1 事業概要
乳用牛等を活用した和牛受精卵移植を推進して、輸入牛肉の影響を受けにくい和牛の増頭を図り、酪農及び肉用牛農家の経営を強化することを目的とし、和牛受精卵移植に新規又は増頭に取り組む農家を支援するとともに、受精卵移植の円滑な推進を行うため、関係機関が一体となって酪農家と和牛農家のマッチングする仕組みを構築する。
2 事業の背景
EPA、TPPの進展により牛肉、乳製品の関税削減が危ぶまれるなか、それらに対応できるのは輸入牛肉の影響が受けにくいと考えられる品質の高い和牛肉であり、県として和牛の生産頭数の増加を図る必要がある。
和牛受精卵移植技術は乳用種、交雑種から和子牛を直接生産する技術であるが、受精卵移植に取り組んでいる酪農家戸数はH25年44戸(全体の26.8%)であり、和牛受精卵移植産子数は乳用牛から生まれる子牛の生産頭数5,465頭(H25)に対し169頭(3%)にとどまっている。
和牛受精卵移植で交雑種より高く取引される和子牛を生産することは、酪農家の副産物(子牛販売)収入を確保できる有効な手段であり、人工授精による交雑種生産を受精卵移植による和牛生産にシフトすることが急がれる。
しかし、受精卵移植の受胎率は50%程度であり、受胎しなかった時のリスク(次回発情までの飼養管理費の増加)や、生まれた和子牛の引き取り農家の確保が隘路となっている。
3 事業内容
【和牛受精卵移植チャレンジ対策】(新規)
和牛受精卵移植数の大幅増加及び酪農家の副産物収入の増加を目的とし、和牛受精卵移植に新規又は前年度実績より多く取り組んだ生産者に不受胎に伴う管理費増加のリスクに見合った奨励金を交付する。
あわせて、和牛受精卵移植に取り組む酪農家を支援するために大山乳業、各農協及び県が一体となり、取引情報の一元化・技術指導・酪農家と和牛農家のマッチングを行うシステムを構築する。
移植奨励金 | 20千円/移植 |
事業実施主体 | 農業団体、生産者 |
事業対象 | 延べ500移植 |
4 調整要求額
調整要求額 10,000千円
20千円×500移植=10,000千円
5 事業期間
平成26年〜28年度(3年間)
6 6月補正要求 関連事業
【畜産基盤強化緊急対策事業】 要求額 5,754千円
日豪EPAやTPPの影響による国内の畜産物受給変化に対応するため、生産基盤強化及び県内畜産物のブランド力の強化を図る。
(1)「鳥取和牛オレイン55」増産対策事業 1,500千円
「鳥取和牛オレイン55」の増産を図るため、県内肥育農家が肥育素牛を購入する経費助成の上乗せする。(40千円/頭→55千円/頭)
(2)乳用種肥育飼料用米給与実証 1,800千円
輸入飼料割合を下げ自給飼料率を高めるために、飼料用米の利用促進を図ることを目的に、乳用種肥育に対する飼料用米利用試験を実施する。
(3)県産牛肉普及定着化 2,454千円
小学校の給食等を活用した食育として、食肉に関する基本的な知識、鳥取県の牛肉生産状況を紹介し、日常から県産牛肉と輸入牛肉を意識することにより、県産牛肉への愛着・認知度を高める。