1 概要
小規模高齢化集落の限界化に歯止めをかけ、脱却を図るため、地域の合意のもとに、地域を担う人材として新たな居住者としての移住定住者(Iターン者)の確保や地域外に居住している地域出身者のUターンを促すことが必要である。
このため、新たに地域に居住する移住定住者(I・Uターン者)に対する直接的・間接的支援や、地域の農林業等生産基盤や居住環境の改善等を総合的かつ重点的に支援する。
2 事業内容
(1)対象地域
地区の住民組織(小規模高齢化集落及び小規模高齢化集落に準じる地域、並びに小規模高齢化集落を含む周辺地区)が一体となって、小規模高齢化集落の解消を視野に入れた地域活性化の取組を重点的に行う地域。
※小規模高齢化集落の定義
集落内の世帯数が20戸未満かつ、高齢化率50%以上の集落
(2)内容
市町の中で重点的に実施する地域を指定し、市町が実施する過疎債を活用した取組を県が支援するなど、県と市町が連携した新たな施策や既存施策を総合的かつ重点的に実施する。
(ア)小規模高齢化集落再生に向けた支援
○地域活性化に向けた計画策定への支援(地域プラン策定)
・集落(地域)全体の課題、取組内容、支援体制等、地域の合意形成の内容を計画の中に盛り込む。
→地域プランに要する経費のうち、市町の負担する額の2/3を支援
○地域の維持活動や活性化に向けた取組支援
・里地里山の再生に向けた取組
農林地の保全対策、景観向上対策、鳥獣被害対策等
・地域活性化対策に係る取組支援
地域資源を活用した取組(所得確保対策)、伝統文化・行事の継承の取組等
・集落内の空き家の除去
集落内に放置されている空き家の除去
→原則、既存事業の補助率の嵩上げにより実施(補助率2/3に優遇)
(イ)地域に居住するI・Uターン者への支援
地域おこし協力隊などの若者等やIUターン者に対し移住定住促進に係る支援を実施。(※住居移転から3年間を限度)
【主な支援】
・UIターン者への奨励金(250万円/人)
★総務省の「地域おこし協力隊制度」より優遇(報酬200万円)
・UIターン者が居住する住宅の購入・改修経費、家賃補助(上限250万円)
★「地域おこし協力隊制度」より優遇(住宅整備等200万円)
・農林業機械の購入、施設の取得経費への支援(上記の住宅整備と合算して上限250万円)
・子どもの出産祝金(5万円/人・定額)
・高校生に対する通学経費等への支援(上限2万円/月)
※転出抑制効果の取組として、既居住者に対しても支援
・奨学金返済の補填給付
・UIターン者を雇用する企業等に対し、報酬相当額を給付(上限14万円/月)
(ウ)首都圏等における事業PR
・首都圏等で取組のPR活動を実施
(3)事業実施主体
(ア)地域指定 市町
(イ)事業実施主体 市町、対象地域内の組織、団体等
3 事業費
■要求額 31,300千円
【内訳】
(1)小規模高齢化集落再生に向けた支援(15,000千円)
・計画策定、地域維持活動、空き家除去経費
(2)地域に居住するUIターン者への支援(13,300千円)
・UIターン者への直接支援(11,060千円)
移住定住奨励金、住宅取得支援、通学支援等
・UIターン者への間接支援(2,240千円)
通勤手当補償、農地保全等隊員への給与
(3)首都圏等における事業PR(3,000千円)
・事業PR経費(委託料)
■制度要求
過疎地域が実施する過疎対策事業に基づく経費のうち、翌年度交付税措置分(7割)の残額の2/3について、翌年度予算で措置する。
4 背景
■急激な人口減少社会を迎え、本県の中山間地域においても過疎化、高齢化の波は急激に押し寄せている状況。(H23山間集落実態調査における奥地集落の高齢化率は40%を超える結果)
■さらに、2015年(平成27年)には、「昭和ひとけた世代」が全員80歳以上になり、人口・世帯の急減を招き、集落や農林業の維持、伝統文化や土地・家屋の継承等に大きな問題が発生すると言われている。
■特に、小規模高齢化集落においては、すでにこれらの問題を抱える所も多く、地域の担い手の早急な確保と、地域活力を取り戻すための実効的な対策が急務となっている。
工程表との関連
関連する政策内容
相談体制や情報発信を充実させるとともに、市町村や民間団体と連携して受入体制の整備・充実を図ることで県外からの移住定住を促進
関連する政策目標
移住者向けの家屋、土地等の提供(クラインガルテン(滞在型市民農園)等の造成)など、移住定住環境の充実を進めるほか、地域の受入機運を醸成するなど移住者が地域に溶け込むようサポート体制を充実し、移住して就業したり、豊かな自然環境の中で中山間地域の生活を楽しんだり、文化・芸術の創作活動を目指す移住者の増加を目指します。また、例えば、家庭菜園的な農業を始める際の行政の支援、ネットワークづくりなどを進めます。