1.事業目的
災害発生時には局を挙げて対応することが原則であるが、大規模な災害になると、どの分野でも災害調査などで人手が必要となる。また、コンサルタントへの委託においても業務の集中などにより早急な対応が困難となる。
このため、林業職員OB等を対象に『緑の防災ヘルパー』の登録を行い、災害復旧計画書の作成等に係る業務協力を一定期間得ることにより、短期間に集中する業務の分散を図る。
2.現状
山地災害発生時においては、被害状況の早期把握、応急工事を含めた復旧対策の早期立案が重要となる。平成19年度においては八頭、若桜、琴浦町で局所的集中豪雨により県下で甚大な被害が発生したところであるが、極度の業務集中により担当職員に過度の負担が強いられたところである。
特に災害関連緊急治山事業の採択は災害発生から20日以内に計画書を提出することが義務付けられており、事前の測量・設計、写真撮影など、卓越した技術と経験が必要となる。
3.コストと時間の縮減効果
災害現地調査・写真撮影は、作業効率や災害発生直後の安全確保の観点から、2名以上の班編成で行う。
現在の人員配置では2班編成が困難であり作業効率が著しく悪い。
現地調査、写真撮影をヘルパーの指導により担当技師との2名編成で行うことで、災害調査の効率が上がり、写真整理や図面作成等の業務が時間内に行われ、早期に計画書が作成される。
◆ 復旧計画書の早期作成が可能となる。
◆ 山地災害の早期発見が効率的に行われる。
◆ 職員の時間外縮減が図られ、過度の負担が軽減される。
4.費用
◆算出根拠◆
緑の防災ヘルパー登録者に対し甚大な災害発生時において、業務協力要請を行い、実稼働は延べ3人(東・中・西部で各1名)として必要な報酬等を算出する。
1.報酬等
報酬:9,510円/日×16日=152,160円
152,160円×3人=456,480円≒457,000円
2.共済費
労災保険料:152,160円×2.52/1000=384円
384円/人×3人=1,152円≒2,000円
区分 | 要求額 |
報酬 | 457,000円 |
共済費 | 2,000円 |
計 | 459,000円 |
5.その他
「鳥取県の将来ビジョン」での位置づけ
◆林業職員OB等との業務協力協定は、仕事を退職して地域に戻った方の知識や技能を生かして活躍できる環境の整備にもつながる。
(「鳥取県の将来ビジョン」第2項【つながる】の(2)「真の協働連携社会」に関連)
◆林業職員OB等と連携をとりながら情報を得て行う被害状況の早期把握と復旧立案は、見落とされがちな奥地災害の早期発見にもつながり、ソフト施策と組み合わせて実施することで、災害発生の未然防止にもつながる。
(「鳥取県の将来ビジョン」第3項【守る】の(3)「災害に強い県土をつくる」に関連)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
山地災害は広大な森林が対象となり、一般からの情報も得られにくいなどの特徴があり、被害状況の早期把握、応急工事を含めた復旧対策の早期立案が重要となる。
本事業は平成21年度に着手し、林業職員OB8名の協力を得て、緑の防災ヘルパーの登録を行った(現在は11名)。
平成25年度は7月15日発生の豪雨災害に伴う災害復旧計画書の作成等に当たり、緑の防災ヘルパーを1名雇用した。
これまでの取組に対する評価
近年発生の度合いが高い局地的かつ大規模な山地災害への初動体制についての充実が図られつつあり、山間奥地災害の早期発見につながる情報提供等も期待されている。