(1)背景
・林業試験場ではこれまで、県産スギ厚板にダボをはめ込んだ耐力壁の開発に取り組んできた。その結果、スギ厚板耐力壁の美しさと優れた耐力が県内業者に評価され、県内の一部では住宅リフォームや倉庫建築などに活用され始めた。
・しかしこの耐力壁は、建築基準法上に定められた壁として認められておらず、新築住宅ではこの耐力壁の性能を設計に組み込めないため、施工普及の支障となっている。
・耐力壁として大臣認定の取得が必要であるが、壁倍率の値のバラツキを10%以内に収めなければ取得できない。(これまで製作した耐力壁では、約30%のバラツキが発生した。)
・壁倍率の大臣認定の取得は、県内業者から要望が寄せられている。
(2)目的
・壁倍率のバラツキの原因と考えられる、スギ厚板の密度とヤング係数、ダボとスギ厚板のすき間(クリアランス)の基準を定めることにより、スギ厚板耐力壁の性能(壁倍率)を安定化させる技術を確立し、大臣認定を取得する。
(3)効果
・県産スギ材の利用促進を図る。
・耐震性に優れた木造住宅の建設を促進する。
・地域資源を利用する建設業者の活性化を図る。
(1)モデル試験
・スギ厚板とダボを、密度とヤング係数により選別を行い、壁材料の耐力を明らかにする。
・スギ厚板とダボの間に生じるすき間(クリアランス)と耐力との関係を明らかにする。
(2)実大試験
・モデル試験の結果を基にしたスギ厚板とダボを組み合わせ、最適なクリアランスの実大耐力壁を作製し、実大試験により壁倍率を求めてバラツキの程度を明らかにする。
(3)大臣認定申請
・実大試験により耐力壁の性能が安定化されたことを確認した後、壁倍率の大臣認定申請を行う。