1 事業概要
大規模地震や特別警報など重大な大雨等風水害の発生に対し、迅速・的確な減災対応を図るため、情報連絡員を市町村庁舎へ派遣した際の通話連絡及び情報通信手段の確保に要する衛星携帯電話について、全市町村の情報連絡員に配備できるよう追加整備を行う。
2 事業内容
被災した全市町村に情報連絡員を派遣した際の確実な通信連絡・情報通信手段を確保するための衛星携帯電話等の不足分を追加して整備する。
(1)衛星携帯電話の整備
各総合事務所に照会した結果、1台が不足しているとの回答が得られたため、情報連絡員の携帯用として衛星携帯電話1団体分を整備する。1台
(2)携帯発電機の整備
停電時等に衛星携帯電話等を使用するため、情報連絡員の携帯用として不足する携帯発電機10市町分を整備する。10台(10市町)
<配置先内訳>
| 衛星携帯電話 | 携帯発電機 |
東部振興監 | 0 | 3 |
中部総合事務所 | 1 | 2 |
西部総合事務所 | 0 | 2 |
日野振興センター | 0 | 3 |
計 | 1 | 10 |
3 目的
○情報連絡員は、以下の災害時等において、県と市町村との円滑な情報共有を図り、相互の調整・連携や現場の状況を踏まえた災害復旧活動を推進するため、市町村の被災状況・対応状況や県への要望事項等を収集し、県へ伝達するとともに、市町村からの求めに応じて県の対応状況や今後の対応等の情報提供を行うこととしている。
〔情報連絡員の派遣事案〕
・特別警報の発表
・土砂災害警戒情報や記録的短時間大雨情報の発表
・震度5弱以上の発表
・津波注意報・警報の発表
・台風の暴風域が本県を通過することが見込まれるとき
・指定河川洪水予報「洪水警報」が発表されたとき
○平成23年9月の台風第12号の際に情報連絡員が12市町村へ派遣された状況や、今年8月31日に創設された特別警報の発表状況、情報連絡員の派遣事案及び別記4の業務継続計画における業務資源(リソース)の被害想定を踏まえると、すべての総合事務所から管内市町村に情報連絡員を派遣する事態が想定される。
○固定電話や携帯電話が不通となり、被災市町村から被害情報が入らない災害発生後の3日間、情報収集、情報共有、支援策の検討などを行うためには、衛星携帯電話及び携帯発電機により、情報連絡員が現地で県庁や総合事務所と音声通話を行う手段、災害情報システム及び庁内LANノーツに接続する環境(衛星系を加えた複数ルート化)を確保する必要がある。
○このことから、情報連絡員が災害発生時に全市町村に派遣される場合を想定して、電話連絡手段に衛星系インターネット接続環境及び災害情報システムへのアクセスを確保し、迅速かつ的確な情報伝達共有を図るため、情報連絡員が、衛星携帯電話(1団体分)及び携帯発電機(10市町分)を携帯できるよう、整備を行う必要がある。
○「平成25年7月から8月にかけて発生した局所的な集中豪雨に係る対応の検証結果」として、各総合事務所、市町村から、「情報連絡員が災害時に迅速に市町村において活動を行うためには、現在は自宅から直接役場へ行くことができず総合事務所に保管してある機材を持参することは非効率」との意見が出されたため、情報連絡員用の衛星携帯電話、携帯発電機を各市町村に保管する方向性を危機管理局内で整理した。
4 背景
○東日本大震災を教訓に、市町村庁舎が津波で倒壊、防災拠点が失われ、県と市町村の間の情報伝達手段が確保できなくなる事態を想定し、平成23年度に沿岸9市町村分の衛星携帯電話を整備し、さらに平成24年度に八頭、日野管内分として2町分の衛星携帯電話を整備した。
○鳥取県版業務継続計画策定推進に関する基本指針では、東日本大震災において課題となった想定を上回る被害を踏まえた業務継続計画(BCP)の構築に当たり、災害(危機)による被害については、業務資源(リソース)に着目して検討し、ライフライン等の停止期間については、県内のすべての地域において同様の被災をしているという厳しい条件となっている。
<業務継続計画上の固定電話・携帯電話に係る被害想定>
発災から3日目までほぼ不通状態が続き、その後、順次回復するものの、通信インフラが復旧により、通話がほぼ回復するまで50日間を要する。
○「台風第12号に関する米子市との検証会議(平成23年11月10日)」において、「情報連絡員が情報共有を図るための情報ツールの確保(衛星携帯電話等)が必要」との指摘を受けている。
○今年度は全国的に風水害が多く発生し、気象庁が新たに創設した(平成25年8月30日)特別警報に相当する大雨が3回あり、同時期に大地震のみならず、台風等風水害により全市町村で大規模災害が発生することを想定し、適切な初動対応のための情報通信手段を各市町村役場に備えておく必要がある。
〔衛星携帯電話等整備の考え方〕
○大規模地震や特別警報など重大な大雨等風水害の発生により、全市町村において、通常の携帯電話や防災行政無線は、中継局の設備破損や停電時には不通となることを想定し、通信衛星を利用し、災害時においても高い信頼性が確保できる衛星携帯電話について、全市町村で情報連絡員派遣時に備えて、不足分について新たに整備しようとするものである。
〔情報連絡員用の整備状況〕
鳥取県 | 衛星携帯電話 | 携帯発電機 |
配備
必要数 | 既配備台数 | 配備不足数 | 配備
必要数 | 既配備台数 | 配備不足数 |
東部振興監 | 鳥取市 | 5 | 5 | 0 | 5 | 2 | 3 |
岩美町 |
若桜町 |
智頭町 |
八頭町 |
中部総合事務所 | 倉吉市 | 5 | 4 | 1 | 5 | 3 | 2 |
三朝町 |
湯梨浜町 |
琴浦町 |
北栄町 |
西部総合事務所 | 米子市 | 6 | 6 | 0 | 6 | 4 | 2 |
境港市 |
日吉津村 |
大山町 |
南部町 |
伯耆町 |
西部総合事務所日野振興センター | 日南町 | 3 | 3 | 0 | 3 | 0 | 3 |
日野町 |
江府町 |
計 | | 19 | 18 | 1 | 19 | 9 | 10 |
5 効果
○全市町村派遣時に対応して、衛星携帯電話を整備し、衛星携帯電話を活用することで、情報連絡員等からの電話連絡や災害情報システムへの入力等により、災害対策本部においてリアルタイムで市町村の被災状況を把握し、迅速・的確な災害対応につなげる。
・停電等電源不足時においても、電池切れを懸念することなく、衛星携帯電話等を使用した活動を行うことができる。
6必要経費
(1)衛星携帯電話 354,000円
・電話:294,000円×1台=294,000円
・基本料金:5千円/月×12ヶ月×1台=60,000円(枠外)
(2)発電機 176,715円×10台=1,767,150円
(3)合計 2,122千円
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
県庁、総合事務所、市町村及び消防局等の間は衛星系防災行政無線、地上系情報ハイウェイ・防災行政無線の複数ルート化や大規模災害時に市町村等へ派遣する県職員(情報連絡員)の携帯用として衛星携帯電話や携帯発電機を整備してきたところである。
これまでの取組に対する評価
これまで整備してきた防災行政無線等は、大規模地震や大津波、風水害等で固定式の施設が破壊された場合は、電話連絡情報通信手段として活用できなくなり、災害対策本部と市町村との情報伝達手段が確保できない事態となる可能性が高い。これらの場合の通信手段を確保するため、情報連絡員が全市町村へ派遣時に、衛星系の電話連絡、インターネット接続環境(複数ルート可)を確保する。