1 事業の概要
県内の湖沼河川における、カワウによる魚類の食害を軽減するため、鳥取県鳥獣被害対策連絡会議「カワウ対策部会」の検討結果を基に、漁業被害軽減を目的としたモデル事業を漁協等と連携して実施し、その効果を測定し、内水面漁業の振興に資する。
2 取組内容
(1)カワウの繁殖抑制
滋賀県琵琶湖で実績のあるエアーライフルによる親鳥の捕獲により、繁殖抑制および個体数を調整することを目的として、効果を検証する。
(2)漁業被害低減を目指した漁場での新たな取組の実施
アユの食害を減らすために、モデル的に日野川水系での以下の事業を実施。
・ウグイの種苗放流
・漁場に飛来したカワウの釣り針捕獲
・アユ逃げ場の設置
3 これまでの県の支援・調査状況
<平成16から18年度>
[カワウ食害防止対策事業](水産課)
○カワウ生息状況調査(委託) H16年度
○カワウ対策協議会の開催
○カワウ被害防除対策事業(国)
負担割合:1/2(国)、1/2(漁協)
平成19年度から事業の窓口が県から全内漁連へ移行
<平成20〜22年度>
主な地域 | 年度 | 主な活動内容 | 備考 |
| H20 | ・被害対策指導
・猫島でテグス、案山子を設置 | 生産振興課、湖山池漁協、鳥取市、地元 |
湖山池 |
H21 | ・追い払い
・生息地、土壌調査
(団子島で繁殖を確認)
・団子島でエアライフルによる有害捕獲を実施 | 生産振興課、水産課、水産試験場、公園自然課、湖山池漁協、鳥取市、地元 |
天神川 | H21
H22 | ・生息地、土壌調査
(向山で繁殖を確認)
鉄砲によるカワウの駆除を実施 | 生産振興課、水産課、公園自然課、水産試験場、倉吉市、天神川漁協 |
日野川 | H20 | ・アユ被害状況確認
・アユ追い払い実証調査
(案山子設置、花火による追い払い) | 生産振興課、日野川水系漁協 |
全域 | H21 | ・内水面漁協へカワウ被害アンケート調査 | 水産課 |
| H20 | ・繁殖地の現地確認(萱島(中海)) | 生産振興課 |
県外 | H21 | ・繁殖地の現地確認(萱島、松島、続島(中海)) | 生産振興課、水産試験場 |
<平成22〜24年>
各漁協が実施するカワウの駆除事業を支援し、駆除したカワウの胃内容物を調べることでカワウによる水産業被害額算定の基礎資料とした。
○鳥取県鳥獣被害対策連絡協議会 カワウ対策部会 H21.7
構成員:水産課(事務局)、水産試験場、生産振興課、公園自然課、県内水面漁連、(社)県猟友会
検討項目:生息・被害状況の確認、今後のカワウ対策の取組方向の検討等
○鳥取県鳥獣被害対策連絡協議会 カワウ対策部会 H24.9
構成員:水産課(事務局)、栽培漁業センター、生産振興課、公園自然課、県内水面漁連、(社)県猟友会
検討項目:生息・被害状況調査結果の報告、今後のカワウ対策の取組方向の検討等
(同日、カワウ対策シンポジウムを開催)
4 県が支援する理由
○カワウの行動範囲は広く、一つの漁協で防除対策を実施しても効果を上げることは困難なため、全県一区での対応が必要。
○カワウによる捕食被害は、湖沼河川にとどまらず、養殖池など、魚類が生息している全ての場所に及び、湖沼では魚類の漁獲量の減少、河川ではアユ・渓流魚の不漁や魚類の減少など大きな問題となっている。
○平成21年に初めて県内の2箇所で営巣が確認され、今後、さらに被害が拡大する可能性がある。
○漁業被害の軽減及び生態系の保全について一翼を担う県は、漁協などと協働してカワウ対策を実施する必要がある。
5 事業内容
(1)漁協及び市町村が実施するカワウ対策事業について経費の1/2を支援する。
○湖山池漁協及び倉吉市(天神川漁協と連携)
<カワウの繁殖抑制>
・カワウの親鳥捕獲とその効果のモニタリングを行う。
※捕獲については県の鳥獣被害総合対策事業補助金(生産振興課)を活用
【経費】
湖山池漁協 134千円×1/2=67千円
倉吉市 187千円×1/2=94千円
○日野川水系漁協
<ウグイの種苗放流>
・アユよりもカワウが好むとされるウグイを放流し、アユの食害軽減効果について調査を行う。
<カワウの釣り針捕獲>(国のカワウ被害防除対策事業を活用)
・釣り針によるカワウ捕獲を実施する。
<アユ逃げ場の設置>
・河川にアユの隠れ場を設置し、アユ食害の軽減を図る。
【経費】
767千円×1/2=384千円
(2)その他
・調査に係る県の非常勤職員人件費等29千円
6 その他
○事業期間:平成25から27年度(3年間)
○その他:公園自然課が生息実態調査を実施
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
平成22年度から24年度まで漁協が事業実施主体として、カワウの駆除を行い、駆除したカワウの食性調査を栽培漁業センターが実施。公園自然課でカワウの飛来数調査を行っており、これらのデータからカワウによる水産業被害額の算定を行っている。
中間報告を受け、カワウ対策部会で25年度以降の方針を協議した結果を受け、上記対策を行うこととなった。
これまでの取組に対する評価
年度末には調査結果をまとめ、最終的な被害額の算定が行われる。