これまでの取組と成果
これまでの取組状況
@材質安定化
林分単位に立木の状態で材質強度を推定できる方法を確立する。
これまでに、オキノヤマスギを対象に土壌母材及び立地条件がMFA(繊維の傾斜度で材質強度と高い相関があるとされている)に及ぼす影響を調べた。次いで、精英樹クローン及び在来種を対象にMFAのクローン間差異を明らかにした。また、MFAと実際の木材強度の関係性についても調査を行った。
A心材促進化
心材割合が高いスギを作るための施業技術を開発する。
これまでに、枝打ち試験林を設定し、枝打ち強度と心材形成の関係を調べた。
これまでの取組に対する評価
@材質安定化
・材質強度の指標であるMFAは、クローン及び土壌母材によって変動することが明らかになった。一方、立地による影響は認められなかった。MFAが遺伝要因に影響されるとする報告はあるが、環境要因との関係を初めて明らかにした。
・オキノヤマスギは環境条件に関わらずMFAが10度以下の低い値を示し、材質強度に優れる品種である可能性が高まり、地域ブランド化の足がかりが得られた。
・MFAとヤング率との間には高い関係性があることがわかった。
・今後は、施業とMFAの関係やオキノヤマスギのクローン組成を調べた上で、MFAに影響を与える因子の解明が必要となる。
A心材促進化
・処理後1年目の結果で、強度な枝打ちを行うことで心材化を促進することが明らかになった。今後も調査を継続し、心材率の高い商品生産の具体的な方法を提示する必要がある。