1事業の背景
○県内の水田はとりわけ中山間地域において畦畔の面積率が高く、水田面積の約10%を占めており全国平均(5.4%)、中国地方平均(9.4%)と比べて高い。
○そのため、中山間地域の水田では畦畔管理は多労を極めることから、担い手農家や集落営農の成立や経営拡大の隘路となっている。
○そこで、平成24年度から3年間農業機械を用いた簡易で効果的な復田技術の開発とあわせて、芝類による畦畔被覆技術の検討を行っており、センチピードグラスと冬芝の組合せによって有効に被覆できる可能性を見いだした。
○一方、労力を比較的かけない方法として、除草剤による現場事例もあるが、法面浸食、水稲への飛散等が課題となっている。
2事業の目的
畦畔管理の省力化技術を確立することにより、草刈り等に要する時間労力の格段な軽減が図られる。
3事業の内容
1)センチピードグラスと冬芝を用いた畦畔被覆技術の確立
・地域別に2種の芝類の播種方法、混播割合、養生方法について検討する。
・いったん優占した群落の永続性について調査する。
・さらに優れた芝品種について探索、検討する。
・畦畔管理のための畦畔内階段造成等動線確保を検討する。
2)除草剤を利用した除草作業の軽減
・除草剤の施用時期、量の検討。
・複数の薬剤を組み合わせて、有効な管理方法を確立する。
3)畦畔管理技術のマニュアルの充実
農業者のみならず地域や施工業者、ボランティア等誰でも取り組めるようマニュアルを拡充作成する。
4事業の効果
草刈り等の水田畦畔管理に要する時間労力が格段に軽減され、経営拡大や軽労化につながる。
5これまでの成果
冬芝が冬季に伸長する特長を持つため、畦畔を有利に被覆できることを見いだした。
6事業期間と年次計画
項目 | H27 | H28 |
センチピードグラスと冬芝を用いた畦畔被覆技術の確立 | ● | ● |
除草剤を利用した除草作業の軽減 | ● | ● |
畦畔管理技術のマニュアルの充実 | | ● |
7平成27年度要求額内訳
項目 | 金額(千円) |
畦畔管理に係る検討会への出張旅費 | 219 |
畦畔の試験にかかる資材費 | 439 |
現地試験(動線確保等)の重機等運搬費用 | 81 |
合計 | 739 |
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
「耕作放棄地解消に向けた復田化及び畦畔管理技術の確立(H24〜26年度)」の中で、畦畔管理技術については、夏芝(センチピードグラス)との併用による早期被覆に有利と思われる冬芝(ハードフェスク)の選定を行い、実用性の評価を行おうとしているところである。これまで夏芝の定着には2〜3年を要しており普及が進んでおらず、1年程度で被覆定着する技術により、早期に草刈り作業が削減できる技術を検討してきた。
これまでの取組に対する評価
本年度で終了する「耕作放棄地解消に向けた復田化及び畦畔管理技術の確立」のうちの「畦畔管理技術の確立」について、さらに2年間継続して技術確立を図ることとする新規事業計画を外部評価委員会で評価していただいた。