1 事業内容
廃園が増加している中、重労働の防除だけしてもらえたら梨栽培を続けられる高齢農家が増えてきていることから、機械の共同利用・オペレーター体制を整備し、廃園防止・産地維持を図る。
大変な2回の袋かけ作業や難しいせん定技術を一新するため、網掛け施設やジョイント整枝技術の導入、果樹園の継承・流動化の仕組み作りを検討し、梨栽培の省力化・低コスト化、経営安定、新規参入し易い産地づくりを行う。
2 取組内容、要求額
取組 | 実施内容 | 要求額 |
廃園・産地維持対策 | 廃園防止、産地維持のため、機械の共同利用体制を整備し、機械購入に係る経費を助成する | 7,500千円 |
網掛け施設・ジョイント整枝の推進 | 新甘泉+網掛け施設+ジョイント整枝のモデル園を活用して普及促進を図る
※農林総合研究所、農業改良普及所と連携 | 標準事務費内で実施 |
果樹園の経営継承・流動化の推進 | 優良園等の経営継承・流動化を進めるための仕組みづくりを検討する | 標準事務費内で実施 |
(1)廃園・産地維持対策
ア 課題:
梨農家の高齢化が更に進み、重労働の薬剤散布が梨栽培をやめる要因となっている。「防除だけしてもらえたら梨栽培を続けられる」の声に対応する支援が必要となっている。
イ 取組内容:
防除用機械(スピードスプレーヤ)による共同防除や、オペレーターによる作業受託など、機械の共同利用体制を整備して廃園化を防止する場合に、機械購入に係る経費を一部助成する。
ウ 要求額:7,500千円
機械購入経費へ3分の1助成
・防除用機械(スピードスプレーヤ)、草刈りモア、園内道整備など
(2)網掛け施設・ジョイント整枝の推進
ア 課題:
「二十世紀梨」は2回の袋かけが手間であり、難しいせん定などがネックになり、新たな生産者が参入しにくい実態がある。
イ 取組内容:
これまでの梨作りを一新する「新甘泉」+「網掛け施設」+「ジョイント整枝」による現地モデル園を平成25年に設置することとしており、農家への普及促進、新規就農者や定年帰農者等の生産者の拡大を図る推進研修会などを開催する。
ウ 要求額: 標準事務費内
(3)果樹園の経営継承・流動化の推進
(1)課題
果樹は、苗木を植えてから成園になるまでに8年程度かかることから、既存の果樹園を有効活用して、継承、流動化する仕組みが必須であが、実態として県内では家族以外への継承、流動化はほとんど無い。
(2)取組内容
県外の優良事例等や各種制度をとりまとめて、果樹園継承、流動化のモデル案を作成・提示したり、地域の実情に応じたケーススタディを行い、取組を推進する。
(3)要求額: 標準事務費内で実施
3 背景
梨生産者の実態は70歳代が約半分であり、この数年で大幅に面積、生産量が減少して産地は危機的状況となる。
高齢者の負担となっている防除作業を実施してもらえる共同体制を整備したり、袋掛けをしない栽培も可能となる網掛け施設の推進などを行い、鳥取の大切な資産である梨を次の世代へ継承していかなければならない。
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・生産対策として、「なつひめ」「新甘泉」などの梨新品種の植栽、果樹園整備を支援してきた。
・網掛け施設の県外調査を行い、他県では本県よりも低価格で施設整備していることが分かってきた。
・防除用機械への支援は、「なつひめ」「新甘泉」など、事業対象の品種に制限してきた。
これまでの取組に対する評価
・梨新品種の面積は拡大しているが、生産者の高齢化などから梨全体の栽培面積は減少している。
・これまでの約6割の価格で整備する低コスト網掛け施設、技術の簡略化、作業の省力化、早期成園化が可能なジョイント整枝の現地モデル園を平成25年度に6カ所設置することとしており、生産者、関係者の注目が高い。
・防除用機械への支援では、過剰投資を避けるための下限面積を定めた要件があり、事業対象の品種面積だけでは導入が困難になっている。機械導入していない手散布で防除する高齢農家から梨栽培をやめている。