皆伐再造林による森林の若返り手法の研究を目的に、平成25年
度発足した「鳥取県人工林皆伐再造林研究会(以後「研究会」)」が
第一弾としてとりまとめた、皆伐で収益の上がる「短伐期低コスト林
業」を支援し、普及に移すとともに、シカによる食害等、皆伐再造林
が難しい地域での新たな施業手法の研究等を進める。
(1)背景
・戦後、高価で取引されてきた国産材は、世紀の変わり目にかけて
急落し、国際価格に収斂したため、伐採収入が低迷。
・一方で、人件費は高騰し、作業経費が増加した結果、皆伐による
収入では再造林、保育経費を捻出できない状況となったため、人
工林の施業放棄が発生。
・その後、森林荒廃と、公益的機能の低下への危惧から、公的支
援が充実され、搬出間伐で継続的な収入が得られる状況にまで収
支が改善してきている。
・こうした中、森林の施業は、間伐の繰り返しによる長伐期化が主
流となり、その結果、森林資源が50〜60年生に集中し、20年生
以下の若齢林が極端に減少。
・林齢構成が不均一な森林が増加して、持続した木材生産に基づ
く林業経営が難しくなり、同時に、若齢林の減少から、森林の持つ
二酸化炭素吸収能力も減退している現状。
(2)目的
・森林の若返りと林齢構成の平準化
・「研究会」の提案した収益の上がる「短伐期低コストモデル林」を
設置。同様な施業を行おうとする森林所有者に対して支援制度を
創設し普及する。
・森林所有者の経営形態に、よりマッチした「持続可能で多様な山
づくり」の手法を、「研究会」で検討し、引き続き提案。
(1)短伐期低コスト林業モデルの実践
・森林所有者が農山漁村地域整備交付金を活用して行う、機
械化した皆伐とコンテナ苗の低密度植栽の一貫作業を支援。
・平成27年度は日南町町有林、若桜町町有林等で現地実践し
てモデルとする。(事業面積:5ha)
(2)研究会による新たな研究
・他県の篤林家が取り組んできた保残木施業等、持続可能な
林業モデルについて研究を進めていく。
・新たな植栽樹種として期待されるカラマツ品種開発等のため
の種子採取、現地調査等の実施。
・残存木を支柱替わりに使用、柵の二重設置など、有効なシカ
食害対策について研究を進めていく。
(3)苗木生産体制整備
上記(1)で使用する優良品種を、通年で植栽可能なコンテナ苗
として安定供給する苗木生産者を支援。
(4)関連事業
(ア)低コスト林業の普及(別途要求 造林事業)
上記(1)を広く県内森林所有者に普及するための支援制度の
創設。