(1)取組の目的
◎都市部と山間地の間に位置する「心のふるさと里地里山」の復活
◎従来の中山間地域対策、農林業振興ではない、自然環境保全の視点で地域が取り組む活動のモデルを創出
○集落周辺森林の継続的維持管理や里山林の再生などの取組を進め、地域における自然環境意識の醸成、鳥獣害対策の推進等を図るとともに「人と自然が共生する地域」の実現を目指す。
○有機農業の推進、開発の抑制及び森林の適正管理を行い、地域農林産品の地産地消と資源の循環をすすめることで地域の活性化を図る。
(2)里地里山の現状
○中山間地域の過疎化・高齢化などに起因する地域力の低下による耕作放棄地や放置森林の増加
○猪、鹿の食害など野生鳥獣との軋轢拡大や希少野生動植物の減少といった、自然環境の変化が進行
(3)背景
○里地里山の豊かな生物多様性は、国土の地理的要因と、農林漁業の生産活動や生活文化等の人々の長い年月にわたる暮らしの営みによってかたちづくられたもの
○地域の多様な主体が連携して行う生物多様性の保全を重視した活動(農林業、希少種保護、外来種防除、環境教育等)の促進について法律で規定(H22制定 通称:生物多様性保全活動促進法)
八頭町船岡地区の取組
1)地域の特徴
○過疎高齢化、竹林の拡大及び獣害の深刻化
○鳥取大学、環境大学の学生が集落に滞在し(5名)地域興し支援の取組を実施 (獣害対策、 農家レストラン、都市との交流)
2)再生の方向
○多様な主体の参画
ふなおか共生の里作り協議会(農事組合法人、生協、地元企業等)による地域活性化の取組を活用
○地域の特性に応じた活動
竹林からの資源循環、獣害対策からジビエへの活用の模索
○科学的な視点に立った活動の推進
鳥取環境大、学生人材バンクとの協働による科学的視点の導入
【平成23年度】
八頭町船岡地区をモデル地区とし、「里地里山再生計画」を策定
【平成24年度】
「里地里山再生計画」に基づき、再生事業の取組に着手
○竹林整備による獣害緩衝帯の整備と広葉樹・果樹植栽
○環境学習会開催による農林業や自然とのふれあいの場の創出
○計画実行のための検討会議の運営
(1)意義
1)生物多様性保全の推進と豊かな暮らしの源泉
地域の生活は、地域の生態系から多くの恵み(生態系サービス)を受けて成り立っており、事業の取組は地域レベルの生物多様性の保全の一層の推進につながり、豊かな暮らしの源泉になる。
2)地域の個性の再認識と魅力的で活力ある地域づくり
活動が地域に根ざすことで、地域の個性の再認識と地域コミュニティの再構築が図られ、生物多様性を基礎とする地域の風景や文化が引き継がれる。
3)豊かな感性の涵養と健康で文化的な生活
自然の中での活動や関係者との協働の中で精神の安定と健康の増進が図られるとともに、豊かなで文化的な生活を期待
(2)効果
1)以下に掲げる項目の成果を実証することで、今後の生物多様性地域戦略策定の基礎資料とするとともに、本事業の実施をきっかけとして里地里山の自然環境保全の取組を他地域に波及させることを期待
◎里地里山における新たな価値の創造
◎森・里・川に配慮した生態系の保全
◎種の保存と野生動植物の保護管理
◎里山資源の活用と生物多様性の恵みへの理解の浸透
◎多様な主体の参画による里地・里山づくりと地域の活性化
◎多様な人材の育成・ネットワークの形成
2)集落等地域住民の里山林整備への意識向上を図り、多様な里山林の再生、森林機能の向上及び里山資源の有効活用と地域の活性化につなげることで、地域の生物多様性が保全される。