1 事業概要
東郷池におけるヤマトシジミ増殖のための橋津川水門操作マニュアルの高度化と実証
- 資源状況や市場ニーズに応じた漁獲量増産の実践
- 東郷池産ヤマトシジミの更なる付加価値向上
を目的とした試験を行う。
【調査期間】平成26〜28年度
2 背景
東郷池では、平成13年以降に激減したヤマトシジミ資源を復活させるため、県栽培漁業センターが平成15年度まで行った試験結果に基づき、平成16年度に「シジミ増殖のための水門操作マニュアル」を提示。その後、シジミ資源は急激に回復(約2億円/年)。
- 東郷湖漁協では、マニュアルに基づく水門操作を続けてきたが、近年、高潮位による操作不能や夏期の貧酸素等の頻発によりシジミの大量斃死が頻発。再び不漁に陥った。
- 東郷池のヤマトシジミ資源の回復と安定生産のためには、近年の気候変動に応じた水門操作マニュアル(H16提示)の見直しが必要。
- 東郷池シジミ資源には、地域資源として大きなポテンシャル(他産地にない大粒・高品質・漁獲量のさらなる増大など)があり、資源回復により、地域ブランドの創出や地域の活性化の素材として有効。
3 事業の必要性
県栽培漁業センターが平成16年度に示した「シジミ増殖のための水門操作マニュアル」が近年の池内環境に適合しにくくなっており、マニュアルの見直し、高度化が必要。
東郷池産ヤマトシジミは、地域振興につながるポテンシャルが高く、研究による効果が期待できる。
シジミ資源の増殖は、主に水門操作手法の高度化のみで可能となり、極低コストで大きな見返りが期待できる産業として魅力が大きい。
4 研究推進体制
下表の体制で研究を推進する。
機関 | 役割 |
県栽培漁業センター | シジミ資源動向、水質、気象などのデータ収集 |
県衛生環境研究所 | 水質、植物プランクトン観測
気象などのデータ解析
データ取得方法に関する助言 |
鳥取大学 | 池内流動モデルの作成、改良
データ取得方法、解析方法などの助言、指導 |
湯梨浜町 | 地元旅館等の経済活性化策の検討 |
東郷湖漁業協同組合 | 調査協力、水門操作の実践
販路拡大、地元への還元策の検討 |
5 研究内容
研究項目 | 年度 | 内容 | 担当 |
ヤマトシジミ増殖のための橋津川水門操作マニュアルの高度化と実証 | H26〜28 | ・池内の流動把握
・流入量、流出量把握
・水門操作
・池内3定点で水質連続観測
・池内流動モデル作成、改良
・水門操作マニュアル改訂 | 栽培セ
東郷湖漁協
栽培セ・漁協
栽培セ・鳥大工学部(委託;共同研究)
栽培セ |
資源状況に応じた最大有効漁獲量の指標づくり | H26〜28
| ・単位時間あたり漁獲量、漁獲実態、出荷実態の把握
・指標の作成 | 栽培セ・漁協
栽培セ |
東郷池産ヤマトシジミの食の魅力発掘 | H27〜28 | ・機能性成分、旨味成分分析による旬の把握
| 栽培セ |
6 期待される効果
<湯梨浜町>
東郷池産ヤマトシジミの更なるブランド化
地元旅館等の経済活性化
<東郷湖漁協>
- 高度化水門操作マニュアルに基づく水門操作の実践
- 漁獲量および漁獲高の増加(3−4億円)および販路拡大
- 共同出荷
- 地元への安定的な資源の還元