これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<目標>
特徴ある鳥取オリジナル品種の育成
・極早生で省力型(黒斑病・黒星病抵抗性、自家和合性)のナシを開発する。
・白紋羽病にかかりにくい耐病性ナシ台木を開発する。
<取組状況及び現時点での達成度>
1)省力型で美味しいナシの開発
遺伝子診断で選抜した自家和合性の交雑実生を約4000系統圃場に定植した。その中から果実品質の優れた5系統を高次選抜した。選抜系統については本栽培用の苗木を養成・定植し、実用性評価を進める。
進捗率60%
2)極早生で省力型の美味しいナシの開発
育成した雑種2489個体から初結実した681個体を評価し、極早生で果実品質に優れる28個体を一次選抜した。遺伝子診断により自家和合性のナシ雑種144個体を選抜・養成し、本圃に定植した。また、平成23年度交配種子260個から、正常に生育した98個体の苗木を育成した。
進捗率40%
3)倍加技術を用いた新たなナシの開発
平成20年度までに作出したナシ倍数体より、果実品質の優れる1個体を選抜した。四倍体の9割が自家和合性を獲得した。新たに夏さやか等早生優良品種の四倍体を159個体作出し、そのうち97個体の接木苗を育成・定植し、倍数性を維持している94個体を選抜した。また、新たに35系統の倍数体の苗木を養成した。
進捗率60%
4)白紋羽病耐病性ナシ台木の開発
白紋羽病菌の接種試験により、マメナシの交雑実生集団から白紋羽病に比較的強い3系統を選抜し、現在接木苗による耐病性評価を進めている。また、ナシ野生種の交雑実生から接種試験により、無病徴の健全28個体を耐病性個体として一次選抜した。これらの系統の接木苗での耐病性を評価(二次選抜)するために、接ぎ木苗の養成を図っている。
進捗率60%
これまでの取組に対する評価
<自己分析>
平成23年度の外部評価(中間)の結果
評点 13.0 ◎ (評価点12.0以上で継続実施)
・評価委員の主な意見
(1)息の長い研究ですが、是非頑張ってほしい。鳥取ブランドの青梨の幅が広がるという意味で大切な研究である。
(2)育種は長時間がかかる。現在までに得られた成果をさらに実用化するために今後とも試験研究を続ける必要がある。
(3)5年後に実用化に行けるかのスケジューリングが必要。
平成24、25年度ナシ研究会においても、早期に極早生新品種を育成して欲しいと要望があり、期待されている。
現時点ではおおむね順調に進捗している。ニホンナシ新品種(特に極早生品種)への期待の大きさを感じる。新品種の育成に向けて早期実現していきたい。
<改善点>
・供試材料の絞り込み、選抜の調査方法の見直しを行うことで優良個体選抜の効率化、早期実現を図る。