1 事業目的
○認定こども園は、保育所と幼稚園の機能を有するとともに、保護者の子育て力の向上支援、子育て相談などを保護者が希望するときに利用可能な体制整備をすることが求められている。
○しかし、県内の認定こども園における「子育て支援機能」は質的に不十分な現状であり、適切な方策もない状況である。
○この認定子ども園の「子育て支援機能」の質も問題については、現在、国において幼保連携型認定こども園の認可基準及び保育要領等に関し検討が行われているが、国の議論を待つまでもなく、認定こども園が果たすべき子育て支援機能、さらに親育ち支援機能のあり方について、本県で先導的な事業を実施し機能強化を行う。
2 背景
【課題】
○ 現在、発達障がいと診断される子どもの数が増えており、子どもの「育てにくさ」に悩んでいる保護者が増えている。また、虐待件数も増え、負の連鎖を早く止める必要がある。
○ 背景には、核家族化や地域の人とのふれあいれあいが少なくなり、以前と比べ祖父母等の家族の協力、地域の協力が減少していること、実際に自分の子どもができるまで小さな子どもと接した経験がない等、保護者の子育て力が低下していることが一因と思われる。
⇒ 若い世代の保護者は、将来的見通しを持てないまま子育てを行っており、保護者の「親育ち(子育て力、育児力のアップ)」支援の充実が必要
○ 認定こども園における「子育て支援機能」は質的に不十分な現状であり、県としても早急に認定こども園における子育て支援機能を強化する必要がある。
【強み】
○ 鳥取大学がこども一人ひとりの育ちを10年間追ってきた「すくすくコホート研究」の成果がまとまってきており、親のあり方とこどもの変容の関連性・性差などが分かってきた。
○ この成果を認定こども園の現場で活用することで、効果的・効率的・科学的に子育て支援・親育ち支援機能の充実を図ることが出来る。
3 内容
認定こども園のモデル園を選定し、鳥取大学に委託して実施する。
(平成25・26年度実施予定)
(1)定期的な研修・グループワークの実施
同じ地域、同じ育児に困っている人が、継続的に同じ時間・情報を共有する(同じ釜の飯を食べる的な)ことにより地域でのつながりもできる。
子育て研修テーマ例
【子育てをいつ楽しむの?
今でしょ!】 | 研修開催方法 |
子どもの幼児期から思春期までの発達ってどうなっているのかな? | これらのテーマに関して月に1回程度開催
|
保護者のしつけが子どもの社会性に与える影響ってどうなっているのかな? |
子どもの性差による遊びと行動の違いってどうなっているのかな? |
子どもの年齢とQOL(生活の質)の変化ってどうなっているのかな? |
親子の絆が深まるちょっとしたふれ合い方ってどんなのかな? |
楽しい子育てのための保護者同士の絆の持ち方ってどんなのかな? |
(2)個別相談の実施
上記のほか、子育て一般に関する相談も含めて、個別の相談ブースを設けて、相談会を実施。
(3)定期的な成果の検証と普及啓発
○ 保護者に対し、事業の実施前と後にアンケート調査(WHOが開発したSUBI)等を行い、「子育てに対する心の充実感の変化」「心の健康度」及び「疲労度」等を保護者自らが振り返ることができる。⇒自ら自分の親としての成長に気づける。
○ 事業成果については、報告書としてまとめる。
○ 研修・グループワーク実施時には、他の認定こども園等に情報提供し、他園職員の参加を促す。
○ 従来からある私立幼稚園代表者会において、実施内容について実践発表を行う。
4 所要額
鳥取大学への委託料 870千円
区分 | 金額 |
講演会講師謝金 | 220千円(12千円×3時間×6回) |
講師旅費 | 180千円(30千円×6回) |
報告書作成印刷 | 80千円(800円×100部) |
事務局費
・アルバイト雇上げ
・消耗品、通信費等 | 210千円(7千円×30日分)
180千円(30千円×6月) |
5 県が果たすべき役割
○保護者の子育てにおける不安感を解消し、子育ての楽しさを味わい、親育ちのためのバックアップを全県的見地で行うのは県の役割である。
○幼保連携型認定こども園が持つ「親育ち支援機能」は現在のところ不十分な状況であり、適切な方策もない状況である。そこで、その機能を全県的に強化する必要があり、そのためには、まずは機能強化のためのノウハウを備えたモデル園を示すことが県の役割である。
○鳥取大学は研究機関であり、効果的、効率的、科学的に事業に取り組むことが可能であるため、委託をして実施する。