1 事業の内容
緑化木のうちクロガネモチなど「実のなる木」の苗木段階での雌雄判別法、ドングリ類のうち発芽に長期間を要するシラカシなどの発芽促進技術を開発することにより、消費者の求める苗木の効率的な生産技術を開発する。
2 事業の背景
・鳥取県山林樹苗協同組合は主要な生産物であるスギ・ヒノキ等の造林用山行き苗木が近年減少し、緑化苗木の生産に取り組むなどの多角経営を行っている。
・緑化苗の生産は他県生産者との競争となっており、付加価値の高い緑化苗木の効率的な生産技術の開発が望まれている。
<具体的な要望>
(1)緑化木のうち「実のなる木」については、消費者は雌木を求めるが、大部分の樹種は実が付くまでに5年以上かかる。さし木繁殖が困難なクロガネモチなどの雌雄異株樹種について、2・3年生の苗木でも雌雄の見分けが簡単にできる方法の開発。
(2)ドングリ類のうちシラカシ・アラカシ等は発芽に長期間を要すため、出荷できる規格苗の大きさに成長するまで2年かかる。発芽期間を短縮することにより、従来の半分の1年で出荷が可能になる技術の開発。
3 事業の成果
1、雌雄判別技術の確立
(1)雌雄の形態比較調査:フウリンウメモドキ、ソヨゴなどの葉、葉柄などの形態比較を行い、記録保存した。
(2)着花促進技術の確立:薬剤処理したアオハダ、ウメモドキなどの苗木の着花調査を行ったところ、フウリンウメモドキなど7樹種で着花が認められ、苗木段階での雌雄判別が可能となった。
・以上の結果を、応用森林学会で発表した。
・今後は、得られた成果を生産者講習会や現地指導等で普及に努めるとともに、着花の認められなかった樹種については処理法の改良をはかりたい。
2、ドングリ類の発芽促進技術の確立
(1)ドングリ類の発芽形態調査:1年型種子のシラカシ、マテバシイ、短期型種子のコナラ、クヌギを採種し、堅果の構造を調査したところ、1年型種子は短期型種子に比べて比較的花柱が大きく、発芽孔を塞いだ構造になっていることが分かった。
(2)ドングリ類の発芽促進技術の確立:1年型種子であるシラカシ、マテバシイの発芽促進試験を行ったところ、花柱及び座の両方を除去することにより発芽勢及び発芽率を大幅に向上させることが出来、苗木の早期出荷が可能となった。
・以上の結果を、日本森林学会大会で発表した。
・今後は、得られた成果を生産者講習会や現地指導等で普及に努めたい。