平成26年度同様に、種苗生産の委託及び養殖試験を実施するほか、販売価格の参考とするための市場性調査、県内業者が行っているハイブリッド式閉鎖循環養殖の養殖試験の指導を行っていく。
(1)種苗生産委託
(2)養殖試験(密度・給餌手法・コスト)
(3)市場性調査
(4)養殖試験指導
キジハタ(アコウ・アカミズ)
鳥取県は日本海の荒波を防ぐ内湾が少ないこともあり、一部の海域を除き海面養殖を行うには厳しい環境となっているため、養殖を実施するには陸上で行うことが条件になってくる。
陸上の養殖は、海面養殖に比べて設備費がかかるなどの面はあるものの、波浪や高水温(井戸海水の使用が前提)、赤潮などの自然災害のリスクを大幅に軽減できるだけでなく、食の安全を確保するトレーサビリティを徹底することができるなど、経営の安定やこれからの消費者ニーズに応えることができる利点がある。
また、陸上養殖は海面養殖に比べ、安全性が高い、船舶が必要ないといった利点もある。
近年養殖サバは高値で取引されることから、九州や四国を主体に海面養殖が盛んになりつつあるが、種苗を天然に頼っていることから、海況に影響され、また寄生虫のリスクなど排除しきれないといった課題もある。そこで、本県では人工種苗と陸上養技術の確立により、それらの問題を払拭し、他に無い新たな魅力のある養殖魚として優位性を示すことで、新しい陸上養殖魚種としての可能性を検討する。
キジハタは本県で栽培漁業の放流種苗用に種苗生産技術が開発され、種苗が潤沢にあること、高水温を好むことから廃熱利用などの観点から注目する企業もあり、低水温を好むマサバと対称になる魚種として考えられる。廃熱利用の観点から、立地を海辺に限定することが困難と予想されるため、閉鎖循環の飼育手法についてコストなどを算出し、陸上養殖魚種としての可能性を検討する。
ハギ類の養殖魚は肉付きが良く、また珍味として知られている肝も天然魚の数倍もの大きさになると言われ、養殖魚に価値がある魚の一つと言われている。カワハギは比較的高水温を好み、ウマズラハギは低水温を好むため、陸上養殖の取水条件にあった魚種を選ぶことができる。