1.背景、現状
近年、局地的な大雨(ゲリラ豪雨)が全国各地で多く発生している。今年度においても7月9日長野県南木曽町、8月20日には、広島県広島市と立て続けに甚大な土砂災害が発生し、老若男女を問わず多くの尊い人命が奪われている。
本県においても、平成19年の八頭町、若桜町及び琴浦町における集中豪雨、一昨年の台風12・15号の県中西部における集中豪雨により土砂災害が発生した
2.問題点
このたびの長野県、広島県で発生した土砂災害における災害の特徴の一つとして、花崗岩質の地質がクローズアップされている。また、火山由来の堆積物(ローム層)などの特殊土壌も崩れやすい地質として挙げられている。
本県においても、広島県と同様に花崗岩が広く分布し、かつ大山周辺に広く火山性堆積物などの崩れやすい特殊地質が分布している。しかし、これらの土砂災害危険箇所について、風化度など詳細がわからない状況である。
3.要求理由
このたびの大規模土砂災害を契機に、地質要因による土砂災害の起こりやすさを緊急に調査し、県内の土砂災害危険箇所の危険度を再度、点検・検証することにより、今年度策定予定の国土強靭化地方計画に検証結果を盛り込み優先的に施設整備を進めていく。
また、市町が策定する地域防災計画(避難計画、ハザードマップ)の見直しの参考としてもらい、住民の早期避難につなげることにより、災害に強い県土づくりの一助とする。
4.事業の内容
事業項目
○土砂災害危険箇所の緊急調査事業(新規)
調査対象;土砂災害危険箇所のうち、花崗岩質及び大山火山堆積物等の特殊地質と推定される未整備箇所について、風化度を調査する。
内容:緊急調査
計画準備、地形調査、地質調査、調書作成 一式
1箇所30,000円×1,229箇所 計 C=36,870千円
※今回は1,229箇所について緊急調査を行い、他の箇所についても次年度以降計画的に調査を行う。
○土砂災害警戒区域(イエロー区域)の100%指定促進
(新規)
・未指定区域(13区域)の指定を促進するため、パンフレット等による啓発を図り、指定への対象住民の理解を得るとともに、告示図書の修正等を行い、イエロー区域の100%指定完了を図る。
パンフレット作成 300千円
再調査 13箇所×50千円=650千円 計 C=950千円
【土砂災害警戒区域等指定状況】
| 危険箇所(H14公表値)(A) | 危険箇所外
指定箇所(b) | 指定済箇所
(B)= (a)+(b) | 指定率
(B)/(A) |
| うち指定済箇所 (a) | うち未指定
箇所 | うち指定不要箇所 |
イエロー | 6,168 | 6,005 | 13 | 150 | 65 | 6,070 | 98% |
※「指定不要箇所」とは保全家屋がなく、指定が必要ないため指定対象外とした箇所である。
※「危険箇所外指定箇所」とは、平成14年度公表値以外に住民聞取等により危険箇所と同様な地形である区域を指定した箇所である。
○土砂災害警戒区域等の周知
緊急調査を踏まえ、花崗岩質及び大山火山堆積物等の地質のエリアを県ホームページ等公開することにより、県民への周知を図る。
さらに、出前講座や裏山診断などの地元説明の場において、身近な環境における土砂災害の危険性を理解し、防災意識の向上を図る。
(標準事務費対応)
○防災学習事業の充実
・防災学習模型購入(追加)
土砂災害の要因のひとつである「がけ崩れ」について、模型を通じて一層の理解を図り、土砂災害に関する知識の普及に取り組む。
土砂災害模型(がけ崩れタイプ) C=762千円