1 事業概要
風しんの流行を食い止め、生まれてくる子どもを先天性風しん症候群(CRS)から守るための対策として、県民に対する風しん抗体価検査の実施及び抗体価が低い者へのワクチン接種助成を行う。
また、一般に流行のピークとされる初夏の前に、「風しん対策キャンペーン」を実施し、受検率等を高めることで、集団予防効果を上げる。
2 背景
・今年夏頃をピークとした大都市中心の全国的な風しんの流行により、全国で1月〜9月までに14,000人以上の風しん患者と14人の先天性風しん症候群の患者が報告され、今後も増加する可能性がある。
・本県においても10月24日現在で32人の患者が発生しており、平成20年の全数把握調査の開始以降、最大の流行となっている。
・過去の流行の状況を見ると5〜6年ごとに流行しているが、次の流行の山を予測することは難しく、風しんへの感受性者が多く存在する限り、流行のリスクは避けられない。
・そのため、今回の大流行を期に、CRSゼロを目標に、徹底した風しん対策を行うこととする。
・国庫補助制度においては、対象を限定した抗体価検査のみであるが、上記目標を達成するための抗体価検査の対象を全年齢とするとともに、ワクチン接種費用についても市町村の協力を得ながら25年度に引き続き助成を行うこととする。
3 助成事業の概要
(1)風しん抗体価検査
1)医療機関風しん抗体価検査(国庫補助事業)
○対象者:妊娠を希望する女性とそのパートナー
○費用:無料
○実施主体及び助成の考え方
・実施主体は県。医師会(病院、診療所)へ委託。
・国と県で1/2ずつ負担。
2)保健所風しん抗体価検査(国庫補助事業・県単独事業)
○対象者:風しん抗体価検査希望者(年齢等の制限なし)
○費用:無料 ※現在790円の手数料徴収しているが、受検率を上げるための減免規定を設ける。
○実施主体及び助成の考え方
・実施主体は県。
・対象者が妊娠を希望する女性及びそのパートナーの場合、国と県で1/2ずつ負担。(国庫補助事業)
・対象者が上記以外の場合、県が10/10負担。
(県単独事業)
(2)風しんワクチン接種(県単独事業:継続・拡充)
上記風しん抗体価検査の結果、抗体価が低かったすべての者に対するワクチン接種費用の一部を助成する。
○対象者:保健所または医療機関での風しん抗体価検査の結果、抗体価が低かった者(HI抗体価<1:16)
○実施主体及び助成の考え方
・実施主体は市町村。
・市町村と県で1/2ずつ負担。県助成の上限は4,000円。
※上限額は、12,000円(麻しん風しん混合ワクチン)の1/3相当。
(3)風しん対策キャンペーンの実施
5月中旬をキャンペーン期間として設定し、啓発活動を行うとともに、保健所での風しん抗体価検査時間外対応等受検しやすい環境を整備する。
4 要求額
総事業費 21,203千円
〔風しん抗体価検査関係〕・・・10,184千円
・医療機関 6,617千円
・保健所 3,567千円
〔風しんワクチン接種〕・・・10,800千円
〔新聞広報〕・・・219千円
5 参考
・風しんとは、発疹、リンパ節の腫れ、発熱が特徴の病気。軽く済むことも多いが、時に重篤な合併症も起こり、大人では症状が長引くこともある。
・風しんウイルスに感染しても明らかな症状がでることがないまま免疫ができてしまう(不顕性感染)人が15〜30%程度いる。
・免疫のない女性が妊娠初期に風しんに罹患すると、風しんウイルスが胎児に感染して、胎児が難聴や心疾患、白内障や緑内障等の障がいを持って生まれる可能性がある。
・風しんに直接効く薬はなく、感染を予防する有効な手段はワクチンとなる。
・風しんワクチンの定期接種は、小児(1歳児・小学校入学前1年間の幼児)が対象。
※上記以外は任意接種となる。
※定期接種の対象年齢について、現在、34歳以上(H25.4.1現在)の男性などは接種を行っていない年齢層となる。
※妊娠中はワクチン接種できない