現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成26年度予算 の 生活環境部の湖山池の環境変化に伴う生物多様性・生態系評価及び自然再生方法の検討
平成26年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:衛生費 項:公衆衛生費 目:衛生環境研究所費
事業名:

湖山池の環境変化に伴う生物多様性・生態系評価及び自然再生方法の検討

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生活環境部 衛生環境研究所 水環境対策チーム  

電話番号:0858-35-5417  E-mail:eiseikenkyu@pref.tottori.jp
  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
26年度当初予算要求額 5,403千円 20,121千円 25,524千円 2.6人 0.0人 0.0人
25年度当初予算額 2,842千円 16,682千円 19,524千円 2.1人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:5,403千円  (前年度予算額 2,842千円)  財源:単県 

事業内容

1 概要

再汽水化に取り組んでいる湖山池では、湖内の塩分上昇に伴って、生物多様性や生態系に変化が生じ始めている。この変化を監視するとともに、これらの変遷過程を捉えて評価する。

    併せて、かつて生息していた淡水動植物(水生植物、カラスガイ)の保全に向けた自然再生方法の検討を行う。
    これらを通して、今後の湖沼管理に関する施策の一助とする。

2 事業の背景・必要性

○かつての湖山池は、唯一の流出河川である湖山川が千代川河口を通じて日本海へと繋がる汽水湖であった。


○昭和58年、千代川河口付け替え事業によって日本海と直通となるが、従来から湖水が農業利用されていたため、湖山川の水門管理によって低塩分で維持された。

○水質汚濁により環境基準は一度も達成されておらず、近年ではアオコ発生に加えて、カビ臭発生、ヒシの大量繁茂、漁業不振等の問題が顕在化した。

○これらの問題を解決するため、住民意見や湖山池会議等での議論を踏まえ、平成24年3月から水門開放により水の交換を高めて、汽水湖として再生することとなる。

○水門開放して高塩分化管理する状態は、湖山池のかつての状態とは異なり、生物多様性や生態系が大きく変化することが予想され、現在過渡期にあると考えられる。

○事前にシミュレーションが行われているが万能ではなく、実際の状況や事象を監視・評価し、適切に対応していく必要がある。

今年5月に策定された「湖山池将来ビジョン推進計画( 第3期 湖山池水質管理計画 )」では、残された淡水性の動植物の保護・保全に取り組むよう明記される。

○淡水動植物(カラスガイ等)の衰退が確認された。

県民並びに日本生態学会中国四国地区会、鳥取県生物学会等より希少野生動植物(カラスガイ含む)の保全に関する意見・緊急要請・要望書が提出され、県として淡水動植物の保全に取り組みを始めたところ。

○湖沼の自然再生に向けて、在来の水生動植物を活用することは重要な手法となるが、必要な知見や情報が不足している。

3 効果

○水質等の監視結果を随時行政機関や関係機関に提供することで、その時々の事象・状況に対して必要な対応を行うための判断材料となる。


○水門開放による湖内環境への影響を見極め、生物多様性・生態系が目指す姿に近づいているのか評価・検証することができる。

○国立環境研究所等との共同研究を通じ、全国の湖沼の生物多様性・生態系の最新の状況や事例と比較しながら評価することで、湖山池の置かれている状況を客観的に判断できる。 

○淡水動植物の復元手法の確立は、湖山池を始めとする県内湖沼の自然再生の有効な手法の1つとなる。

4 事業費内訳

単位(千円)
内訳
内容
要求額
備品購入費水温・溶存酸素ロガー購入費 2,063
普通旅費情報収集・協議のための旅費等   330
需用費調査や実験に用いる資材・消耗品、分析試薬等   970 
役務費ANAデスク    60
使用料・賃借料調査船の傭船料 1,980
合計 5,403

5 事業内容

現地モニタリング、調査等から、湖山池の生物多様性・生態系評価手法を検討し、再汽水化による湖山池の生物多様性や生態系の変遷を評価する。併せて、湖山池流域内における淡水動植物の保全に取り組む。この内、カラスガイの再生産手法に関して、平成26年度より新たに取り組む。
単位(千円)
区分
事業内容
事業費
24年度
○水質モニタリング(DO、塩分度)
○ヒシの生育変化の状況把握
○有機物循環の把握
○水質、底泥、生物等の関連情報整理
○生物多様性・生態系の情報整理
3,155
25年度
○水質モニタリング(DO、塩分等)
○水質、底泥、生物等の関連情報整理
○生物多様性・生態系評価手法の検討
○底泥柱状試料からの古環境の復元
○シードバンク発芽試験
○長期生物モニタリング
2,842
26年度
○水質モニタリング(DO、塩分等)
○水質、底泥、生物等の関連情報整理
○底泥柱状試料からの古環境の復元
○生物多様性・生態系評価手法の検討
○カラスガイ再生産技術の確立
○シードバンク発芽試験
○長期生物モニタリング
5,403
27年度
○水質モニタリング(DO、塩分等)
○生物多様性・生態系情報整理、評価
○自然再生手法検討
○長期生物モニタリング
2,500

    ※シードバンク:湖底の底質中に埋没した種子集団。ある場所から絶滅した場合でも、底質中にはシードバンクとして個体群が生存している可能性がある。

6 共同研究機関

国立環境研究所、東邦大学、島根大学、国内の湖沼がある他自治体の地方環境研究所、鳥取県栽培漁業センターと共同研究を実施中。

「生物多様性・生態系評価手法」を国立環境研究所、及び他の地方自治体環境研究所との共同研究で検討し、評価の際に用いる。


これまでの取組と成果

これまでの取組状況


■水質等モニタリング
水門開放により湖内の塩分が上昇し、それに伴い湖内環境の変化が生じた。
(1)植物プランクトンの種組成の変化
○藍藻類によるアオコの発生、カビ臭プランクトンの消滅
○赤潮の発生(珪藻、渦鞭毛藻、クリプト藻等)

(2)浅場環境の変化
○ヒシの衰退及びそれに伴って浅場の貧酸素化が解消

(3)深場環境の変化
○海水流入により強固な塩分躍層が形成
○塩分躍層以深で貧酸素化が長期化

(4)淡水動植物の衰退
○カラスガイ、ヒメガマ、ハス等の衰退

■淡水動植物の保全に向けての情報収集
○湖内で死滅したカラスガイを含めたイシガイ類の生息情報の取得
上流ため池での生息を確認し、流域全体で保全していく重要性を示した
○シードバンクによる淡水植物の復元の可能性を模索中

これまでの取組に対する評価


■得られたデータや知見を以下のとおり公表・発表。関係者を含む多くの方々に周知し、施策判断の一助となった。
・水質データ等の湖山池掲示板(庁内DB)での公表(随時)
・分野別研究会(平成22年12月、24年3月、25年1月)
・鳥取県公衆衛生学会(平成23年7月、平成24年7月)
・常任委員会資料
・湖山池会議
・湖山池チーム長会議
・湖山池環境モニタリング委員会
・衛生環境研究所所報(平成23年度版)
・島根大学第19回汽水域合同研究発表会(平成24年1月)
・湖山池将来ビジョン推進委員会(平成25年3月、7月)

工程表との関連

関連する政策内容

環境の保全・再生と活用に関する調査研究

関連する政策目標

湖沼の水質浄化や環境の保全・再生に関する研究の実施





要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 2,842 0 0 0 0 0 0 0 2,842
要求額 5,403 0 0 0 0 0 0 0 5,403