現在の位置: 予算編成過程の公開 の 平成27年度予算 の 農林水産部のEOD技術による特産園芸産物の革新的な生産技術実証
平成27年度
当初予算 一般事業(公共事業以外)  一般事業要求      支出科目  款:農林水産業費 項:農業費 目:園芸試験場費
事業名:

EOD技術による特産園芸産物の革新的な生産技術実証

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農林水産部 園芸試験場 花き研究室  

電話番号:0858-37-4211  E-mail:engeishiken@pref.tottori.jp

  事業費(A) 人件費(B) トータルコスト
(A+B)
正職員 非常勤職員 臨時的任用職員
27年度当初予算額 2,120千円 7,765千円 9,885千円 1.0人 1.1人 0.0人
27年度当初予算要求額 2,120千円 7,765千円 9,885千円 1.0人 1.1人 0.0人
26年度当初予算額 0千円 0千円 0千円 0.0人 0.0人 0.0人

事業費

要求額:2,120千円  (前年度予算額 0千円)  財源:国10/10 

一般事業査定:計上   計上額:2,120千円

事業内容

概略説明

平成26年4月より、(独法)農研機構が委託したプロジェクト「攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(課題名:EOD技術注1による特産園芸産物の革新的な生産技術実証)に参画している。本事業では、鳥取大学など県内関係機関が連携して、これまで開発したEOD栽培の技術精度を高め、トルコギキョウやストック以外の品目でも応用できるよう技術の汎用性を高める。これらの成果により、低日照地域における秋〜春に栽培する品目の生産コストを削減し、農業所得向上を実現する。
注1:EOD(=End of day):日没後短時間のこと。日没後数時間は植物の活性が高まり、温度や光への感受性が強くなる。これまでの試験から、トルコギキョウなど一部の品目では、この時間帯に集中して温度を高めたり(EOD加温)、遠赤色光照射(EOD光照射)を行うと生育が旺盛になることが明らかになった。

1.事業の必要性

 本県では、全国に先駆けたEOD試験により、トルコギキョウの年末・早春出荷で燃料費を3割削減しながら生育が促進することなどを明らかにしてきた。これらは省エネ栽培技術として注目され、農水省より「農業新技術2013」(早急に生産現場へ普及すべき重要な技術)に選定された。現在、トルコギキョウ以外の花き類でも、EOD反応の高い品目があることを明らかにしつつある。
 ところがこの技術は、以下の問題点により、十分な普及に至っていないのが現状である。
    (1)EOD効果を高める生理的メカニズムが不明
    (2)EOD加温に効果的な日中の温度が不明
    (3)生産現場で利用しやすい遠赤色(FR)光源が無い
    (4)EOD技術の新規導入者に対する技術フォローが出来ない 
    (5)野菜・果樹などその他品目に対する効果が不明。

    これらの課題解決が、EOD技術普及に繋がると考えられることから、以下の機関が連携して課題解決にあたることで、技術普及の拡大が期待できる。

    鳥取大学(EOD処理による作用機構の解明など)
    園芸試験場(EOD処理法の改良など)
    (株)フジ電機(安価で効果的なLED(遠赤色:FR)光源の開発)
    とっとり農業戦略課研究・普及推進室(技術実証、マニュアル作成などによる技術の普及)

2.事業の内容

(1)委託元
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
(2)委託プロジェクト名
攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立)
(3)課題名
EOD技術による特産園芸産物の革新的な生産技術実証
(4)参画機関
(代表機関)
 国立大学法人鳥取大学農学部
(共同研究機関)
 園芸試験場
 農業振興戦略監とっとり農業戦略課研究・普及推進室
 株式会社フジ電機(岩美町)
(5)研究期間
 平成26〜27年度(2カ年)
(6)事業全体の研究内容
 園芸産物の国際競争力強化のため、本県で冬春期に栽培される主要な園芸品目(トルコギキョウ、ストック、イチゴ等)に、EOD技術を適応実証するとともに、EOD加温やEOD光照射の技術精度を高めて経営試算し、技術マニュアルを作成する。これにより、冬季低日照条件における園芸品目の生産コスト削減と、気象の影響を受けにくい安定生産技術確立を目指す。
(7)園芸試験場の担当業務
・EOD効果を高める日中の温度管理法の解明
・EOD処理で省エネ効果の高い花き60品目等の検索
・試作照明の効果的な設置法の検討

3.事業の効果

(1)適品目・・・EOD栽培が効果的な園芸品目が幅広く明らかになる。
(2)超低コスト管理・・・環境調節指標により、主要園芸品目の効果的な1日の温度管理法が明らかになり、トルコギキョウ、イチゴの燃料費を50%以上削減、ストックの栽培期間を20%以上短縮する。
(3)高付加価値化・・・EOD処理による機能性向上効果などが品目毎で明らかになり、有利販売に繋がる。
(4)LED(FR)開発・・・慣行LED(FR)に比べ生育促進などの効果が高く、単位面積当たりの光源コスト/寿命が白熱灯の約3割、既存LED(FR)の約6割以下で導入しやすい照明を商品化する。
(5)照明の利用法・・・品目毎に最も効果的なLED(FR)照明の設置シミュレーション・照射方法が明らかになる。
↓↓
新たなEOD栽培により、冬春作の農業所得を30%以上向上

4.これまでの成果

(1)トルコギキョウの春出し栽培は、EOD加温による省エネと、EOD光照射による栽培期間短縮効果により、無処理に比べ暖房コストを30%以上削減し、栽培期間を1ヶ月以上短縮できることが明らかになった。
(2)ストックはEOD光照射により開花が早まり、試作中のLED(FR)照明を用いると、白熱電球の1/2の設置灯数で開花促進効果を生じることが明らかになった。
(3)現在、花き60品目とイチゴを供試してEOD加温、EOD光照射、EOD加温+EOD光照射併用による反応性や、生育促進効果が最も高い処理の組み合わせを明らかにしている。
(4)さらに現在、EOD光照射で生育促進効果が高いトルコギキョウ、ストックに対する試作LED照明の波長や、効果が及ぶ範囲を調査中である。

5.H27年度の試験内容

(1)前年度の試験結果で明らかになった、EOD加温やEOD光照射に反応の高い品目については、EOD加温+EOD光照射の併用処理と単独処理等を比較して、その効果を明らかにする。
(2)前年度鳥取大学が行った「EOD処理による作用機構の解明」で明らかになった指標に基づいて、トルコギキョウ、イチゴのEOD効果を高める1日の温度管理法を明らかにし、トルコギキョウ、イチゴの燃料費を40%以上削減して、慣行と同等以上の品質となる栽培技術を確立する。
(3)広範囲に照射可能で、照射ムラが少ない試作LEDの設置高と設置間隔を明らかにし、様々なハウスを想定した設置(照射)シミュレーションを作成する。これらにより、トルコギキョウ、ストックの栽培期間を慣行栽培に比べて20%以上短縮する。

6.年度別事業費

当受託事業(H26〜27年度)は、県単事業「EOD反応を活用した花き類の鳥取型栽培技術の確立」Database '27年度当初一般事業(農林水産部)', View '0007地方機関\02園芸試験場', Document 'EOD反応を活用した花き類の鳥取型栽培技術の確立'と関連するため、重複する内容は 当受託事業で実施する。
                                      単位(千円)
区分
当初事業費
補正後
予算区分
県単
その他
合計
県単
その他
合計
26年度
2,882
2,882
762
2,120
2,882
27年度
 762
2,120
2,882
28年度
2,882
2,882

これまでの取組と成果

これまでの取組状況

・平成19〜21年度に実施された新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業「EOD反応を活用した花き類の効率的生産技術の開発」に参画し、この成果は農業新技術2013に選定された。このうちトルコギキョウに関する内容は、当試験場によるものである。
・その後、単県事業「EOD反応を活用した花き類の鳥取型栽培技術の確立」でストック、キク、花壇苗に対する効果と処理法を検討している。 イチゴに対しても、EOD栽培による低コスト効果を明らかにしつつあるところである。
・平成23〜24年度に実施した(財)鳥取県産業振興機構による受託事業「次世代環境産業創出プロジェクト事業」で、(株)フジ電機とLED(FR)照明器具を試作し、利用に関する検討を行ってきた。
・試作LED(FR)照明は、県内のストックやトルコギキョウの生産者を中心に、今年度だけで400灯近くの発注があり、生産者に販売された。現在専技や普及所、各農協などと協力して現地実証試験を行っている。 

これまでの取組に対する評価

・これまでの試験により、全国に先駆けて、日照条件の悪い本県でもトルコギキョウ等を効率良く生産できる可能性が明らかになった。今後は、他品目への応用や現場普及に足りないを部分を早急に整理し、データを積み上げる必要がある。
・当受託事業に関連し、現在遂行している 単県事業「EOD反応を活用した花き類の鳥取型栽培技術の確立」の外部評価は、以下のとおりである。
<H25年度の外部評価(中間)の結果>
   評点:12.8 判定:◎
  委員の主な意見
(1)新たな知見が得られていることから、一層の研究発展を期待する。
(2)まさに、研究所でしかできない素晴らしい研究成果。今後の3年間が楽しみ。
(3)LEDの地元メーカーとの協働研究成果と課題が明確になっている。また、結果を出す目処も明確である。
(4)加温と光照射のいいとこ取りで、大きな成果を上げるところに着目したことを評価したい。
(5)大きな成果を上げつつあり、期間延長の効果があると判断する。
(6)H25年終了項目の目標に対しても、期待以上の成果が上がっており、大いに評価できる。
(7)花生産者の所得向上に効果的と考える。

・平成21年度の実用技術開発事業終了後から、専技団と連携して普及に向けた取り組みを行っているが、技術導入に踏み切れない生産者が多い。これまでの知見を基に、普及に最も効果的な技術組み立てを行う必要がある。

財政課処理欄


要求額の財源内訳(単位:千円)

区分 事業費 財源内訳
国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
前年度予算 0 0 0 0 0 0 0 0 0
要求額 2,120 0 0 0 0 0 0 2,120 0

財政課使用欄(単位:千円)

区分 事業費 国庫支出金 使用料・手数料 寄附金 分担金・負担金 起債 財産収入 その他 一般財源
計上額 2,120 0 0 0 0 0 0 2,120 0
保留 0 0 0 0 0 0 0 0 0
別途 0 0 0 0 0 0 0 0 0