 世界に打って出る「氷ノ山グリーンエコリゾート」整備
○海外でも「緑豊かな山」と評される氷ノ山を、「氷ノ山グリーンエコリゾート(オールシーズン自然体感リゾート)」として世界に発信し、エコツーリズム・スポーツツーリズムを主軸とした氷ノ山ならではの通年型観光の拠点づくりを進める。
※第3回氷ノ山一帯の地域経営の在り方検討WGでオーソライズ予定
○既存資源(スキー場・登山道・林道・伊勢道等)とツーリズムの拠点としての「響の森」、宿泊・スポーツ合宿施設としての「氷太くん」「民宿」を活用し、「ツーリズム」「韓国からの登山客」「教育旅行(登山体験等)」を柱として誘客の取り組みを進める。
(1)氷ノ山の目指すべき方向性と施策展開の概要
○氷ノ山は氷ノ山後山那岐山国定公園の中心地であり、四季折々の変化に富んだ美しい自然を有していることから鳥取・兵庫県際の貴重な観光資源。しかし、国定公園の拠点エリアとしてその素晴らしい資源が生かし切れておらず観光の過疎化が生じている。
○氷ノ山は、今ある地域資源である登山道を利用した環境登山、登山道〜林道〜旧伊勢道を活用したトレイルラン、将来的には氷ノ山から扇ノ山までの縦走路パノラマラインを開設しての広域ツーリズムの展開、グリーンシーズンのゲレンデを活用したMTBイベント、ウインターシーズンのスノートレイルなど、既存の地域資源を優先的に活用した氷ノ山ならではの新しいエコツーリズム・スポーツツーリズムの展開が期待できる。
○そこで、海外でも「緑豊かな山」と評される氷ノ山を、「氷ノ山グリーンエコリゾート(オールシーズン自然体感リゾート)」として世界に発信し、通年型観光により地域全体が経済的な豊かさを享受できる仕組みを構築するため、多様な主体の参画と協働の下に国内外からの誘客の取り組みを推進していく。
(2)氷ノ山自然ふれあい館“響の森”施設リニューアル
6,377千円(0千円)
○氷ノ山一帯の地域経営の在り方検討ワーキンググループにおいて、氷ノ山地域における「響の森」の役割を、「自然環境教育」「ツーリズム」「氷ノ山地域の情報発信(ビジターセンター)」の拠点施設として位置づけが図られた。
○その役割を果たすため、「自然体験」と「自然情報展示」を充実させるための必要な改修を行う。
「自然情報展示」「標本製作体験ラボ」「多目的スペース」「創作体験スペース」等を整備する。
(1)これまでの経緯
年度 | 概 要 |
H11 | 氷ノ山自然ふれあい館「響の森」設置
(総事業費:約31.3億円、入館料:大人500円)
<「森の精ノームが道案内する森の体験学習施設」をテーマに固定展示機器を中心とした有料施設としてオープン> |
H16 | 入館者数減少への対応として、職員数の減・展示機器等に係る保守費用の大幅削減等をした上で、無料施設に転換。
固定展示から自然体験プログラム等のソフト事業中心の運営に転換 |
H18 | 指定管理者制度「第1期:3年間」スタート 「鳥取県観光事業団」 |
H21 | 指定管理者制度「第2期:5年間」スタート 「鳥取県観光事業団」
自然体験プログラムに力を入れた運営を行っている。 |
H22 | ■利用者・有識者による意見交換会を開催。(2回)
■現状の課題、展示更新及び施設運営の在り方等について
意見集約 |
H23 | ■平成22年度事務監査において「学校や子ども会等の団体を受
け入れるにも活動を行うスペースが不足しているため、今後計
画的に整備していく必要があると思われる。」との意見が附さ
れた。
■氷ノ山一帯の地域経営の在り方を検討する中で、「響の森」の
役割とリニューアル内容を決定することとなった(11月県議会) |
H24 | ■氷ノ山一帯の地域経営の在り方検討ワーキンググループを設
置(現在2回開催)
■響の森の役割とリニューアル内容についてオーソライズ。 |
(2)事業費 実施設計(建築) 6,835千円(0千円)
年度 | 項 目 | 要求額(千円) |
H25 | 建築 実施設計費 | 2,257 |
H25 | 展示 基本・実施設計費 | 4,120 |
| 小計 | 6,377 |
H26 | 建築 工事費 | 42,942 |
H26 | 展示 工事費 | 39,474 |
H26 | 備品 購入費 | 3,429 |
| 小計 | 85,845 |
| 合計 | 92,222 |
(3)リニューアルスケジュール
平成25年度 実施設計(建築)/基本・実施設計(展示)
↓
平成26年度 工事(展示・建築)/備品購入
↓
平成27年春 リニューアルオープン
(3)氷ノ山登山道の整備 8,885千円(0千円)
○氷ノ山を「氷ノ山グリーンエコリゾート(オールシーズン自然体感リゾート)」として、エコツーリズム・スポーツツーリズムを主軸に、地域資源を活かした通年型観光の拠点づくりを進めるに当たり、韓国の登山客と教育旅行(登山体験)を氷ノ山誘客の新たなターゲットとし、また登山を通じた兵庫県との交流促進を図るためには、鳥取県が管理する登山道はその重要なインフラとなる。
○氷ノ山は登りやすくリピーターの多い山と評されるが「標識が乱立していていたり統一感がなく分かりづらい」「多言語表記やユニバーサルデザインへの対応の遅れ」「路面の浸食やぬかるみがある」などが指摘されており、登山道の標識類の統合整備(両県で統一的整備)と路面整備を行ない、ホスピタティーの向上を図る。
年度 | 路 線 | 要求額(千円) |
H25 | 氷ノ越登山道 | 3,935 |
H25 | 自然探勝路 | 4,950 |
| 小計 | 8,885 |
H26 | 仙谷登山道 | 5,691 |
H26 | 三ノ丸登山道 | 6,603 |
| 小計 | 12,294 |
| 合計 | 21,179 |
(4)氷ノ山グリーンエコリゾート推進協議会の開催
805千円(282千円)
○平成24年度に開催した「氷ノ山一帯の地域経営の在り方検討ワーキンググループ」は、鳥取・兵庫両県が参画し行政・民ベースで氷ノ山地域の活性化を検討する初めての組織。
○WG会議では、現状の課題の精査と地域の目指すべき方向性の共有と各施設が果たす役割の明確化を図った。
○次のステップとして、海外でも「緑豊かな山」と評される氷ノ山を、「氷ノ山グリーンエコリゾート(オールシーズン自然体感リゾート)」として世界に打って出る取り組みを進めるが、この計画はまだ卵段階であり、エコツーリズム・スポーツツーリズムを主軸に、地域資源を活かした通年型観光の拠点づくりを具体的に検討・実行するため、「氷ノ山グリーンエコ リゾート推進協議会」を設置し、氷ノ山ならではの誘客の新しいアイデア・施策を創出する。
○また、推進協議会の中に「ツーリズム企画部会」を置き、具体的な商品造成と実行に伴う調整を行う。
■平成24年度 課題精査・目指すべき方向性
(1) わかさ氷ノ山自然ふれあいの里に係る現状の課題と目指すべき方向性
(2)鳥取県立氷ノ山自然ふれあい館の役割とリニューアルの方向性
(3)氷ノ山登山道に係る現状の課題と整備の方向性
(4)若桜・氷ノ山地域への韓国人観光客の誘客
(5)兵庫県と連携した活性化の取り組み案
■平成25年度 拠点づくりの具体的方策・商品造成・地域づくり団体の形成・団体やボランティアの活用・アクションプランの作成等
○通年型観光の拠点づくりの具体的方策の検討と実行体制整備・受け地整備○ツーリズム商品の造成と実行
・地域にある隠れた既存資源も利活用し市場のトレンドも取り入れた新しいア
イデア・取組みによる氷ノ山地域ならでは着地型の観光プログラムを造成す
る。
○地域づくり団体の形成・交流・連携
・市民力の喚起⇒地域の中で氷ノ山を支る担い手の形成と継続した取組み
・氷ノ山という地域資源を活用してお互いの地域づくりのノウハウを共有する
こと により今後の活動に資する。
○地域づくり団体・ボランティアの活用と拠点づくり
・地域づ くり団体・ボランティア組織の活用と交流の場としてのつく米分校
(休校)の活用を検討。
○アクションプランの策定
・兵庫県と連携した氷ノ山グリーンエコツーリズム旅行商品の造成
(冬場の魅力アップとグリーンシーズンの誘客)
・協議会共同による新商品開発(夏いちご ほか)
○チェックアンドレビュー体制
工程表との関連
関連する政策内容
県民、NPO、関係自治体等と協働で地域の宝である各自然公園の適正な管理、環境整備を行い、公園内の豊かな自然環境を活用しながらも適切に次世代に引き継ぐ。
関連する政策目標
国立公園の保護、整備に対する国・県の役割の明確化を進め、国立公園をはじめとした自然資源を次世代に引き継ぐ体制の構築を進める。