1 査定内容
天然ハマチ加工開発試験 要求額2,215千円 査定額0
ハマチの加工は6次化等既存の補助制度を活用して取り組むこと。調整で再要求するのであれば事業者主体のスキームで検討すること。
2 調整内容
水産試験場はハマチの鮮度保持技術開発、脂質含有量測定分析のみ実施し、加工は漁業者が主体となって行う。
3 背景
ハマチは日本海全域で漁獲量が増加しているため、10年前に比べて価格が低下しており、大量に獲っても鮮魚出荷では儲けが出ないため、漁業者は加工販売に活路を見いだした。
【消費者ニーズ】
・天然ハマチより脂の乗りが良く品質が安定している養殖ハマチの人気が高まっている。
・一般家庭では料理の手間がいらず、ゴミも出ない加工品が好まれる。
【漁業者による加工販売の現状】
・サワラ西京漬、冷凍生シラス等、水産試験場及の協力により漁業者による加工の取組が加速している。
・ハマチは丸魚で出荷されており、漁業者による加工の取組はされていない。
【ハマチの漁獲状況】
・2012年の漁獲量は375トンと沿岸漁業で最も多く漁獲されており、沿岸漁業の看板魚種であるが、2000年代以降の豊漁による単価の下落と、燃油高騰の影響で、出漁しても利益が出ないためハマチ漁家経営が困難な状況にある。
4 事業目的
漁業者が新鮮で美味しい原魚を加工することで、消費者が求める魅力ある加工品の試作が可能となり、既存の大量生産された加工品に打ち勝つことが可能である。
本事業では加工原魚を確保するために必要な、鮮度保持や脂質測定等の付加価値向上試験を行う。
漁業者は原魚の特性を活かして鳥取産天然ハマチの加工品の販売が可能となり、消費者ニーズに対応した加工品が供給できるようになるため、ハマチ漁業の出漁機会が増えハマチの生産量、生産額が飛躍的に増加する。
5 事業概要
天然ハマチの旬・脂の乗りの測定
各季節に鳥取沿岸で漁獲されるハマチの鮮度保持技術の開発及び脂質の変化を調べる(近赤外分光脂質測定器での測定ソフトを作成)。
加工品の試作は、ハマチの水揚が最も多い御来屋支所において漁業者又は漁協職員が行い、水産試験場および産業技術センターが助言する。御来屋支所をモデルケースとして捉え、収益性が確保できる場合は鳥取県漁協直営加工場の整備を検討する。
6 事業期間
平成26年度
7 効果
・消費ニーズに対応した出荷体制の確立(強い産地づくり)
・漁業者の漁獲金額アップ
・新たな県産魚加工品ブランドの創出
8 所要経費
人件費 | 125千円 |
非常勤職員(職類型カテゴリA) | 15人日 |
共済費 | 3千円 |
委託料(脂質含有量分析) | 415千円 |
標準事務費(枠内) | 142千円 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
・鮮度保持技術開発
シャーベットアイスによる漁獲物の急速冷却、マグロのヤケ防止対策、サワラの活締め、イカやエビの活魚出荷
・付加価値向上試験
ハタハタ等の脂の乗り、美味しさの素となる遊離アミノ酸組成の分析
・漁業者による加工への助言
御来屋のサワラ西京漬、境港の冷凍生シラス等、漁業者と水試の協力による加工品開発の取組が加速しており、これらの事業は軌道に乗り始めている。
これまでの取組に対する評価
水試は原魚を漁獲する時点からその品質維持及び付加価値向上のためのノウハウを蓄積しており、ハマチにおいても応用可能である。
鳥取県産魚のブランド化の推進には科学的調査による裏付けが必要不可欠であり、業界からのニーズが非常に高い。