1 事業目的
近年、時間雨量100mmを超えるゲリラ豪雨等の異常気象の顕在化に伴う甚大な水害が全国で発生しており、流域の治水安全度の確保が急がれるところである。市街地を堤防形状で流れる大路川流域は浸水危険度が高いが、改修工事完了には長期間が必要である。
そこで、河川事業の枠を越えた流域関係者との協働による、ソフト及びハード整備を行い、早期に水害に強いまちづくりを図る。
2 現状・背景
(1)水害に起因する流域特性
○千代川、大路川の堤防に囲まれた低平地に市街化が発達。
○大路川河床と流入する排水路敷高が近接し、雨水が滞留。
○宅地化進行に伴う農地減少により、従来の遊水機能が低下。
○治水計画では、市街地の河道拡幅が困難なため、流域開発に伴う流出量増大に対し、遊水池等による洪水貯留処理。
(2)住民からの要請
H22.10 美保地区地域づくり懇談会、大路川治水懇談会
○浸水時の安全な避難場所の確保。
○宅地浸水解消のため、河川事業と連携した下水道整備の促進。
○増大する水害リスクへの対応には、合理的な土地利用が有効。
3 対応策
(1)流域関係者による協議会
・河川・農地・下水道等の関係部局(国、県、市)、
・学識経験者、地域関係者(自治会、自主防災組織等)
1.浸水シミュレーションに基づく、集落に応じた避難誘導体制確立 (浸水到達時間内での避難場所への的確な誘導を検討)
2.ハザードマップ、雨量、河川水位情報を活用した避難行動検討
3.治水効果の発現に向け、ハード整備のアクションプログラム策定
(2)ソフト整備:迅速・的確な避難体制を確立するための支援
1.浸水シミュレーション:流域内の時間的な浸水の分布を把握
2.洪水監視システム:支川を含めた雨量水位情報配信システム整備
3.各集落内に浸水規模・避難標識設置:浸水時の迅速な避難支援
(3)ハード整備:河川事業(1/50規模)と他事業連携
1.下水道事業(1/7規模計画)の連携による市街地(的場・宮長)の浸水被害を解消
2.農業施設(ため池等)の連携による水害リスクへの対策を検討
4 関係者協働の推進手順
【1年目:平成23年度】
○協議会の設立
○ハード整備の連携によるアクションプログラムを策定
○浸水シミュレーションによる各集落の浸水の時間的分布把握
【2年目:平成24年度】
○避難場所、避難誘導等の検討(浸水シミュレーションによる)
○洪水監視システムの整備
○アクションプログラムのフォローアップ
【3年目:平成25年度】
○洪水監視システム、避難誘導標識を活用した避難訓練
○アクションプログラムのフォローアップ
【4年目:平成26年度】
○浸水深表示標識の作成
5 要求額
●要求額 2,000千円
需用費 2,000千円
浸水深表示標識の作成