1 事業の目的
(1)鳥取県においては県内に感染症専門医が3名しかおらず近年の感染症を取り巻く環境を踏まえ、感染症専門医の養成が急務となっている。
(2)そのため、高度な感染症治療のための設備や人材(指導医)を保有し、かつ県内で唯一の感染症学会認定研修施設である鳥大附属病院の協力を得て専門性を持った医師を養成していくことが、最も合理的かつ効果的であり、感染症専門医を養成するための体制づくりに必要な経費を助成する。
※感染症専門医 鳥大医学部附属病院、山陰労災病院、診療所 (鳥取市)
(感染症専門医師育成の重要性・必要性)
・現在の感染症を取り巻く環境の中、感染の拡大を防止するためには、感染症の早期発見、診断、治療が重要となる。
・多くの疾患において共通する症状や所見からいかに早く感染症を疑い、診断に必要な検査を実施し、耐性菌の出現を抑制するための適正な抗菌薬使用など、感染症の知識や技術、診療経験のある専門医の存在が重要である。
・危険性の高い感染症について、いつ、どこで発生するか正確に予測することは困難であることから、感染症の診断・治療に習熟した医師が県内に複数存在することが必要となる。(主に感染症指定医療機関)
※感染症指定医療機関
東部:県立中央病院
中部:県立厚生病院
西部:鳥取大学医学部附属病院
鳥取県済生会境港総合病院
2 事業費
専門医養成のための体制整備として、鳥大附属病院の感染症科に新たに1名の専門医を配することとし、その経費について、地域医療再生基金を活用し3年間の助成を行う。
(全体)
9,000千円(医師1名分の人件費相当)×2,5年間=22,500 千円
(うち平成26年度当初分)
9,000千円
3 参考(感染症を取り巻く環境)
◯我が国の感染症を取り巻く状況について、HIV感染症、SARS、新型インフルエンザ(A/H1N1)、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など、近年になって新たに出現した新興感染症は少なくない。
◯最近では、中国における鳥インフルエンザA(H7N9)や中東・ヨーロッパで発生しているMERS(マーズ)等、危険性の高い感染症に対する監視が世界中で続けられ、国内への侵入が危惧されている。
◯また、多様な病原体に感染した患者が集まり、感染への抵抗力(免疫)が低下した人も多く存在する病院内での院内感染の問題や治療が困難となる多剤耐性菌の問題も懸念されているところである。
◯あわせて、日常的に発生する感染症への課題について、現在の風しん患者の急増による先天性風しん症候群の問題、福祉施設等におけるインフルエンザ及びノロウイルス等の集団発生、小児感染症の流行等、様々な対応が求められているところである。