1 事業概要
豚の平均粗収益が大きく低下し、所得が減少した場合に交付される補てん金のための基金に拠出する生産者積立金の一部を助成する。
2 背景・目的・効果
(1)背景
ア 肉豚価格は、豚肉の生産量の季節変動や、輸入豚肉等の影響による価格変動が大きく、安定経営の阻害要因となっている。
イ 近年の飼料費高騰により、生産費に占める飼料費の割合が大きい肉豚経営では生産コストが増大し、肉豚価格の低迷時には生産コストを回収できず、再生産に悪影響を及ぼしている。
ウ これらのリスクに備えるため、独立行政法人農畜産業振興機構が算定する平均粗収益が、平均生産コストを下回った際に価格差の8割を補填する制度が平成22年度に国(独立行政法人農畜産業振興機構)により作られた(補てん金の算出方法は平成25年度に改正)。
(2)目的
補填金の財源となる基金へ納付する生産者負担金へ県が助成することにより生産者の負担を軽減し、肉豚の再生産による経営の継続と養豚経営の安定化を目的とする。
(3)効果
価格変動の大きい経営リスクを緩和することで肉豚の再生産を可能とし、と畜・加工等も含めた産業の維持、発展が期待できる。
3 事業実施主体
独立行政法人農畜産業振興機構
4 事業実施期間
平成23年度〜平成28年度
5 事業内容
<補填金の概要>
(1)基金
国(独立行政法人農畜産業振興機構)の価格差補填事業(養豚経営安定対策事業)に関する、基金造成の生産者負担金のうち1/3を助成する。
(2)補填金の交付
平均粗収益(全国28市場の「並」以上)が平均生産コストを下回った場合に、差額の8割を補填する。
6 要求額
1頭当たり積立金額×肉豚出荷頭数
=166円/頭×113,000頭
=18,758千円
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
○平成19年度から21年度まで、肉豚価格が大きく低落した場合のセーフティネットとして、生産費を基にした基準を設け、肉豚の再生産が可能となる補填金を交付する内容で事業を進めてきた。
○平成20年11月補正で、飼料費高騰に伴う生産費の増加に対応するために、補填金の発動基準を見直した。(380円/kg→450円/kg)
○国の価格差補てん事業では、生産費の増加に伴い、発動基準を随時見直し、平成21年4月からは490円/kgとしたが、補填金の上限が35円/kgであり、県の事業はこれを補完する役目もあった。
○平成21年度6月補正で、国の価格差補てん事業の拡充(肉豚価格が、生産コストに相当する保証基準価格460円/kgを下回ったら差額の8割を補てん)により、県事業との補てん金に重複する部分が出てくるため、補填金の交付を取りやめることとしたが、依然として生産費は高く、肉豚価格の低迷も続いていることから、生産者の負担を軽減するために、国の価格差補てん事業の基金へ拠出する生産者積立金へ助成する内容に改正した。
○平成25年度より、肉豚価格と保証基準価格の差額の8割を補てんする方式から、平均粗収益と生産コストの差額の8割を補てんする方法に改正された。生産現場の実情に即した算出方法となり、生産者の経営安定に寄与することとなった。
これまでの取組に対する評価
○飼料費の高止まりにより、肉豚生産者にとっては、肉豚の再生産が困難な状況が続いている。
○平成19年度からの単県事業の発動状況
20年度第3四半期 25千頭、補填額20,048千円
20年度第4四半期 24千頭 補填額30,570千円
21年度第1四半期 24千頭 補填額19,842千円
21年度第2四半期 24千頭 補填額15,803千円
21年度第3四半期 27千頭 補填額59,284千円
21年度第4四半期 26千頭 補填額39,639千円
○国の価格差補填事業は平成20年10月から平成22年2月まで連続発動し、当初の保険設計を上回る価格の低迷により基金が枯渇し、平成22年3月の補填金は交付することができなかった。平成24年度は1年を通じて補てん金が支払われる状況で、肉豚の再生産は依然として厳しい状態である。