1 事業概要
(1)助成事業
次の要件を満たす住宅の新築及び改修を行う者に対し助成を行う。
○県産材を新築:15m3以上、改修:0.3m3以上使用
○県内に本拠地を置く建設業者によって施工
<新築> 最大100万円
助成項目 | 助成内容、要件等 | 助成額 |
県産材助成 | 県産材使用1m3あたり、2万円を助成 | 上限40万円 |
県産JAS製材助成 | 県産JAS製材使用1m3あたり9千円を上乗せ助成 | 上限18万円 |
伝統技術活用助成 | 以下の5つのうち、2種以上の伝統技術を活用する新築住宅に上乗せ助成
(手刻み加工/外壁下見板張り/左官仕上げ/日本瓦葺/木製建具) | 定額15万円 |
環境配慮助成 | 「CASBEEとっとり戸建」において一定の評価結果を満たし、所定の諸要件を満たす新築住宅に上乗せ助成 | 定額10万円 |
【新設】
長期優良住宅助成 | 長期優良住宅の認定等の諸要件を満たす新築住宅に上乗せ助成 | 定額15万円 |
【新設】
住宅履歴情報保管助成 | 住宅履歴情報保管サービス(いえかるて)を利用する新築住宅に上乗せ助成 | 定額2万円 |
<改修> 最大44万円
助成項目 | 助成内容、要件等 | 助成額 |
県産材助成 | 県産材使用量に2万円を乗じた額を助成 | 上限20万円 |
県産JAS製材助成 | 県産JAS製材使用量に9千円を乗じた額を上乗せ助成 | 上限9万円 |
【新設】
伝統技術活用助成 | 以下の3つのうち、2種以上の伝統技術を活用して住宅の改修を行う場合に、その使用面積に応じて上乗せ助成
(大工技能/左官技能/建具技能) | 上限15万円 |
(2)工務店向けセミナーの開催
(3)県民向けにフリーペーパーを使用した事業PRを実施
2 目的・背景等
<目的>
県産材を活用した住宅の新築及び改修に対して助成を行うことにより、地域の環境・資源を守り活かす住まいづくりを推進する。
【効果】
○森林環境の保全・改善と住宅建設における環境負荷低減
○地場産業の振興と、伝統技術の活用・継承
○環境に配慮した住まいの普及、環境意識の啓発
<背景・検証>
・本事業は平成14年度に開始以降、年々、利用者が増加し、昨年度の申請件数は350件を超える。
・本事業の利用者の伸びは県内の住宅着工戸数のうち、在来軸組工法の占める割合とほぼ比例。
・また、本事業における県産材使用量の増加とともに、県産材の素材生産量、製品生産量も増加するなど、県産材の需要拡大に一定の役割を果たしていると推察。
・住まいづくりは「量」の確保から「質」を追求する時代へと変化。
・優れた新築住宅の供給促進と同時に、既存ストックの有効活用の観点から住宅リフォームをより一層促進させていく必要がある。
・工業化製品の使用や職人の減少、高齢化等により職人技活用の機会が失われつつあることから、伝統技術活用の機会創出への支援が必要。
・自民党「J-ファイル2012」において、リフォームの推進、国産材の活用を通じた地域の環境整備や経済活性化、中小工務店の技術力向上が掲げられている。
・本事業は着実に浸透しつつある一方で、「県民への周知が不足している」との意見もあったことから、事業PRを強化する。(今年度 事業棚卸指摘事項)
3 平成25年度制度見直し内容
<助成事業>
(1)長期優良住宅助成、住宅履歴情報保管助成を新規創設
平成24年度では「環境配慮住宅助成」として1つにまとめていた各要件を性質ごとに抜き出し、新築助成に新たな助成項目を追加。
(2)改修助成の県産材使用量要件を緩和
改修助成の県産材最低使用量を1m3から0.3m3に引下げることで、より利用しやすい制度に改正する。
※小数点第一単位で使用量を算出。
(3)改修助成に伝統技術活用助成を新規創設
改修助成において伝統技術活用を促進することで、伝統技能の更なる活用と継承を目指す。
(4)店舗併用住宅の店舗部分についても助成対象に追加
<事業PR関連>
(1)環境配慮住宅セミナーの実施
セミナー実施により県内工務店の専門知識取得を促進することで、制度の活用と優良な住宅ストック形成を図る。
(2)県民向けPRの強化
フリーペーパーを利用した助成事業のPRを実施。
4 所要経費
(1)助成事業 289,731千円
○新築 199,790千円
県産材活用助成(320件) 128,000千円(6,400m3×20千円)
JAS製材活用助成(295件) 47,790千円(5,310m3×9千円)
伝統技術活用助成(105件) 15,750千円(105件×150千円)
環境配慮助成(40件) 4,000千円(40件×100千円)
長期優良住宅助成(25件) 3,750千円(25件×150千円)
住宅履歴情報助成(25件) 500千円(25件×20千円)
○改修 16,665千円
県産材活用助成(65件) 11,700千円(585m3×20千円)
県産JAS製材助成(55件) 3,465千円(385m3×9千円)
伝統技術活用助成(10件) 1,500千円(10件×150千円)
○H24交付決定→H25支払い分 73,276千円
新築(116件) 69,284千円
改修(17件) 3,992千円
(2)セミナー開催に係る経費 450千円
講師旅費(50千円×3名) 150千円
講師謝金(100千円×3名) 300千円
(3)事業PRに係る経費 1,642千円
データ制作料 130千円
広告掲載 1,512千円
合計 291,823千円
5 事業継続について
現行の助成条例が平成24年度をもって失効。しかし、県民のニーズが高く、県産材の需要拡大・地元工務店の受注機会の拡大など、地域産業の活性化に大きく貢献していることから、今後も継続して事業を行う。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<目的>
・県産材を活用した住宅建設等を支援することにより、県産材の需要拡大、地域の産業・文化の振興を図り、環境に配慮した住まいづくりの推進に資する。
<これまでの取り組み>
・助成制度の活用推進を通じて、県産材の需要拡大に貢献
・伝統的工法の活用を支援し、職人技術の継承機会を創出
・JAS製材への上乗せ助成を導入し、安全安心な家づくりを啓発
・県が取り組む住宅の環境性能評価制度「CASBEEとっとり戸建」Aランク以上の住宅への上乗せ助成を導入し、環境負荷低減に向けた取組を推進
・平成24年度より環境配慮住宅助成の要件を大幅に変更するとともに、助成額を増額することで、より良質な住宅ストックの形成を推進
これまでの取組に対する評価
<取組状況>
・助成制度は着実に県下に浸透しており、消費者にとって県産材活 用への確かな動機付けとなると共に、木材・住宅関連の地域産業を下支えしている状況
・県産材需要量の拡大が質・量ともに安定した供給体制、流通体制 整備を促進
・平成24年度より環境配慮住宅助成要件を変更したが、変更後要件に実態に即さない部分があり、9月末時点で申請実績が0
<改善点>
・現行の環境配慮住宅助成要件を内容ごとに分類し、それぞれ新たな助成項目を設けることで、制度の利用促進を図る
・改修助成においても、伝統技術活用助成を導入することで、更なる伝統技術の継承を図る