現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成26年度予算 の 農林水産部の気象変動に左右されない花き類の高品質化技術の開発
平成26年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

気象変動に左右されない花き類の高品質化技術の開発

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農林水産部 園芸試験場 花き研究室  

電話番号:0858-37-4211  E-mail:zaisei@pref.tottori.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
26年度当初予算額 1,433千円 6,191千円 7,624千円 0.8人 0.8人 0.0人
26年度当初予算要求額 1,433千円 6,191千円 7,624千円 0.8人 0.8人 0.0人
25年度当初予算額 1,433千円 6,355千円 7,788千円 0.8人 0.7人 0.0人

事業費

要求額:1,433千円  (前年度予算額 1,433千円)  財源:単県 

一般事業査定:計上   計上額:1,433千円

事業内容

概略説明

(1)近年の著しい気象変動は、本県の施設花き生産において著しい品質低下を引き起こし、販売価格が低迷している。
(2)例えば、近年の夏〜秋期の猛暑により、シンテッポウユリ(秋冬出荷)では花蕾の壊死や花首徒長、トルコギキョウ(秋出荷)では出荷時に十分な草丈確保が難しく、ストックでは著しい開花の年次変動や草姿の乱れが発生し、花壇苗では花数が少なく間延びした姿になる。
(3)さらに、猛暑は収穫・出荷後の鮮度にも影響を及ぼし、花壇苗では出荷中にも間延びや落花、シンテッポウユリ(秋冬出荷)やトルコギキョウ(秋出荷)では蕾のうちに花の萎れや落花を引き起こす。
(4)消費者にとって、出荷時の草姿に加え、切り花の日持ち性や花壇苗定植後の生育の良否(株張り)は、購入の際重要視される点である。
(5)そこで、猛暑等悪状況における低コストで効果の高い出荷時草姿の向上法かつ、日持ち性や株張りの良い栽培法を確立し、生産者所得の向上を図る。

1.事業の必要性

(1)気象変動に伴う栽培環境の変化により、花や草姿等の品質低下が問題となっている。
(2)特に、本県推奨品目の中で猛暑等悪状況に品質が問題となるシンテッポウユリ(秋冬出荷)、トルコギキョウ(秋出荷)、ストック、花壇苗の出荷時草姿向上法の確立が急務である。
(3)また、切り花の日持ち性や花壇苗定植後の株張りは、栽培環境によって大幅に異なるため、出荷時草姿が良く、さらに日持ち性や株張りの良い栽培法を早急に確立する必要がある。
(4)対 象 者:切り花・花壇苗生産者900戸

2.事業の内容とH26年の試験内容

(1)シンテッポウユリ(秋冬出荷)のブラスチング注1・花首徒長対策の検討
ブラスチング注1減少のための栽植密度・細霧冷房の検討
    これまでの成果・ブラスチングの発生は、花芽分化後からの強遮光や寡日照による影響が強いと考えられた。
    ・栽植密度を下げると、ブラスチングが減少すると考えられた。
    H26年の試験・ブラスチング減少のための栽培密度、細霧冷房の検討
    ・定植前後の温度管理による抽台注2時期調節法の検討(抽台時期調節による輪数増加の検討)。
    花首徒長注3の発生要因と対策法の検討
    これまでの成果・花首徒長を抑制するための、わい化剤注4を処理するタイミングを明らかにし、処理濃度を検討した。
    H26年の試験・花首徒長に対するわい化剤の実用的な処理方法を明らかにする。
    (2)トルコギキョウ(秋出荷)の草丈伸長技術の確立
    簡易CO2施用法や市販照明器具(試作LED等)を用いた照射条件の検討
    これまでの成果・育苗中のCO2施用により、株張りが旺盛になった。
    ・定植後に赤色光、発蕾後に遠赤色光(試作ライト)に切り換えて照射すると、草丈が著しく伸長した。
    ・赤色光の代わりに蛍光灯、遠赤色光の代わりに白熱灯を用いても、試作ライトと同等の効果が得られた。
    H26年の試験・育苗中の簡易CO2施用法や簡易夜冷方法等の検討
    ・県内メーカーと協働で開発した、試作LED照明の照射条件の検討
    (3)ストックの花首徒長・うらごけ注5対策の検討
    土壌水分、EC注6の推移が草姿に及ぼす影響
    これまでの成果・これまで花首抑制に効果的とされた潅水制限は、現在の主力品種では花首徒長やうらごけを助長することが明らかになった。
    H26年の試験・草姿を改善するための効果的な潅水方法および液肥施用法の検討
    (4)花壇苗のわい化と花蕾増加法の検討
    育苗期間延長によるわい化法の検討
    これまでの成果・ペチュニアの鉢上げを2週間遅らせると、わい化剤処理と同等のわい化効果が得られた。
    ・アゲラタムなど数品目は、鉢上げを遅らせると花蕾が僅かに減少した。
    H26年の試験・花壇苗主要品目における育苗期間がわい化効果や花蕾に及ぼす影響を明らかにする。
    日長管理による花蕾増加法の検討
    これまでの成果・アゲラタムの育苗中に夜間電照すると、分枝数が増し花蕾が増えた。
    H26年の試験・育苗期間延長と日長処理の組み合わせによる品質向上試験
注1:ブラスチング[花蕾(からい)の発育停止]
 生育段階の花蕾が、何らかの影響で枯死するなどにより発育を停止し、開花に到らないもの。
    注2:抽台
     茎が伸び始めること(茎が伸びなければ、切り花収穫できない)。シンテッポウユリの抑制作型では、抽台率が50%程度で、面積当たりの収量が低いことから、抽台率向上法の解明が望まれている。

    注3:徒長(とちょう)
     花首や茎が、何らかの影響で間伸びして、葉の間隔が広く、間合いが悪い草姿。シンテッポウユリの秋冬出荷では、切り花の70%でこの症状が見られることから、対策が望まれている。
    注4:わい化(剤)
    植物の伸長生長(伸び)を抑えて、小さく、コンパクトな苗物や鉢物を作ること。またはその方法。植物の伸長成長を抑える薬剤をわい化剤という。
     現在、花壇苗の殆どにわい化剤が処理されているが、消費者の手元に届いてから株が張らないなど、問題が多い。そのため、わい化剤を用いないでコンパクトに栽培する方法が求められている。
    注5:うらごけ
     上部の茎や葉が次第に小さくなった状態。 
    注6:EC(電気伝導度)
     土壌中に存在している肥料分の含有傾向を数値で表したもの。この値を測定することにより、肥料成分の過不足傾向を知ることができ、肥料設計の簡易な指標となる。

3.事業の効果

(1)技術確立により、生産者は高品質な生産物を計画的に出荷できる。
         ↓
(2)市場及び消費者からの信頼性が増し、有利販売、販売額の増加が見込める。
(3)経営の安定化。
品目
現状
技術確立後
シンテッポウユリ
(秋冬出荷)
・秀品率 30%
・平均単価 100円/本
・秀品率* 60%
・平均単価 140円/本(40%向上)
トルコギキョウ
(秋出荷)
・秀品率* 20%
・平均単価 80円/本
・秀品率* 50%
・平均単価 110円/本(38%向上)
ストック・秀品率* 30%
・平均単価 60円/本
・秀品率* 50%
・平均単価 70円/本
花壇苗・わい化剤使用率 100%
・栽培期間(平均) 90日
・平均単価 60円/鉢
・わい化剤使用率 50%
・栽培期間(平均) 70日
・平均単価 80円/本(33%向上)
*全農出荷規格による

4.H26年度要求額内訳(単位:千円)

内訳
要求額
栽培資材費、実験用器具・試薬購入費等 1,267
普通旅費  96
役務費  70
合計
1,433

5.年度別試験内容と事業費(単位:千円)

事業実施期間:平成21年度〜27年度
年度
試験内容
事業費
H21〜24・ストック   :開花調節
・シンテッポウユリ :抽台促進技術開発、ブラスチングや花首徒長の要因究明
・花壇苗 :新わい化法、花蕾増加、
・キク :燃料削減
5,732
25・シンテッポウユリ :ブラスチング、徒長要因と対策検討
・トルコギキョウ :育苗と定植後管理の検討
・ストック   :花首徒長、裏ごけ対策の検討
・花壇苗 :主要品目での応用
1,433
26・シンテッポウユリ :わい化剤処理法の確立
・トルコギキョウ :育苗と定植後管理法の組合検討
・ストック   :灌水・液肥施用処理の検討
・花壇苗 :各処理の組合せによる効果試験
1,433
27・シンテッポウユリ :ブラスチング等高品質化実証
・トルコギキョウ :草丈伸長の高品質化実証
・ストック   :草姿改善、高品質化実証
・花壇苗 :新わい化法の実証、マニュアル化
1,433

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

<目標>
・気象変動に伴う栽培環境の変化により、花や草姿等の品質低下が問題になっていることから、出荷時の草姿向上法を確立する。

<取り組みの内容>
・シンテッポウユリ(秋冬出荷)のブラスチング・花首徒長対策の検討
・トルコギキョウ(秋出荷)の草丈伸長技術の確立
・ストックの花首徒長・うらごけ対策の検討
・花壇苗のわい化と花蕾増加法の検討

<現時点における達成度>
・シンテッポウユリ・・ブラスチングに関しては、ハウス内の日照量が低下することが原因と推察された。 花首徒長に関しては、花首徒長を抑制するためのわい化剤を処理するタイミングおよびわい化効果の高い処理濃度を明らかにした。(達成率80%)。
・トルコギキョウ・・・定植後に蛍光灯、発蕾後に白熱灯に切り換えて光照射すると草丈が著しく伸長した。(達成率85%)。
・ストック・・・これまで花首抑制に効果的とされた潅水制限は、現在の主力品種では花首徒長や裏ごけを助長することが明らかになった。(達成率40%)
・花壇苗・・・(1)ペチュニアの鉢上げを2週間遅らせると、わい化剤処理と同等のわい化効果が得られたが、アゲラタムなど数品種は鉢上げを遅らせると花蕾が僅かに減少した。
(2)アゲラタムの育苗中に夜間電照すると、分枝数が増し、花蕾が増えた(達成率70%)。

これまでの取組に対する評価

<H24年度の外部評価(中間)の結果>
   評点:12.2 判定:◎
   (評点10以下は再考)
  委員の主な意見
(1)問題解決の対策が具体化しつつあり、研究継続の必要性がある。

<自己分析>
・シンテッポウユリ・・・花首徒長抑制にわい化剤が効果的と考えられ、処理のタイミングや希釈濃度等を検討したが、実用的な処理方法は未確立。
・トルコギキョウ・・・これまでの試験結果から、画期的な品質向上法が確立できると考えている。今後、普及を目指した実証組み立てが必要。
・ストック・・・生育後半の潅水管理が草姿に影響することが明らかになったが、草姿を改善するための具体的な潅水管理や施肥方法(液肥等)が未解明。
・花壇苗・・・(1)わい化に関する育苗延長のうち、春に出荷する草種では、処理方法が確立しつつあることから、鉢上げタイミングに関するマニュアルを作成する。
 (2)育苗中の日長管理に関しては、日長反応性の高い品目にアゲラタムを選抜した。引き続き、日長管理による品質向上効果の高い品目を選抜し、具体的な処理方法等のマニュアル化を図る。

<改善点>
・シンテッポウユリでは、花首徒長に対する実用的なわい化剤の処理方法を検討する。
・トルコギキョウでは、育苗時の処理と定植後の光照射との併用技術を検討する必要がある。
・ストックでは、現地と協力し、具体的な施肥・潅水管理法を検討する。
・花壇苗では、鉢上げ指標を明らかにするため、データを積み上げる。また、育苗期間延長と育苗中の日長処理の組み合わせによる高品質化法の検討が必要である。

工程表との関連

関連する政策内容

安全、安心、高品質な農産物の生産技術の確立

関連する政策目標

温度、光の制御による花き栽培コストの低減


財政課処理欄


要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 1,433 0 0 0 0 0 0 0 1,433
要求額 1,433 0 0 0 0 0 0 0 1,433

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 1,433 0 0 0 0 0 0 0 1,433
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0