(1)受精卵移植技術は酪農、交雑種から和子牛を直接生産する技術で普及推進しているが、受精卵移植に取り組んでいる酪農家戸数はH25年26.8%である。ホルスタインより高く取引される和牛を生産することにより、酪農家の副産物収入(子牛)を確保することが必要がある。
また、受精卵移植技術より和牛頭数を増加させることにより、繁殖肥育一貫経営(ヌレ子から引き取って肥育を行う経営体)を支援し、セリの価格に左右されない経営の強化を図り、「和牛王国」の復活を目指す。
(2)現在、全国的な生産頭数の減少から、子牛(肥育素牛)価格が高騰している。そのため、県内子牛セリ市場に県外の購買者が子牛を買い求めにきている。これらの県外購買者に、高値で子牛を競り落とされており、オレイン酸能力の高い子牛が県外へ流出している。
鳥取和牛オレイン55の増産による県産牛肉のブランド力の向上を図るため、県内肥育農家に対し、肥育素牛導入を支援し、鳥取和牛オレイン55の増産に取り組みやすい環境を整える必要がある。
(3)乳用種肥育牛肉(=県産牛肉)については、地域の水田を活用した飼料用稲、飼料用米などを活用した資源循環による生産に取り組んでおり、地域に密着した肉資源であり需要も手堅い。
飼料価格の高止まりから、農家は、今後の継続した経営には安定した価格、量の自給飼料の確保を求めている。このため、県内で生産が拡大している飼料用米を活用し、乳用種肥育での給与割合を高め輸入飼料への依存度を低減した肥育経営の確立が必要である。
(4)畜産農家は様々な取組みにより、安心、安全、美味しい牛肉の生産を追求しているが、消費者は国産牛、和牛肉、輸入牛肉などの牛肉の種類の違いなど、牛肉について理解が浅い部分がある。
日豪EPAやTPPにより、輸入牛肉の増加への関心が高まる中、県産牛肉と輸入牛肉との違いを示し、県産牛肉への愛着を子ども時代から醸成するために、食育を通じたPRに取り組む必要がある。