現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成26年度予算 の 農林水産部のバイテクによるナシ新品種シリーズの育成
平成26年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

バイテクによるナシ新品種シリーズの育成

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農林水産部 園芸試験場 生物工学研究室  

電話番号:0858-23-1341  E-mail:zaisei@pref.tottori.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
26年度当初予算額 3,500千円 16,252千円 19,752千円 2.1人 1.0人 0.0人
26年度当初予算要求額 3,500千円 16,252千円 19,752千円 2.1人 1.0人 0.0人
25年度当初予算額 3,500千円 15,888千円 19,388千円 2.0人 1.0人 0.0人

事業費

要求額:3,500千円  (前年度予算額 3,500千円)  財源:単県 

一般事業査定:計上   計上額:3,500千円

事業内容

概略説明

バイテク手法を用いたナシの新品種育成による長期リレー出荷の実現、およびナシ優良台木系統による生産安定、新品種の普及促進を図る。

1 事業の必要性

(1)ニホンナシ新品種育成


    なつひめ、新甘泉等の鳥取県オリジナルのナシ新品種に対する生産者や市場の期待は大きく、新品種の登場は産地活性化の足がかりとなっている。特に、高単価が期待できる8月初旬に出荷可能であり、省力型(黒斑病・黒星病抵抗性、自家和合性)で美味しい極早生ナシの開発・育成が早急に求められている。

    (2)ナシ優良台木系統育成

    ナシ新品種に改植する際、白紋羽病による苗木の枯死が発生し、新品種の普及促進の妨げとなっている。このため、白紋羽病にかかりにくい白紋羽病耐病性ナシ台木の開発・育成が求められている。

2 事業の内容

(1)ニホンナシ新品種育成
ア)省力型(自家和合性、黒斑病・黒星病に強い)で美味しいナシの開発(平成9〜16年度に交配)
  交配により雑種を獲得→遺伝子診断法(本県特許)により自家和合性で日持ち性の良い個体を選抜→栽培特性調査により病気に強く樹勢の良い個体を選抜→果実調査により食味の良い個体を選抜→新品種候補決定
イ)極早生で省力型(自家和合性で黒斑病・黒星病に強い)の美味しいナシの開発(平成20年度から交配)
 食味が良好な早生ナシ同士を交配し、雑種を育成→遺伝子診断法により自家和合性で日持ち性の良い個体を選抜→栽培特性調査により病気に強く樹勢の良い個体を選抜→果実調査により収穫時期が早く食味の良い個体を選抜→新品種候補決定
ウ)倍加技術を用いた新たなナシの開発
 夏さやか、新甘泉、早優利など早生優良ナシ品種の染色体倍加個体を作出→倍数性の安定した四倍体個体を選抜→栽培特性調査により自家和合性で病気に強く樹勢の良い個体を選抜→果実調査により果実肥大性、食味の優れた個体を選抜→新品種候補決定
   *倍加技術:染色体数を人工的に倍加する技術
(2)ナシ優良台木系統育成
ア)白紋羽病耐病性ナシ台木の開発
交配母本を選定→交配により交雑実生を獲得・育成→白紋羽病菌接種試験により選抜個体を獲得→選抜個体にナシ品種を接ぎ耐病性を評価→白紋羽病の汚染圃場において耐病性を評価→現地圃場において実用性を評価→白紋羽病耐病性台木候補

3 事業の効果

(1)ニホンナシ新品種育成
ア)良食味・大玉品種の開発・育成→特選品、独自ブランドの形成
イ)極早生品種の開発・育成→8月初旬の高値期の出荷による収益性のアップ
ウ)自家和合性・耐病性品種の開発・育成→省力化、低コスト化
エ)早晩性の多様化→長期リレー出荷の実現、労力分散、有利販売
オ)農薬散布回数の軽減→消費者は安全安心な果実を購入可能


(2)ナシ優良台木系統育成
ア)白紋羽病耐病性ナシ台木の開発・育成→高品質安定生産、ナシ新品種の改植が促進→県内ナシ産地の活性化

4 これまでの成果

(1)ニホンナシ新品種育成
ア)省力型で美味しいナシの開発
平成9〜16年交配育成の約4000系統を評価し、果実品質に優れる個体を56個体選抜しており、うち平成24年度の果実調査により食味・果実品質が安定して優れた二次選抜個体を2個体、三次選抜個体を2個体選抜し、四次選抜個体を6個体、五次選抜個体を3個体、六次選抜個体を1個体選抜した。特に果実品質に優れる5個体は苗木の育成を図り、本圃に定植した。
イ)極早生で省力型の美味しいナシの開発
極早生品種開発のために早生品種を用いた交配を平成20年度から開始した。育成した雑種2489個体をから初結実した681個体を評価し、極早生で果実品質に優れる28個体を一次選抜した。平成24年度に選抜した自家和合性の雑種幼木144個体を選抜し、定植した。また、平成23年度交配種子260個より正常に生育した雑種98個体の苗木を獲得し、今後遺伝子診断を実施予定。
ウ)倍加技術を用いた新たなナシの開発
ナシの倍数体作出法により、なつひめ等17品種2系統から四倍体を90個体作出し、果実品質に優れる1個体を選抜した。作出した四倍体の9割の個体が自家和合性を獲得することが判明した。夏さやか等早生優良品種の四倍体を97個体の苗木を育成後本圃に定植し、倍数性を維持している94系統を選抜している。また、新たに35系統の倍数体の苗木を養成した。

(2)ナシ優良台木系統育成
ア)白紋羽病耐病性ナシ台木の開発
ナシ野生種の交雑実生集団(1140個体)の中から、白紋羽病菌接種による第1〜5次接種をポット試験で行い、比較的耐病性を示した3系統を選抜した。選抜した3系統を台木にした接木苗を白紋羽病汚染圃場に定植し、耐病性を評価している。また、現地発病ほ場2箇所にも選抜系統を台木とした接木苗を定植し、評価を進めている。

5 平成26年度の試験内容

(1)ニホンナシ新品種育成
ア)省力型で美味しいナシの開発
選抜個体について果実調査を継続し、安定して美味しく病気に強いナシを選抜する。生育特性調査と果実調査による選抜を行う。高次選抜個体については本栽培用の苗による実用性評価を進める。
イ)極早生で省力型の美味しいナシの開発
極早生品種開発のための交配を継続して行う。遺伝子診断法により、自家和合性で日持ちの良い個体を早期に効率よく選抜する。また、果実調査及び栽培特性調査により、極早生で果実品質に優れる個体を選抜する。
ウ)倍加技術を用いた新たなナシの開発
平成23年度までに作出した倍数体個体の果実調査を行い、自家和合性で果実肥大性、食味の優れる個体を選抜する。四倍体の特性である自家和合性、大玉化を活かして、早生優良品種(夏さやか、新甘泉、早優利等)のさらなる改良を進める。


(2)ナシ優良台木系統育成
ア)平成21年度までに選抜した2系統について、白紋羽病汚染圃場において耐病性の実証試験を引き続き行う。
イ)ナシ品種を接いだ2系統の選抜台木について、現地試験において引き続き調査する。
ウ)平成23年度に選抜した各種ナシ野生種の交雑実生26系統の接木苗での耐病性を評価し、選抜を進める。

6 H26年度要求額の内訳

内訳
要求額(千円)
会議、学会等への出張費
300
組織培養及び栽培管理費(資材、試薬等)
3,020
通信運搬費
 100 
使用料及び賃借料
80
合計
3,500

7 試験実施期間

平成19〜28年
年度
事業内容
事業費(千円)
19〜25ナシ雑種不良個体の淘汰と有望系統の特性調査
倍数体の育苗と特性調査
有望な耐病性台木の選抜
耐病性台木の選抜と現地試験
24,367
26ナシ雑種不良個体の淘汰と有望系統の特性調査
倍数体有望系統の特性調査
有望な耐病性台木の選抜
耐病性台木の現地試験
3,500
27〜28ナシ雑種不良個体の淘汰と新品種候補の特性調査
倍数体有望系統の特性調査
有望な耐病性台木の現地試験
7,000
合計
34,867

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

<目標>
特徴ある鳥取オリジナル品種の育成
・極早生で省力型(黒斑病・黒星病抵抗性、自家和合性)のナシを開発する。
・白紋羽病にかかりにくい耐病性ナシ台木を開発する。

<取組状況及び現時点での達成度>
1)省力型で美味しいナシの開発
 遺伝子診断で選抜した自家和合性の交雑実生を約4000系統圃場に定植した。その中から果実品質の優れた5系統を高次選抜した。選抜系統については本栽培用の苗木を養成・定植し、実用性評価を進める。
  進捗率60%
 
2)極早生で省力型の美味しいナシの開発
 育成した雑種2489個体から初結実した681個体を評価し、極早生で果実品質に優れる28個体を一次選抜した。遺伝子診断により自家和合性のナシ雑種144個体を選抜・養成し、本圃に定植した。また、平成23年度交配種子260個から、正常に生育した98個体の苗木を育成した。
 進捗率40%

3)倍加技術を用いた新たなナシの開発
 平成20年度までに作出したナシ倍数体より、果実品質の優れる1個体を選抜した。四倍体の9割が自家和合性を獲得した。新たに夏さやか等早生優良品種の四倍体を159個体作出し、そのうち97個体の接木苗を育成・定植し、倍数性を維持している94個体を選抜した。また、新たに35系統の倍数体の苗木を養成した。
 進捗率60%

4)白紋羽病耐病性ナシ台木の開発
 白紋羽病菌の接種試験により、マメナシの交雑実生集団から白紋羽病に比較的強い3系統を選抜し、現在接木苗による耐病性評価を進めている。また、ナシ野生種の交雑実生から接種試験により、無病徴の健全28個体を耐病性個体として一次選抜した。これらの系統の接木苗での耐病性を評価(二次選抜)するために、接ぎ木苗の養成を図っている。
 進捗率60%

これまでの取組に対する評価

<自己分析>
 平成23年度の外部評価(中間)の結果
   評点  13.0 ◎ (評価点12.0以上で継続実施)
・評価委員の主な意見
(1)息の長い研究ですが、是非頑張ってほしい。鳥取ブランドの青梨の幅が広がるという意味で大切な研究である。
(2)育種は長時間がかかる。現在までに得られた成果をさらに実用化するために今後とも試験研究を続ける必要がある。
(3)5年後に実用化に行けるかのスケジューリングが必要。

平成24、25年度ナシ研究会においても、早期に極早生新品種を育成して欲しいと要望があり、期待されている。
現時点ではおおむね順調に進捗している。ニホンナシ新品種(特に極早生品種)への期待の大きさを感じる。新品種の育成に向けて早期実現していきたい。

<改善点>
・供試材料の絞り込み、選抜の調査方法の見直しを行うことで優良個体選抜の効率化、早期実現を図る。

工程表との関連

関連する政策内容

オリジナル品種・高付加価値化技術開発

関連する政策目標

特徴ある鳥取オリジナル品種の育成


財政課処理欄


要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 3,500 0 0 0 0 0 0 0 3,500
要求額 3,500 0 0 0 0 0 0 0 3,500

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 3,500 0 0 0 0 0 0 0 3,500
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0