1 事業の内容
(1)有機・特別栽培農産物等総合支援対策
(単位:千円)
区分 | 内容 | 所要
経費 |
認証業務 | 1.有機農産物等認定業務 | ・産業技術センターへの業務委託(単価契約)
・認定業務者養成研修参加費
・判定分科会の開催(経費は10へ統合) | (521)
761 |
2.特別栽培農産物認証業務 | ・認証審査分科会の開催(経費は10へ統合) | (0)
0 |
技術の開発・普及 | 【廃止】野菜版有機実証モデル展示ほ | ・野菜類の有機実証モデル展示ほの設置
(技術データの収集・展示に係る設置謝金) | (280)
0 |
【新規】
3.有機・特栽優良事例集作成事業 | ・有機・特栽の栽培技術や販売に関する優良事例集を作成
(作成経費は平成28、30年度に要求) | (0)
0 |
4.有機・特栽推進塾の開催 | ・有機・特栽に取り組む生産者を対象に生産技術、流通販売に関する講座を開催
(座学、視察調査:年3回)
※資質向上、人的ネットワークの構築 | (310)
338 |
5.地域研究会の開催 | ・各地方事務所を単位とした環境保全型農業(有機、特栽、エコファーマー、GAP等)に関する視察研修、意見交換会の実施
(東・中・西各2回、生産振興課1回、計7回) | (650)
440 |
6.生産技術支援事業 | 【内容見直し】
・新たな取組を行う生産者に対する、有機的管理に使用する機器の導入補助
補助率:1/3以内(補助金上限300千円)
実施主体:新規有機・特栽認証申請者、有機・特栽認証者
・新たな取組に必要な研修会参加等に対する補助
補助率:1/2以内(補助金上限100千円)
実施主体:新規有機・特栽認証申請者、有機・特栽認証者 | |
栽培から販売までの一体的支援 | 【新規】
7.グループ活動支援事業 | ・生産者グループによる生産技術向上、販路開拓・確保の取組に対する補助
補助率:1/2以内(補助金上限500千円)
実施主体:有機・特別栽培農産物の生産から販売までの取組みを行うグループ | (0)
1,000 |
販路開拓・消費者連携 | 8.消費者交流・マッチング支援事業 | 【内容見直し】
・消費者交流や消費者ニーズの把握のため生産者が自ら市場調査を行う経費対する補助
事業実施主体:有機・特栽認証者
補助率:1/2以内(補助金上限100千円) | (500)
600 |
【新規】
9.有機・特栽推進サポーター事業 | ・有機・特栽農産物を取り扱う直売所等に対し、店側が自ら消費者に対して制度周知できるように支援。
(制度PR資材の提供、講習会開催)
※制度PR資材のデザイン・版下作成に係る経費のみ要求(実際に印刷・作成する経費は標準事務費対応) | (0)
150 |
事業評価 | 10.有機・特栽推進協議会の開催 | ・有機・特栽推進分科会の開催(有機・特栽推進に向けた事業施策への助言・評価、年2回程度)
・有機農産物等認定業務公平性分科会の開催(年1回)
・有機農産物等判定分科会の開催(年4回)
・特別栽培農産物認証審査分科会の開催(年4回) | (546)
516 |
合計 | (4,607)
4,605 |
注:所要経費の括弧内は前年度予算額
(2)推進指導対策
区分 | 内容 |
その他環境保全型農業に関する事項 | <エコファーマー>
・制度PR、連絡調整等
・環境保全型農業直接支援対策を活用した推進
<GAP(農業生産工程管理)>
・制度PR、連絡調整等による志向生産者の把握
・研修会を通じた導入への機運醸成 |
農業用廃プラスチック適正処理対策 | ・農業用使用済み廃プラスチックの適正処理に関する連絡調整 |
土壌保全対策 | ・地力増進法、農用地の土壌汚染防止等、土壌保全に関する連絡調整 |
※平成25年度より、本事業にかかる標準事務費は、生産振興推進事業の中で要求。
2 目的・背景・現状・課題
(1)目的
有機・特別栽培農産物生産の安定化と定着化を図るため、
1.生産者が取り組みやすい環境づくり
2.技術の開発・普及
3.消費者・生産者への制度PR
4.販路開拓・情報発信
の4つの推進目標を設定し、その達成に向けた施策を展開。
(2)背景
県は平成13年に特別栽培農産物の認証制度を創設、16年にJAS法に基づく有機農産物の登録認定機関となる。19年に国の有機農業推進法を受けて、「鳥取県有機・特別栽培農産物推進計画」を策定し、その中で今後の推進計画を明確化。20年度より有機・特栽の事業を一本化し、推進目標の達成に向けた一体的な施策を展開。23年度、推進計画を改定し、施策目標を「有機・特栽農産物栽培面積1,500ha(平成30年度)」に再設定。
また、25年度から、エコファーマー、GAP(農業生産工程管理)についても取り組みを推進。
(3)現状(平成26年3月現在)
県内特別栽培農産物栽培面積 1,288ha
県内有機農産物栽培面積 47ha
(有機JAS認定。県外機関による認定面積を含む)
(4)課題
・生産技術が体系化されておらず、販路開拓も生産者自ら行う必要があるため、新規取組者が増加しにくい。
・小規模生産者が取組みやすい反面、生産量(ロット)が小さいため販路開拓・確保が難しい。また県外出荷の場合は輸送費高騰の影響が大きい。
・認証制度や栽培管理の難しさが、消費者(特に県内)へ十分に伝わっていない。
・生産者ネットワークが動きだしており、自主的活動が円滑に進むよう、技術・販路等の情報提供を行う必要あり。
【27年度の重点項目】
・新規取組者に対する支援
・安定生産・販売体制確立のための組織化支援
・県内消費者に対する制度周知
3 事業実施期間
平成27〜30年度(4か年)
これまでの取組と成果
これまでの取組状況
<施策目標>
・有機・特別栽培農産物の栽培面積1,500ha(平成30年度末)
<取組状況>
・平成19年度の国の有機農業推進法制定を受けて、「鳥取県有機・特別栽培農産物推進計画」を作成し、本県における推進目標を明確化。
・20年度より本事業を創設し、目標達成に向けた有機・特別栽培農産物の一体的な施策を展開。
・有機・特栽栽培面積750ha(平成22年度末)の目標に対し、1,050haまで到達したため、平成23年度に推進計画を改定し、推進目標を有機・特栽栽培面積1,500ha(平成30年度末)に設定。
・23年度からエコファーマー、GAP(農業生産工程管理手法)等、他の環境保全型類似制度についても所管することになり、併せて取り組みを推進。
(生産者が取り組みやすい環境づくり)
・有機・特栽認証制度の活用促進(有機農産物等認定業務、鳥取県特別栽培農産物認証業務)
(技術の開発と普及)
・有機・特栽推進体制の整備(農業試験場有機・特栽研究室を情報の拠点とし、技術開発の体系化を推進)
・技術開発、課題検証:
有機実証モデル展示ほの設置、ハード整備に係る補助(有機・特栽生産技術支援事業)
・人的ネットワーク(生産者間、生産者実需者間)の構築、生産者育成(地域研究会、有機・特栽推進塾)
(消費者の理解の促進)
・生産者と消費者の交流:有機農業シンポジウムの開催(〜H23)、消費者交流・マッチング支援事業
・消費者PR:各種イベントでの展示PR、新聞及び広報による制度PR
(販路の開拓)
・生産者自らが行う市場調査、販路開拓、消費者交流に係る補助(消費者交流・マッチング支援事業)
・販路情報の発信:商談会等販路情報の提供、マッチング支援
・県内での販路開拓:県内JA等への働きかけを強化し、県内における販売場所の常設化を推進。
<現時点での達成度>
・平成26年3月現在、有機・特別栽培農産物の栽培面積は1,335haであり、堅調に推移してきた。
これまでの取組に対する評価
<自己分析>
○有機・特栽認証者を対象に、生産に必要な機器整備や市場調査等への補助を実施することで、認証件数及び面積の維持・拡大を進めてきた。また、平成23年度より、栽培技術の体系化が遅れている野菜分野について、モデル展示ほを設置(水稲の技術体系化は農業試験場で検討)。着実に効果を上げてきたが、目標達成に向けて更なる取組拡大につながる支援が必要。
○消費者の理解促進を目的とし、直売所における有機・特栽コーナー設置と、当該コーナーでの認証制度PRを支援。制度自体の認知度がまだまだ低いのが現状。
○販路開拓支援を目的とし、研修等の機会を通じて流通・販売業者と生産者とのマッチングを進めた結果、県外業者との取引を開始する生産者が増えた。生産者からは、県内での販売環境整備を望む声がある。
○人的ネットワークの構築を図ってきたが、特に有機栽培は地域・個々で農法に独自性があるため、面的に広がりにくい。平成26年3月、水稲を中心とした有機農産物等生産者が自ら「鳥取県有機農業推進ネットワーク」を設立された。情報提供等を通じ、自主的な活動が円滑に進むよう支援を行う必要がある。
○エコファーマーについては、環境保全型農業直接支払交付金等、国事業の取り組み要件等になっているが、有利販売のツールとして活用している例は少ない。
○GAP(農業生産工程管理)についても、農産物等の安全性を向上させるための手法として国内外で取り組まれつつあるが、県内での知名度は低く、取組事例の多くは基礎GAP程度の簡易なものである。また、国が推進するGAP(ガイドラインGAP)は取組事項が多いためハードルが高く、いきなり県内で取り組み拡大を図るのは困難。まずはGAPに対する志向生産者の把握や先進地事例調査の実施等により、機運の醸成を図る。