○かつての湖山池は、唯一の流出河川である湖山川が千代川河口を通じて日本海へと繋がる汽水湖であった。
○昭和58年、千代川河口付け替え事業によって日本海と直通となるが、従来から湖水が農業利用されていたため、湖山川の水門管理によって低塩分で維持された。
○水質汚濁により環境基準は一度も達成されておらず、近年ではアオコ発生に加えて、カビ臭発生、ヒシの大量繁茂、漁業不振等の問題が顕在化した。
○これらの問題を解決するため、住民意見や湖山池会議等での議論を踏まえ、平成24年3月から水門開放により水の交換を高めて、汽水湖として再生することとなる。
○水門開放して高塩分化管理する状態は、湖山池のかつての状態とは異なり、生物多様性や生態系が大きく変化することが予想され、現在過渡期にあると考えられる。
○事前にシミュレーションが行われているが万能ではなく、実際の状況や事象を監視・評価し、適切に対応していく必要がある。
○今年5月に策定された「湖山池将来ビジョン推進計画( 第3期 湖山池水質管理計画 )」では、残された淡水性の動植物の保護・保全に取り組むよう明記される。
○淡水動植物(カラスガイ等)の衰退が確認された。
○県民並びに日本生態学会中国四国地区会、鳥取県生物学会等より希少野生動植物(カラスガイ含む)の保全に関する意見・緊急要請・要望書が提出され、県として淡水動植物の保全に取り組みを始めたところ。
○湖沼の自然再生に向けて、在来の水生動植物を活用することは重要な手法となるが、必要な知見や情報が不足している。
○水質等の監視結果を随時行政機関や関係機関に提供することで、その時々の事象・状況に対して必要な対応を行うための判断材料となる。
○水門開放による湖内環境への影響を見極め、生物多様性・生態系が目指す姿に近づいているのか評価・検証することができる。
○国立環境研究所等との共同研究を通じ、全国の湖沼の生物多様性・生態系の最新の状況や事例と比較しながら評価することで、湖山池の置かれている状況を客観的に判断できる。
○淡水動植物の復元手法の確立は、湖山池を始めとする県内湖沼の自然再生の有効な手法の1つとなる。
国立環境研究所、東邦大学、島根大学、国内の湖沼がある他自治体の地方環境研究所、鳥取県栽培漁業センターと共同研究を実施中。
「生物多様性・生態系評価手法」を国立環境研究所、及び他の地方自治体環境研究所との共同研究で検討し、評価の際に用いる。