○湖山池は、南西部に流入河川があり北東部から湖山川によって日本海に通じる汽水湖である。湖山川は元々千代川河口に通じていたが、治水目的で行われた千代川河口付け替えによって現在の状態(日本海と直通)となった。
○従来から湖水が農業利用(灌漑用水)されていたため、湖山川の水門管理によって淡水に近い低塩分濃度で維持されてきたが、アオコ発生等水質汚濁に加え、近年カビ臭問題やヒシ問題、漁業不振等の問題が顕在化。
○対策として、住民意見や湖山池会議等での議論を踏まえ、今年3月から水門開放して高塩分化管理し、アオコやヒシ等の発生を抑制するとともに、水の交換を高めて汽水湖として再生することとなった。
○水門開放して高塩分化管理する状態は、湖山池のかつて(昔)の状態とは異なる、未経験の状態であり、水質や生態系が大きく変化することが予想され、現在過渡期にあると考えられる。
○事前にシミュレーションが行われているが万能ではなく、実際の状況や事象を監視・評価し、適切に対応していく必要がある。
○湖沼の自然再生に向けて在来水生植物のシードバンクを活用することは理にかなっているが、必要な発芽・生育条件や能力等の知見・情報が不足している。
○水質等の監視結果を随時行政機関や関係機関に提供することで、その時々の事象・状況に対して必要な対応を行うための判断材料となる。
○水門開放による湖内環境への影響を見極め、生物多様性・生態系が目指す姿に近づいているのか評価・検証することができる。
○国立環境研究所等との共同研究を通じ、全国の湖沼の生物多様性・生態系の最新の状況や事例と比較しながら評価することで、湖山池の置かれている状況を客観的に視ることができる。
○湖底泥中に埋没している在来の水生植物の種(シードバンク)を用いた植生帯復元手法の確立は、湖山池を始めとする県内湖沼の自然再生の有効な手法の1つとなる。
◆国立環境研究所、東京大学、島根大学、国内の湖沼がある他自治体の地方環境研究所、鳥取県栽培漁業センターと共同研究を実施中。
「生物多様性・生態系評価手法」を国立環境研究所、及び他の地方自治体環境研究所との共同研究で検討し、評価の際に用いる。