1.事業内容
(1)強度行動障がい者新規支援補助事業【継続】
障害者支援施設及びケアホームにおいて、平成23年1月1日以降新たに重度の強度行動障がい者の居住支援を行う社会福祉法人等に対し、1:1相当の配置に係る人件費から事業者が得る相当の自立支援給付費を引いた差額の助成を行う。
助成額=(1:1相当の配置に係る人件費)−(事業者が得る相当の自立支援給付費)
※本事業では、支援費制度時代の強度行動障害者特別支援加算に係る判定基準により、20点以上の方を「重度の強度行動障がい者」とする。
実施主体 | 市町村 |
補助対象 | 平成23年1月1日以降新たに重度の強度行動障がい者の居住支援を行う社会福祉法人等 |
負担割合 | 県1/2、市町村1/2 |
補助基準単価 | 1:1相当の支援を想定しての人件費相当額(自立支援給付費支給分差し引く。)
(1)障害者支援施設へ重度の強度行動障がい者が新たに入居する場合一人当たり 257,371円/月 (2)ケアホームへ重度の強度行動障がい者が新たに入居する場合一人当たり 98,704円/月 |
(2)強度行動障がい者ケアホーム移行支援事業【継続】
重度の強度行動障がい者が、平成23年1月1日以降障害者支援施設からケアホームへ移行した場合に、1:1相当の配置に係る人件費から、事業者が得る相当の自立支援給付費を引いた差額の助成を行う。
実施主体 | 市町村 |
補助対象 | 障害者支援施設からケアホームへ重度の強度行動障がい者が新たに移行した場合に居住支援を行う社会福祉法人等 |
負担割合 | 県1/2,市町村1/2 |
補助基準単価 | 1:1相当の支援を想定しての人件費相当額(自立支援給付費支給分差し引く。) 一人当たり 98,704円/月 |
(3)強度行動障がい者短期入所利用支援事業【新規】
重度の強度行動障がい者の短期入所による支援を行う社会福祉法人等に対し、1:1相当の配置に係る人件費から事業者が得る相当の自立支援給付費を引いた差額の助成を行う。
実施主体 | 市町村 |
補助対象 | 重度の強度行動障がい者の短期入所による支援を行う社会福祉法人等 |
負担割合 | 県1/2、市町村1/2 |
補助基準単価 | 1:1相当の支援を想定しての人件費相当額(自立支援給付費支給分差し引く。) 一人当たり 10,075円/日 |
(4)強度行動障がい者入居ケアホーム施設整備事業【廃止】
重度の強度行動障がい者が平成23年1月1日移行新たに入居するケアホームを改修・創設する社会福祉法人等に対し、工事費が国庫補助基準額を超えた場合について補助を行う。
補助対象 | 重度の強度行動障がい者が新たに入居するケアホームを改修・創設する社会福祉法人等 |
補助対象経費 | 重度の強度行動障がい者が入居するために必要な「危険防止等のための壁、ガラス、家具等への補強」に対する経費 |
補助基準額
(補助限度額) | 1住居当たり 全体工事費の20% |
補助率 | 工事費が国庫補助等の基準額を超えた場合に、その超えた部分の金額について3/4を補助する。 |
負担割合 | 県10/10 |
2.事業期間及び今後
本事業について、障害者総合支援法(平成24年4月施行)の動向を踏まえて、廃止も含めて再検討することとしていたが、総合支援法において、障害者支援施設やケアホームの利用に係る強度の行動障がい者への新たな支援策に関する情報はないため、平成25年度以降も引き続き本事業を継続するとともに、国に対して、重度の強度行動障がい者支援が、報酬において適正に評価されるよう、引き続き要望を行う。
3.積算根拠
(1) 強度行動障がい者新規支援補助事業
予算要求額 16,628千円
[内訳]
ア.入所施設に入所する場合
257,371円(補助基準単価)×12か月×10人×1/2
=15,442,260円→15,443千円
イ.ケアホームに入居する場合
98,704円(補助基準単価)×12か月×2人×1/2
=1,184,448円→1,185千円
ア+イ=16,628千円
(2)強度行動障がい者ケアホーム移行支援事業
予算要求額 2,369千円
[内訳]
98,704円(補助基準単価)×12か月×4人×1/2
=2,368,896円
(3)強度行動障がい者短期入所利用支援事業
予算要求額 2,721千円
[内訳]
10,075円(補助基準単価)×9日×12か月×5人×1/2
=2,720,250円
4.目的
重度の強度行動障がい者の保護者の負担、不安を軽減するため、
- 入居に係る流れをスムーズに行い、障がい児施設等で待機している状況をできるだけ早期に解消すること
を第一の目的に助成を行い、加えて、
- 旧加算と同様に3年間を限度に集中的に手厚い支援体制のもと、行動障がいを軽減し、1:1相当の配置による特別処遇から、一般の入所棟やケアホームへの移行の流れをつくること
- 現在入所については、ほぼ一法人のみが支援している状況から、その他の法人が強度行動障がい者の居住支援を行うことにより、そのノウハウ・経験を蓄積することで、入居可能な裾野を増やすこと
を目的とする。
5.背景
旧法では、障がい者への支援に係る強度行動障がい者に特化した加算が設定されていたが、現行法では、重い障がいへの加算は一つにまとめられたため、
- 従来加算が算定されていた重度の強度行動障がい者も、新法では、全く加算が算定されないこと
- 加算が算定されても、従来より加算額が少ないこと
が起こるようになった。
よって、より手厚い支援が必要な重度の強度行動障がい者が新たに入居することについては、施設が積極的に支援を行えない現状がある。
また、待機している強度行動障がい者が新たに入居するための方策について、知的障害者施設長会議への出席、事業者、市町村、施策推進協議会委員等への意見照会などを行った結果、「人件費補助」、「ハード整備」、「人材育成」などの課題がクリアされる必要があるとの意見が多かった。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
重度の強度行動障がい者への支援については、旧体系施設で算定されていた強度行動障害者特別支援加算により評価されていたが、新体系施設に移行すると当該加算はなくなり、事業者が重度の強度行動障がい者の支援を積極的に行えない状況があることから、本事業により支援を行っている。
これまでの支援実績は次のとおり。
○平成23年度
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 3名
○平成24年度(11月1日現在)
・ 強度行動障がい者新規支援補助事業 4名
これまでの取組に対する評価
○待機者の解消 3名
○行動障がいの軽減 3名中2名が行動障がいの程度が軽減している
・Aさん H23当初 28点→H24当初 22点
・Bさん H23当初 28点→H24当初 20点
以上より、待機者の解消と支援対象者の行動障がいの軽減に一定の成果が現れているものと考える。
なお、本事業に関連する取組みとして、
○23年度から国立秩父学園での行動障がいに関する研修への施設職員の派遣(H23派遣実績2名←県の行動障がい研修に参画)
○25年度から行動障がいの研究・支援実践の第一人者である鳥取大学医学研究科の井上教授に県の行動障がい研修に御参画いただき、人材育成を推進している。
→県内の環境も少しずつ整備されてきている。
併せて、引き続き国に対して、報酬体系において、強度行動障がい者の支援が適正に評価されるよう意見・要望を行っていく。