1 目的
鳥取県と鳥取市が共同して策定(平成23年度)した「湖山池将来ビジョン」に基づき、県・市・関係団体の協働により、幅広い世代の県民が、湖山池の環境や歴史、もたらす恵みや価値、魅力などについて正しく理解し、より親しみをもって触れてもらう親水対策を推進し、併せて、体験型メニューの充実による環境教育の拠点機能の拡充、ならびにジオパーク活動の協力や支援を図る。
2 事業の内容
湖山池をフィールドとした体験・情報発信の拠点として整備された「湖山池情報プラザ」の実施する年間を通じた普及啓発や体験型環境学習事業に対して県と市で共同して補助する。
【補助対象事業】
(1)湖上観察会
(2)魚釣り大会
(3)水質浄化実験
(4)湖山池を味わう
(5)野鳥観察会
(6)ジオパーク見学会
(7)湖山池一周ジオウォーク
3 現状
湖山池は、近年、水質に芳しい改善が見られず、アオコやヒシが大量発生するなど、生活環境への悪影響や景観面等での負の印象が強かったが、平成23年度に県、市が共同して策定した「湖山池将来ビジョン」に基づき、東郷池並みの塩分濃度を目標に海水導入が行われ、生活環境や景観面で著しい改善が図られた。
しかしながら、湖山池のかつての負のイメージ(汚い、危ない等)を払拭できるまでには至っておらず、特に周辺住民以外にとっては、湖山池への意識が希薄なこともあり、湖山池を利用する人が少ない。
4 対策
(1)体験型環境学習の推進
ボート遊び、魚釣り、散策、ジオパーク学習会、自然観察会など、幅広い世代の人々が訪れたいと思うような魅力あるメニューを提示する。
(2)情報・意識共有
池の環境や利活用等に関する情報を発信して市民と共有し、貴重な財産であることを再認識して県と市、市民が協働した「守り」、「育てる」実践的な取り組みを促す。
5 課題
湖山池は、これまで漁業と農業の対立が最優先課題であり、長年にわたって検討されてきたところである。そのため、市民にとっての「貴重な財産」であり、また、平成22年度に山陰海岸ジオパークの西部に位置づけられ、情報発信の拠点として「湖山池情報プラザ」が開設されたにもかかわらず、湖山池の利活用の方向性を明確にできない状況にあった。
しかし、平成23年度末、湖山池を汽水化することについて、県、市及び地域住民(特に漁業及び農業の生産者)の合意を得られたことにより、長年の課題であった漁業と農業の両立は解決の方向となり、今後は、「豊かな生態系の確保」や「利活用の促進」が緊急の課題となってきた。
6 事業費
普及啓発・環境学習補助金(1/2) 2,000千円
7 参考(普及啓発関係事業)
(単位:千円)
事業内容 | 事業費 | 内訳 |
県 | 市 |
シンポジウム | 806 | 268 | 538 |
施設運営費
(情報プラザ) | 5,000 | − | 5,000 |
普及啓発・
環境学習(※) | 4,000 | 2,000 | 2,000 |
計 | 9,806 | 2,268 | 7,538 |
※本事業
8 根拠法令等
(1)環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律(平成15年法律第130号)
(2)湖山池将来ビジョン(平成24年1月策定)
(3)湖山池水質管理計画(第3期計画策定作業中)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・平成23年度に県・市が共同して「湖山池将来ビジョン」を策定した。
・市民を対象としたシンポジウムを開催している。(H23〜)
・出前説明会、各種イベント等に出講して環境学習を実施している。
・自主的な環境保全活動等に対しては補助金を交付している。(1/2)
・浅場造成や公園整備などハード事業には多くの資金を投下している。
これまでの取組に対する評価
・参加者側の視点に欠けている。(日程、内容など)
・行政側からの一方通行の感が強く、受け手側の反応がいまひとつ。
・NPOや関係団体との連携/協働した事業は行っていない。
・単発のイベントが多く、継続性に欠ける。
・環境教育や普及啓発など、人材や関係団体を育てる長期的視野に立ったソフト事業への投資がきわめて少ない。