1 事業の概要
鳥取県企業局の経営プランにおいて、『水力発電所の100年運転』を目指し、施設の長寿命化と効率的な維持管理を図るため、施設のアセットマネジメント(資産の管理・有効活用)に取り組んでいる。
その中で、運転開始から50年以上経過し、老朽化している水力発電所については、今後の運用方針を検討する時期にあたっていることから、対象となる発電所の劣化状況等を調査し、リニューアルを視野にいれた今後の改修計画を作成する。
2 事業の必要性
(1)事業採算性の検討
リニューアルを視野に入れた改修を行うためには、平成24年から始まった再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)に適用させていくことが事業採算上、重要となる。
<水力発電の買取価格>平成27年度 1,000〜30,000kW
・新設区分 :24円/kWh+税(適用20年間)
・既設導水路活用型区分:14円/kWh+税( 〃 )
また、従来、既設中小水力発電の更新(リニューアル)におけるFIT適用の可否は資源エネルギー庁への個別協議にて決定されていたが、平成27年7月に新たな認定の考え方が示された。
今後の改修計画の作成においては、この考え方をふまえ、必要な改修範囲の把握及びFITの適用判断を行い、リニューアルを視野に入れた改修の時期や方向性をオーバーホールの時期を見据えつつ早急に決定していくことが必要となる。
(2)電力系統への連系
大規模改修を検討するにあたっては、水車等の効率向上により、現在の発電出力よりも大きくできる場合がある。
ただし、近年の再生可能エネルギーを用いた発電設備の整備の増加に伴い、電力会社の送電線への系統連系が制限される場合が多い。県内の再生可能エネルギー資源を有効に活用できるよう、いち早く事業着手していく必要がある。
(3)小鹿第二発電所の調査
平成30年度にオーバーホールを迎えるため、平成29年度からの基本・実施設計へと進めるにあたり、平成27年度から本調査を行う必要がある。
<小鹿第二発電所改修計画>
・H27-28 概略設計(劣化度調査・概要計画作成)
・H29-30 基本・実施設計、機器製作
・H31-32 リニューアルを視野に入れた改修
(4)小鹿第一発電所の調査
小鹿第一発電所は、第二発電所の上流に位置し、共に連動して運転している発電所であることから、第二発電所の改修を検討するにあたっては、第一発電所も併せて決定する必要がある。
また、小鹿第一発電所は、今年度にオーバーホールを行うことから、通常点検できない水路等の内部状況が確認でき、無駄なく調査を実施することができるため、併せて要求する。
3 要求内容
運転開始から50年以上経過している4水力発電所(舂米・小鹿第一・小鹿第二・日野川第一)のうち、平成29年度からリニューアルを行う舂米発電所と平成29年度にオーバーホールを予定している日野川第一発電所を除く、2発電所の劣化度調査を行い、今後の改修計画案を作成する。
○対象施設 :小鹿第一発電所、小鹿第二発電所
○事業期間 :H27.12〜H28.12 <債務負担行為>
○調査内容
・水路等の土木設備や水車・発電機等の電気設備の劣化度 (健全度)の現地調査
・要対策箇所に対する対応方法・時期・概算費用等を含めた改修計画及びリニューアル計画案の作成
○事 業 費 :35,000千円
4 事業の全体計画
第1期計画として、50年以上を経過した発電所について、12年毎のオーバーホールの時期に併せてリニューアルを視野に入れた改修を検討する。
ただし、施設の劣化度や固定価格買取制度の状況により大規模改修の前倒し実施等を視野に入れて検討する。
○舂米発電所(S35.12運転開始:54年経過)
○小鹿第二発電所(S32.10運転開始:57年経過)
H30のオーバーホールに併せて、H31-H32での改修を検討
○小鹿第一発電所(S33.4運転開始:57年経過)
○日野川第一発電所(S43.1運転開始:46年経過)
H29のオーバーホールに併せて劣化度調査を実施し、今後のリニューアルを視野に入れた改修を検討
また、第1期計画終了予定時期において、運転開始から50年を経過する施設(佐治発電所、新幡郷発電所)については、第2期計画(平成43年度以降)としてリニューアルを視野に入れた改修を検討する。