事業概要
企業等の陸上養殖参入の取組を支援し、陸上養殖業の起業促進、経営の安定を図ることにより、消費者ニーズに対応した供給体制強化による本県水産業の強い産地づくりを推進する。
事業内容
1 新たな陸上養殖対象種の可能性調査(栽培漁業センター)
◆ 陸上養殖対象種として可能性のある新たな魚種(キジハタ等)を対象
◆ 市況や飼育情報情報の収集、飼育試験による養殖生産の技術的可能性や生産効率を検証 ・魅力ある魚種の選択幅を拡大することにより、養殖業への新規参入を促進。
(現在、マサバを対象に養殖試験を実施中(H24〜26))
2 陸上養殖振興に対応する施設整備(栽培漁業センター)
1) 養殖用種苗生産施設の強化
・ 不足する海水井戸及び養殖用種苗生産施設の新設(アワビ・マサバ等)により種苗供給要望に対応。
2) 防疫機能強化
・ 確実な種苗供給を行うため殺菌装置の導入、生産施設の隔離
3) 体験・研修機能
・ 飼育技術や飼育施設に関する技術習得希望者に対する研修の実施
3 (新規)陸上養殖起業支援事業(水産課)
◆ 企業等が行う井戸海水を使用した陸上養殖事業参入への初期投資を資金面で支援し、起業を促進する。
対象事業 | 陸上養殖事業の起業を目的とした井戸海水を使用した養殖実証試験事業を行うための経費(資材費・設備費等)に対して助成 |
事業主体 | 県内企業等 |
補助率 | 間接補助 県:1/3 市町村:任意 |
補助期間 | 1団体あたり最長3ヵ年 |
補助額上限 | 15,000千円/年
30,000千円/3ヶ年 |
補助件数 | 2団体を想定 |
補助対象経費 | 養殖試験に使用するたも網、移動用かご等の資材費及び給・排水設備や養殖池等の施設整備に要する経費等 |
審 査
| 事業計画について審査委員会により内容を審査
(審査委員の構成(案))
水産課・栽培漁業センター・栽培漁業協会 |
※本格的な陸上養殖実施に向けた施設の拡大にかかる経費への助成も将来的に検討
4 (新規)陸上養殖販路開拓支援事業(水産課)
◆ 陸上養殖事業に参入する企業等が行う養殖魚の販路開拓活動を支援し、事業化を促進する。
対象事業 | 陸上養殖事業の事業化検討のため、養殖魚のマーケティング調査・販路開拓活動を行うための経費に対して助成 |
事業主体 | 県内企業等 |
補助率 | 間接補助 県:1/2 市町村:任意 |
補助額上限 | 1,000千円/年 |
補助件数 | ※ 今回参入予定の2団体についてはいずれも建設業者であり、既存の鳥取県建設業新分野進出事業補助金の対象者。 |
補助対象経費 | 販路開拓活動に要する経費
アンケート調査、商談等の旅費、サンプル代、PR資材作成費等 |
補助期間 | 1団体あたり最長3ヵ年 |
5 養殖技術研修支援(水産課)
◆新規雇用者の栽培漁業センターでの飼育技術研修期間中の経費(賃金・交通費等)を助成(既存の漁業雇用促進対策事業の補助対象者拡大で対応)
背 景
● 本県は内湾がない外海の自然環境であり海面養殖業の発展が妨げられてきた。
さらに、近年は海水温の上昇による養殖魚の死亡や赤潮の発生など、自然海水を用いた安定的な養殖は難しい状況になってきている。
● 陸上養殖には次のような多様なメリットがあり、競争力のある産地づくりを進めるにあたり欠かせない手法の一つ。
<陸上養殖の主なメリット>
◆人工種苗生産による種苗の安定確保・生産物の安定供給
◆サイズ等の規格化
◆高鮮度出荷(活〆) ◆出荷時期の調整
◆井戸海水により海洋環境の影響を受けない
◆魚病発生の低減・寄生虫を回避 ◆生産履歴が明確など
● 平成24年度に実施した井戸海水調査により、網代漁港及び泊漁港において大量取水の目処が立ち、民間企業(異業種等)からも大きな関心が寄せられており、養殖業の起業に向けて事業プランの策定を行っている企業も存在。
● また、閉鎖循環式陸上養殖システムの試験的導入やその可能性の検討を行っている企業もある。
● これら企業への、養殖事業プラン検討に必要な材料(養殖飼育データや市場価格等)の提供、飼育や設備等の技術指導、養殖種苗の提供、多大な設備投資等に対する助成など起業促進に向けた支援策が必要とされている。
課 題
● 陸上養殖は全国的にこれからの分野であり、既存対象種は限られ(ヒラメ、アワビ、トラフグ)、企業に情報提供し、養殖技術指導が可能な、魅力ある養殖対象種の飼育データが少ない。
● 増加が予測される養殖種苗供給要望に栽培漁業センター生産施設(取水量・生産水槽等)が不足。
● 企業等の養殖業への参入チャレンジを資金面で支援する制度が構築されていない。
想定される事業効果
★ 他にない魅力ある水産物が得られる(安定供給、ブランド創出、競争力のアップ)
★ 新たなビジネスの創出(既存経営体における複合生産による経営体の効率・安定化。新規参入経営体においては新たなビジネスチャンス)
★ 加工業への進展(6次産業化や農商工連携)
★ 水産業における新たな雇用の創出