1 事業の目的
中山間地域では、農家の高齢化や人口減少、小規模で急傾斜な農地条件により、耕作意欲の減退、耕作放棄地の増加が顕著である。このため、地域ぐるみで地域の特色を活かした魅力ある特産物の導入や、特産品の開発を行いながら、兼業農家、定年帰農者など新たな担い手の育成を図るとともに、中山間地域の活性化と農地の保全を目指す。
2 事業内容
(1)魅力ある中山間特産物等育成支援事業
兼業農家や定年帰農者、女性等多様な農業者が、中山間地域において農業を核とした経営を開始したり、農地を維持・保全するために必要な新しい取組を支援する。
項目 | 内容 |
事業主体 | 農協、集落、生産者グループ、市町が認める農業者等(認定農業・法人は除く) |
対象地域 | 鳥取県みんなで取り組む中山間地域振興条例及び規則で規定する中山間地域の区域 |
対象品目 | 農業分野(特用林産物を含む)、畜産は除くが養蜂及び乳製品加工品は対象。 |
補助対象 | 生産体制づくり、販売を目的とした農産物及び農産加工品の試作、商品開発、販路開拓、耕作放棄地の再生等を支援
ハード事業:
(1)パイプハウス、果樹棚(梨は除く)、機械,
設備、器具、備品等(購入、リース)
(2)自己所有の耕作放棄地の再生利用経費
(障害物除去、整地、土壌改良等)
ソフト事業
農産物の試作等に必要な種苗費、資材費、土壌改良費、商品開発試食宣伝等に必要な経費、視察・調査・専門家の招聘等に係る旅費・謝金、使用料、機械借上料、業務委託費(食糧費は除く) |
補助率 | 県1/3 市町村1/6
(耕作放棄地を再生利用した場合の補助率
県1/2、市町村1/6) |
補助上限 | 1戸あたり(共同利用の場合は1事業あたり)3,000千円(そのうちソフト事業は1,000千円) |
採択要件 | 以下の条件を満たすこと
1 事業実施の3年後(果樹は5年後)の生産目標を策定すること(必須)
2 面積・数量・販売額のいずれかが増加すること(必須)
3 新たな特産物の導入や加工品の開発等につながること
4 耕作放棄地の解消につながること
5 新たな農業参入者の増加につながること
6 取組が地域に波及し、地域の活性化につながること。
1〜2は必須、3〜6はいずれか1つ以上を満たすこと |
要求額 | 13,606千円(14件) |
※規模の拡大により市町村、農協単位で産地化を目指す場合は「みんなでやらいや農業支援事業(がんばる地域プラン、がんばる農家プラン)」を活用
※農業以外の中山間地域の振興を図る取組は「みんなで支え合う中山間地域づくり総合支援事業」を活用。
平成26年度変更点
・単年度事業で実施していたが、2年間実施することも可能にする。
理由:永年性作物の植付時期が年度をまたがったり、新たな取り組の場合、農業者が段階的に経営を発展させるために変更が生じる事例があるため。
実施方針:事業計画に基づいて、単年度ごとに交付申請するよう変要綱、要領を変更する。
・ソフト事業の補助対象経費に、土壌改良費、機械借上料を追加する。
理由:水田転換畑等で、新たに野菜を栽培する場合、土壌改良が必要になるが、初期投資額が大きく、人力では労力がかかり、機械等を利用が必須となるため。
(2)ハウスのコスト低減(新規) ゼロ予算
パイプハウスの導入コストが高騰しているため、県外の事例収集、低コストハウスに関する調査を行う。
3 事業の必要性と効果
(1)中山間地域では、農業者の高齢化と農家の減少や、耕作放棄地の増加が深刻である。営農上条件が悪く、担い手の他に兼業農家、定年帰農者等担い手層の充実なくして農地の保全や集落を維持することは不可能に近い状態になっている。
(2)そこで、これら様々な担い手を育成し、農家の経営発展や地域農業の活性化を目指すことが重要。
(3)現在、中山間地域の振興策は「みんなで支え合う中山間地域づくり事業」等で企画部や県民局で実施され、農業に限らず地域の課題を解決する地域振興の施策が展開されている。
(4)本事業は、これら中山間地域の振興等のうち、農林業部分を充実、強化するものであり、農林局が中心となって生産、流通販売の支援を実施。
(5)特に小規模な取組を幅広く支援するものであり、本格的な生産拡大に向けては「やらいや農業支援事業」等を活用するなど段階的に支援。
(6)なお、耕作放棄地を再生利用する場合においては、県補助率を嵩上げして、中山間地域の耕作放棄地を解消を促進する。
(7)パイプハウスの導入コストが高騰しており、周年出荷や高齢化に対応した農産物の生産出荷が困難になっている。このため、パイプハウスの低コスト化を図ることが必要。
4 現状・背景
(1)鳥取県の農業就業人口は平成17年から22年の5年間で約2割減少している。また、中山間地域では農地の条件が悪く、今後耕作放棄地の増加と集落機能の衰退が懸念される。
(2)近年、新規就農者や農の雇用により担い手は増加しているが、担い手だけで地域の農業を守っていくことは困難で、そのため、兼業農家や定年帰農者等多様な農業者が農業に参入して地域を担う仕組をつくることが必要。
(3)団塊の世代の定年退職を機に、農業大学校における短期研修や、直売所等への出荷など、小規模の農業生産と販売機会が多くなり、これらの定年帰農者が活躍する場面ができつつある。
(4)しかし、これら小規模な農業者が農地の条件の悪い中山間地域で農業を始める場合、従来の担い手の支援策では生産の拡大等の要件を満たすことが困難で、事業に取り組めないことが多いため、農業者が段階的に発展するための支援策が求められていた。
6 事業実施年度
平成25〜27年度
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
【H25年度事業実施状況】
パイプハウス(トマト、アスパラガス、葉菜類等)、機械、苗代(桑、柿(予定)、資材等 10月時点で6,939千円令達済
【中山間特産物等に関する調査】
8月に県内8カ所で特色のある特産物の聞き取り調査を行った。
これまでの取組に対する評価
【事業に対する評価】
・地域の特徴を活かしながら創意工夫して取組む事例が多い。
(アスパラガス(トンネル栽培)、ぶどう(ワイン)、柿(輝太郎)、栗(ぽろたん)、桑の葉(茶加工用)等
・みんなで取組む農業支援事業の対象にならない小規模農家、これから本格的に農業を始める定年帰農者等が活用している。
・来年度耕作放棄地へ果樹等を栽培する要望がある。
・現在、単年度限りの事業であるが、2年間実施できるよう改善を求める声がある。