良食味、高品質、耐病性等優良な特徴を有する品種を育成する。
具体的な目標
(1)地球温暖化に対応した高温登熟に優れた品種(緊急性が高い)
(2)「コシヒカリ」より成熟期がやや遅い「中間熟期」の粳及び糯品種
(3)食味が「コシヒカリ」並みで、病気に強く、倒伏に強い品種
(4)特色のある食味・食感を持った品種
(5)地場産業と結びついた酒造好適米品種
(1)交配
約30組合せ(例:良食味品種×高温に強い品種)
(2)固定と選抜
交配により得られたF1種子を元に播種と採種を繰り返し特性を固定化。
雑種第4世代から、熟期の早遅、玄米の品質、収量等の特性を調査し、育種目標にあったものを選抜する。また、いもち病に強いものや中山間地、山間地に向く品種を得るため現地でも選抜を行う。
(3)新品種候補の養成
平成25年に選抜した約100系統について高温登熟性・収量性・耐病性・食味等を評価する。有望な系統には鳥系番号を付与し次年度に奨励品種決定調査に供試する。
(4)新品種候補の食味特性の評価
業務用炊飯や寿司用途での食味評価を行うため、炊飯米評価専門業者に委託し、育成地として育成系統の食味の特徴を把握する。
(5)放射線の依頼照射
短期間に優良な品種を育成するために、水稲種子に放射線を照射する。
1)近年激化している産地間競争に打ち勝ち、鳥取県独自の優良ブランド品種により他県産米との差別化を図り、農家収入の安定・向上を目指す。
2)夏の高温が激しい年でも米粒が白濁しない高温登熟性に優れた品種が早急に必要とされている。
3)「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」を9月上中旬に収穫した後、「きぬむすめ」を10月上旬に収穫するまでの端境期、いわゆる「中間熟期」の品種に対する要望も強い。
4)各県で知的財産の保護が進み、他県で開発された病気に強い等の優良な品種が本県に導入できない例もある。県内農家に不利益を生じさせないためにも県独自品種の開発が必要である。(例:新潟コシヒカリBL:コシヒカリにいもち病の抵抗性を持たせた品種)
5)試験場に求める試験課題に毎年新品種育成があげられ、現場の要望も強い。
1)鳥取県独自の優良ブランド米により県産米の有利販売と県内農家の収入が向上する。
2)優良ブランド品種を作り出すことにより、他県に対して鳥取県のイメージアップが図られ、農産物を始めとした多面的な経済効果が期待される(例:熊本県の森のくまさん)。
3)耐病性品種の育成により、農家の省力低コスト化、減農薬・有機栽培が可能となり、食のみやこ鳥取県にふさわしい安全・安心な農産物が生産される。